アップル「AirPods Max」レビュー。61800円は高くない、唯一無二のヘッドホン

■iPhone/iPadとの相性抜群。AndroidスマホやDAPでも使える

iOS 14.3以降/iPadOS 14.3以降を搭載するデバイスとの連携も大変スムーズだ。

機器のワンタッチペアリングはもちろん、ユーザーのiCloudアカウントにリンクしているアップルデバイス間の自動接続切り換え、1台のiPhone/iPadに対して最大2台までのApple/Beatsの対応するヘッドホン・イヤホンをペアリングして同時にオーディオが聴ける共有は、音楽や映画のコンテンツ視聴だけでなく、リモートワークにも使い勝手が良い機能だ。

念のため、AirPods MaxはiPhoneやアップルのデバイスでしか使えないワイヤレスヘッドホンではないことも強調しておきたい。

ノイズコントロールボタンを長押しすると、Lightning端子の隣に配置されたLEDランプが白色に点滅してBluetoothペアリングモードに入る。Androidスマホ、Astell&KernのハイレゾDAPなどにつないでみたが、ほかのBluetoothヘッドホンと同じようにペアリングし、快適に使えた。

この後に詳しくレポートする音楽再生は、基本的にはiPhoneで試したものだが、同じ楽曲をAndroidスマホやDAPでも聴いてみたところ、プレーヤーを変えても音の聴こえかたは大きく変わらなかった。この後に触れるAirPod Maxのコンピュテーショナルオーディオによる効果なのかもしれない。

余談だが、A2DPプロファイルに対応する、Bluetoothオーディオの送信ができるスマートテレビにペアリングすれば、夜中でもテレビ番組や映画などを、AirPods Maxによる高品位なサウンドで、ANC機能も効かせて楽しめる。

ただ、当然ながらペアリングの自動切り換えなどアップルのOSとの連携により使える便利機能は、Android端末やBluetooth対応AV機器では使えない。

■アップル独自設計のアコースティックパーツとチップが実現する「コンピュテーショナルオーディオ」

お待たせし過ぎたかもしれないが、いよいよAirPods Maxのリスニングに移りたい。

AirPods Maxにはアップルが独自に設計した40mm口径のダイナミック型ドライバーが搭載されている。デュアルリングのネオジウムマグネットにより、ドライバーを歪みなくパワフルに駆動する。

入力信号に対してドライバーをリニアに動かせるように、ハウジング内部のボイスコイル周辺にドライバーの背圧を逃がすためのベンチレーションポートを設けた。インパクトのあるタイトで力強い低音、クリアで伸びやかな中高音域を再現できる秘密がここにある。ハウジングは密閉度の高いデザインとしているので、再生中のサウンドが外に漏れることはなかった。

ヘッドホンの左右にアップル独自開発のApple H1チップが1基ずつ搭載されている。10個のオーディオコアを持つ各チップが、毎秒90億回の演算処理を制御しながらAirPods Maxの「ベストなサウンド」をあらゆるコンテンツ、あるいはユーザーがサウンドを楽しむ様々な環境で、ブレることなく一貫して再現する「コンピュテーショナルオーディオ」体験に、AirPods Maxならではの独自性がある。従来のオーディオの楽しみ方とは少し異なるアプローチだが、そのパフォーマンスは注目に値する。