どんな音楽にも最適、唯一無二の表現力！FAudioの限定イヤホン「Project Y」レビュー

■驚異のトリプル・ハイブリッド7ドライバー構成を実現

Project Yが搭載するドライバーは、静電型2基＋バランスドアーマチュア（BA）型4基（フルレンジ×2＋中高域×2）＋9.2mm径ダイナミック型1基のトリプルハイブリッド・7ドライバー構成。今まで見たことがないような奇抜な構成だが、これこそ既成概念に囚われないFAudioだからこそ成し得た構成といえるだろう。しかも、すべてのドライバーが本機のためにカスタマイズ、もしくは新開発されたものだ。

新開発となるのが、9.2mm径ダイナミック型ドライバーだ。人工繊維に質量の高いベリリウムをコーティングしている。これにより、低域が「より速く、より深く、より詳細に聞こえる」（同担当者）ようになっているのが特徴だ。開発にあたり、音質の追求や調整に時間がかかった分、全体的な性能は「同ブランドが手掛けたどのダイナミック型ドライバーよりも高性能に仕上がった」（同担当者）という。

ダイナミック型ドライバーのチューニングには、独自技術の「Triple Built-in Acoustic Chamber（T.B.A.C）」を採用した。役割の異なる3種類のアコースティックチャンバーを用いてドライバー周りの空間を最適化し、空気の流れをコントロールすることで、ドライバーのポテンシャルを最大まで引き出すというもの。

Triple Acoustic Chamberは、レギュラーモデルとして人気のあるダイナミック型搭載モデルの「Major」や「Minor」にも使われている技術だが、これらが筐体自体をアコースティックチャンバーにしていたのに対し、Project Yでは同様の設計のユニットを内蔵している。

なお、それぞれのチャンバーの役割を担当者に聞いたところ、チャンバー1が「ハウジング内の空気を安定させ滑らかで深みのある低音とはるかに強大なダイナミックレンジを作る」、チャンバー2は「共鳴からエネルギーを取り除き不要なピークを回避する働きをする」、チャンバー3が「すべての帯域において低音域の明瞭度を向上させ、サウンドステージを拡張する。また、音圧を緩和すると同時に、耳の疲労を最小限に抑える」ということだ。これらを勘案すると、低域の再現力が高いのはもちろん、全帯域で高い表現力を得ていることが容易に想像つく。

もう一つ、FAudio独自技術として採用するのが「True Crossover Technology（T.C.T）」だ。同ブランドのマルチドライバー機でも搭載している技術で、フルレンジのBA型ドライバーを中心にし、足りない領域を補うように他のドライバーを配して、チューニングを施すというもの。

最もきれいなクロスオーバーを形成できるだけでなく、音源に対して正確なサウンドを実現する。担当者が「FAudio製品のサウンドレンジの豊かさはこれがポイント」と話すように、音作りにおけるキーアーキテクチャーの一つとなっている。

■ケーブルからイヤーチップ、ケースまですべてがプレミアム仕様

筐体にはカスタムイヤホンで採用されている2ピン端子が備わり、そこにケーブルがつながる。このケーブルの導体は、24AWGのドイツ製純銀導体と高純度単結晶銅を銀メッキした導体を組み合わせたもの。外層にノイズを軽減するため純銀製のシールドメッシュを用いたほか、被覆には柔らかいPVCが使われている。

実際このケーブルは、かなり柔軟で取り回しがしやすく、タッチノイズも極めて少なかった。入力端子は2.5mmバランスのみで変換プラグも付属していない。音質をとことんまで重視し、バランスで聴いて欲しいというメッセージの表れとも受け取れる。ポータブルオーディオファンなら、一聴するだけで、この意図をすんなり納得できるだろう。

付属品にも妥協がない。イヤーチップは「FA Premium +」が付属する。これは、ボーカルにフォーカスした「FA Vocal+」と楽器の音をタイトに表現する「FA Instrument+」の2種類で構成される。いずれも、従来モデルに付属し単体販売されている「FA Vocal」と「FA Instrument」の進化版となり、素材を一新してイヤーチップ内の反射をコントロールすることで、歪みを抑えている。また、柔軟性がアップし、長時間のリスニングにおける装着感が高まっているという。

他にもSpinFit製のシリコンタイプとコンプライ製の低反発タイプのイヤーチップも同梱されている。交換して聴き比べたり、サウンドを追求したりと楽しみも広がる。収納ケースは日本発の人気バッグメーカー・バンナイズ製。機能性と耐久性に優れたナイロン素材が用いられたセミハードタイプで、トップに「FAudio」のロゴが輝くオリジナルモデルだ。