優れたアンプこそがマルチch再生を制する
最新にして最強。マランツ最高峰一体型AVアンプ「SR8015」の“音楽力”を検証
■Hi-Fi級プリアンプ+強力電源で高音質なマルチch再生を実現
次に、“最強”をみていこう。「SR8015」の天板を外すと、中央に鎮座する大型のトロイダルトランスが目に飛び込んでくる。質量5.8kg。非磁性体のアルミベースを介して1mm厚の銅メッキシャーシにアイソレートマウントしている。これはHi-Fi高級機の「SA-1」以来20年変わらないマランツの作法だ。トロイダルトランスはレギュレーション(整流性)でEI型に勝り、多チャンネルになるほど有利という。本機のグレードになると、主要電気部品はすべて新規設計で発注されている。パワーアンプの電源部ブロックコンデンサーは22000μ×2の大容量カスタム品。電源回路のデカップリングコンデンサーには、導電性高分子コンデンサーやPMLフィルムコンデンサーを用いて低ノイズ化を図った。
このトロイダルトランスを挟み、フルディスクリート11chのパワーアンプ部が左右5/6基に分かれヒートシンクにマウントされる。全ch同一クオリティ、6Ωで250Wを発生する。同じD&Mグループのデノンのモノリスコンストラクションとコンセプトは共通するが、大もとのトランジスタが違い、それぞれのサウンドマネージャーがフィルムコンデンサー等使用部品を独自に選び、回路設計も異にする。そのうえ独立したチューニングが施され、マランツ、デノンそれぞれの音質が生まれている。
プリ部にHDAMアンプモジュールを搭載。汎用オペアンプを使わずディスクリートで組み、スルーレート(音の立ち上がりの指標)を向上させたマランツの代表的アンプ技術である。このHDAM回路もグレードアップし、Hi-Fi高級機同様のHDAM-SA2を搭載した。トランジスタ4個の定電流回路を追加して歪みの改善を実現。“裏地に凝る”的世界では、インシュレーターに剛性強化リブが入った高密度の樹脂製を採用。設置面に貼るフェルトも、音質本位で選んだ東レの高級品だ。
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