抜群のNC効果＋極上の完成度に脱帽、Jabraの完全ワイヤレス「Elite 85t」レビュー

■小型化を追求した前モデルと同等のサイズ感を実現

Jabraは2019年に発表した完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 75t」を開発する時点で、イヤホン本体のコンパクト化を徹底して突き詰めた。筆者はその前のモデルである「Jabra Elite 65t」がとてもコンパクトで使いやすいと感じ、長く愛用してきたのだが、本機よりも約20％も小型化したElite 75tを初めて見た際には度肝を抜かれた。

さらにElite 75tでは防水性能やバッテリー性能向上を実現。電波感度を高めるためにアンテナ設計を追い込み、左右のイヤホンを接続する技術には音途切れや通信遅延が発生しにくいと言われる近距離磁気誘導（NFMI）を採用。これに独自の改良を加えたNFMI対応の通信チップを載せ、単に小さいだけじゃない「タフなコンパクトTWS」をものにしたところにも、Jabraが誇る技術の先進性が垣間見えた。

Jabra Elite 85tではそこにANC機能を追加、さらにカスタム設計による12mm口径の大型ダイナミック型ドライバーを搭載しながら、イヤホンのサイズをElite 75tとほぼ変わらない大きさに抑えている。

本体の直径サイズはElite 75tと比べて約1.3mmほど大きくなっただけで、質量アップは1.4gにとどめている。実際に使ってみても、装着感はほとんど変わらない。またANC機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンの中で、本機のように、装着しても耳からイヤホンが飛び出て見えない製品は貴重だ。

加えて、イヤホンだけで連続約5.5時間の音楽リスニングが楽しめる。実用レベルでは問題がないスタミナ性能だと感じるし、ケースで充電すれば約25時間も使える。充電ケースもコンパクトなので、バッグの中に入れて持ち歩くアイテムはできる限り軽くコンパクトにしたい方に最適だ。

■「Jabra Sound+」で多彩な機能を好みにアレンジ

Jabra Elite 85tが搭載する多彩な機能の設定は、iOS/Android対応のモバイルアプリ「Jabra Sound+」で行う。ANCや、内蔵マイクを使って外音を取り込むヒアスルー機能の強度をそれぞれに5段階で選び、イコライザーを使って好みのサウンドにバランスを追い込むことも可能だ。またカスタマイズした3つの設定を「モーメント」として保存できる。

iOSの場合、Jabra Elite 85tの設定に「ウィジェット」から素速くアクセスできる便利な機能がある。ANCやヒアスルーの設定を素速く変更したい場面で、iPhoneのホーム画面を左から右へスワイプすると表れるウィジェットから各機能へ素速くアクセスできる。iOS 14からホーム画面にもウィジェットが置けるようになったので、Jabraのアプリも早くこれをサポートしてほしいものだ。

ユーザーの耳の聞こえ方に合わせ、Jabraのイヤホン・ヘッドホンのサウンドを自動調節する「MySound」は、今夏発売されたワイヤレスヘッドホン「Jabra Elite 45h」が初めて搭載し、以降Jabra Elite 75tにもソフトウェアアップデートで追加されている。もちろんJabra Elite 85tもこれを採用した。

Jabra Sound+アプリからMySoundを起動し、イヤホンを装着したまま静かな場所でテストトーンを聴きながら数分前後の測定を行う。するとユーザーの聞こえ方に合わせたプロファイルが作られてイヤホンに保存される。プレーヤー機器を変更しても、次に測定をやり直すまでMySoundのプロファイルは使い回すことができる。

筆者の場合、作成したMySoundにより中高域の伸びやかさが増し、低域の彫りが深くなる手応えがあった。聴こえづらくなっている帯域を無理に持ち上げたり、意図的に派手さを加える味付けはしない機能ではないので、まずは試してみることをおすすめする。