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GLIDiCの完全ワイヤレスは「どちらを選んでも間違いない完成度」だ! 「Sound Air TW-7100/TW-5100」レビュー
例えばロバート・グラスパーさん「Better Than I Imagined」は、深く沈み込む重低音ベース、金属的なざらつきも含む生々しい質感のスネアやシンバル、音の響きの濃厚な粒子感、湿度感のある女性ボーカルなどで構成されている曲だが……
TW-7100で聴くとそれらの要素のうち、ベースの沈み込み、そして空気の濃厚さが特に引き出されれ、総じて「クラブサウンド」の印象が強くなる。
かなり低い帯域までがしっかり再生されるおかげで、ベースはぐっと腰を落とした低重心のポジションニングに。ベースのそのポジショニングが曲全体のサウンドにも深みを与えてくれている。
シンバルの質感やそこから広がる響きの粒子などは、言うならばきめ細かい小麦粉の手触りのような、シルキーなしっとり感を備えた描写。そのしっとりとした粒子が豊かに描き出されることで、空間全体の感触もしっとりと仄暗くなり、それもまたクラブらしい雰囲気を醸し出してくれる。少しねっとりとした歌い回しの女性ボーカルとのマッチングもよい。
対してTW5100で聴くと際立つのは、スネアドラムやシンバルの金属的な質感。特にスネアはアタックがバシッと強く抜ける上に、裏面に張られた金属弦から生まれるザシュッと濁点の効いた響きも強めになり、その荒々しくも生々しい手触りがTW7100で聴くよりも強めに引き出される。
その抜け感や手触り感からか、こちらで聴くこの曲はクラブよりも「ヒップホップサウンド」という印象の方が支配的。音場全体の雰囲気も、TW7100で聴くと雰囲気ある暗さなのに対して、TW5100で聴くと照明がやや明るめの会場をイメージさせるものとなる。
■TW-7100かTW-5100か?「どちらを選んでも間違いはないほどに完成度が高い」
というのを踏まえて、それぞれのモデルに特にフィットする曲調の例を挙げてみよう。
TW7100のしなやかさや厚みといった持ち味はウォームな感触のソウルやファンクの雰囲気との相性が抜群。例えばDaft Punk「Get Lucky」。ふかふかのソファやベッドを思い起こさせるような大きなグルーヴを、変にパキッとさせすぎることなく、ゆったりと届けてくれる。「大人の余裕」みたいなものを感じさせてくれるサウンドだ。
ヘヴィ系のバンドサウンド、特にダウンチューニングされたギターやベースの重低音との相性もチェックしてみた。現在ではポップスにおいても多用される音作りだ。低い音域でのフレーズの厚みといったダウンチューニングならではの中低域の充実を特にしっかりと表現。たとえばBlack Sabbathや人間椅子のような、鉛のように沈み込む重みが持ち味のバンドとは特に相性がよい。
TW5100は、ディストーションギターのエッジやベースのアタックの明瞭さといった、重低音サウンドでこそ重要になる中高域要素の描き方が秀逸。KornやLinkin Parkからの流れを汲むような、ヘヴィさとシャープさを兼ね備える現代的なラウドネスをガツンと叩き込んできてくれる。
というように、充実したスペックやトータルでの使いやすさ、快適性という部分では共通するところの多い両モデルだが、サウンド面での魅力は対照的とも言える。
よりカスタムイヤモニ的な装着感でケースなどにもプレミアム感の溢れるTW-7100か?
装着感もケースも、そしてお値段もライトなTW-5100か?
というところと合わせて、これはどちらを選ぶか悩ましいことになってしまいそうだ。
しかし、どちらを選ぶか悩ましいということは逆に言えば、どちらを選んでも間違いはないほどにどちらの完成度も高いということでもある。
特に重視するスペック、装着感や音の好みなどはっきりしているならそこで選べばよし。
どっちもよさそうで選べないよ!というならもうルックスで選んでもよし。
完全ワイヤレスイヤホン黎明期から世代を重ねてきたGLIDiCの最新モデルは、そんな選び方も許されるほどの成熟に達しているのだ。
(提供:SB C&S株式会社)