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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第253回】

おうち時間のエンタメを充実! 1万円で買えるデスクトップスピーカー5選

公開日 2020/08/14 06:40 高橋 敦
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中国から参戦、EDIFIER「R1100」!

最後はEdifier「R1100」(直販価格:税抜9,241円)。今回紹介する中では最大サイズのモデルだ。ブックシェルフスピーカー全般としてはまだ小さめな部類だが、デスクトップ想定としてはかなり大きめに感じられる。

撮影で強調している面もあるが体感的にはこういうサイズ感。ポート=空気孔が前面にあることにも注目

EDIFIERは1996年設立の中国ブランド。パソコンとの組み合わせに適したPCオーディオ製品に強い印象だが、2011年には日本が誇る静電型イヤースピーカーブランドSTAXを買収している。STAXがその後もよさげな雰囲気で活動しているのを見るに、マニアックなオーディオへの理解も深いメーカーと思える。

設置の面ではやはり単純にサイズの問題はあるが、決して設置性ガン無視モデルというわけではない。筒状の構造で低音を響かせて増強し、放出するバスレフポートは、背面に設置するのが一般的だが、本機はスピーカー前面に設置。「バスレフポートからの低音が壁に至近距離でぶつかり、大きく反射して悪目立ちする」という現象を回避している。

なのでデスクに置く場合も、壁との距離を大きく確保したりシビアに調整したりする必要はない。物理サイズの大きさで設置しにくい分を前面バスレフという設計で補っているわけだ。

電源スイッチとボリュームノブは背面。なのでこちらも電源常時オンにしておき音量操作はパソコン側などで別途に、という運用になるだろう。

ノブ2つが近くに並んでいるので背面に手を伸ばしての手探り操作はやりにくいかも

背面での注目ポイントは低音調整の「Bass」ノブ。0を基準に、プラス/マイナスどちらの方向にも無段階で調整できる。これもまた、設置性が低くスピーカーセッティングでの音質調整が行いにくい分を、機能性の強化で補う意図かもしれない。

そしてサイズの大きさは、ドライバー周りではその強みを特に発揮する。ウーファー口径は11.6cm、トゥイーター口径は1.3cmであり、今回紹介の中で唯一のウーファー口径10cm超えだ。周波数特性は65Hz - 20kHzと、スペック的には低域の沈み込みでSAMSONやALESISには及ばないのだが……。

ツイーターにはこれもおそらく拡散性の調整を狙ったパーツが装着されている

ウーファー振動板のこの素材感はパルプ系?

実際に聴いた印象としては、そんなことはない。というか聴き始めてすぐに、ここまでに紹介したどのモデルよりも充実した中低域、それがあってこその全体のバランスのよさに頷かされた。ベースには太さだけではなくその下の帯域に伸びた低重心さがあり、ボーカルには肉声的な厚みが出てくる。これらはもう単純に、キャビネットとドライバーの大きさのおかげだろう。

ボーカルの手触りなど高域側の質感もナチュラル傾向で好感触。荒さや鋭さで迫力を稼いでいたりはせず、聴きやすい。無理に作り込まれていない、スピーカーとして自然な鳴りや響きと感じられる音に仕上げられている。

デスクトップスピーカーはハイコスパなアイテム! でもチョイスは慎重に…

一通りチェックしてみると、どのモデルも価格に比して十分に満足できるパフォーマンスを備えていると納得できた。どれを選んでも大きな失敗はしないだろう。

とはいえスピーカーはイヤホンやヘッドホンと違い、いくつものスピーカーを揃えてその時々で使い分ける、というのがあまり現実的ではないアイテムだ。買ってみて「ちょっとしっくりこないから他のモデルも追加してみよう」というのは気軽にはできない。

なので導入の際には、ここで紹介したモデルだけではなく幅広い製品の情報を幅広い情報源から集め、じっくり慎重に製品選びをしてほしい。前述のようにこの分野は有力新製品が頻繁に出てくるようなジャンルではないので、時間をかけて落ち着いて選んでいてもたいてい問題ないだろう。

なおそして数年後とかにデスクトップスピーカーをステップアップする際には、それまで使っていたモデルはテレビの横でも移してそちらで活躍してもらうなんてのもよし。小型のパワードスピーカーは使い回しもしやすく、その点でもハイコスパ。導入して損はしないオーディオアイテムなのだ。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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