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収録5曲をさまざまなイヤホン+「秋月」で試聴

もはや運命の邂逅。聴くしかない…アイマス秋月律子さんの新譜を、リケーブル「秋月」で!

公開日 2021/03/06 08:00 工藤寛顕(だいせんせい)
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4曲目:「マジで…!?」

4曲目はユニークな曲名の「マジで…!?」。過去に「太鼓の達人」に収録された楽曲で、今回のMASTER ARTIST 4シリーズでは各アイドルがそれぞれソロで歌唱している。



イントロの和太鼓に始まり、随所で響くパーカッションなど、打楽器を中心とした低域のグルーヴ感に富んだ1曲。この曲では、CTMの「CT-300 Pro」を選択した。

秋月は「CT-300 Pro」のウォームな個性を色濃くする印象

CT-300 Proと秋月の組み合わせは、サウンド全体をかなりウォームな方向に持っていった印象だ。もともとCT-300 Proは太く臨場感のある鳴らし方を得意とする機種だが、リケーブルしたことにより、その辺りの個性がさらに色濃くなった。

この曲は全体を通してお祭りのような賑やかさがあり、パワフルなだけでなく、そうした背景部分まで再生しきる分解能の高さが求められる。CT-300 Proは一聴すると低域のインパクトに注目してしまうものの、聴き込むにつれて、奥までしっかりと描写されていることがわかってくる。この辺りは「POP STAR」で選んだMACBETHとは対照的で、まさに味わい重視な音質といったところ。好みは分かれるかもしれないが、個人的には大いにアリだ。

また、秋月さんによる「マジで…!?」は、他のアイドルと比べてももう一段テンションが高いというか、ハコユレの中心で全力で楽しんでいるような勢いが感じられる。冷静沈着な女の子と評されがちな秋月さんだが、「紅白応援V」などの楽曲でもわかる通り、彼女は皆の先陣を切ってグイグイ引っ張っていってくれるような「強さ」を持っているのだ。そういった元気アゲアゲなところも再現してくれるような、パワーを持ったイヤホンで聴きたい1曲だ。

5曲目:「New Me, Continued」

最後は「New Me, Continued」。こちらは同シリーズの新曲で、「マジで…!?」同様に各アイドルがソロで歌唱している。



「変わりゆく景色」「変わらない願い」という歌詞にもあるように、15年の歴史を持ちつつさらに前へ進んでいくという、765PRO ALLSTARSのメンバーが歌うからこそ強く印象に残る楽曲となっている。この曲には、ソニーの「IER-Z1R」を合わせてみた。なお、こちらもANDROMEDA同様に、変換アダプタを使用して接続している。

「New Me, Continued」は「IER-Z1R」で試聴

ピアノソロのイントロから始まりつつ、歌い出しで一気に音数が増え、フワッと視界が開けるような展開で進んでいく。曲調の明るいポップスながらどこか切なさを感じさせる楽曲となっており、卒業ソングを聴いているような感情を抱いてしまう。そんな細かな心の機微を掴んでくれる能力の高さは流石のIER-Z1R。極めて解像度が高く、かつ音楽的な面白みも兼ね備えた同機ならではのパフォーマンスだ。

個人的な聴きどころは、上述した最初の歌い出しのポイント。「はじめよう!」という歌詞に合わせて、そこまでのピアノソロとは一転したスケール感が広がっていく。この視界の広さは、まさに音場感と解像度、そしてどこにフォーカスを合わせてもきっちり音を立ててくれるような、鳴らし方の上手さが求められる。IER-Z1Rが持つシビアな音のディテールに対し、秋月の柔らかなニュアンスが絶妙にエモく組み合わさり、まさに締めくくりにピッタリなセレクトとなった。

ところで、卒業ソングと聴くと「最後」のようなイメージをしてしまうかもしれないが、実際のところは「節目」としての役割が大きいように思う。学校から学校へ、学校から社会へ。今まで培ってきたものを胸に抱いて未来へと進んでいくという、切ないが故にこの上なく前向きなのだということが、ポジティブな歌いまわしや、生き生きとしたエネルギッシュな伴奏からも伝わってくるようだ。「終わり」ではなく「続き」を描いているこの曲は、まさにこのタイミングで発表されるにふさわしい楽曲だといえよう。

■終わりに

……話がアイマス評にそれてしまったのでそろそろまとめに入るが、全体を通して、「秋月」と今回の「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 4 09 秋月律子」は相性が良かったように感じる。

イヤホンの機種によって影響の大きさに差異はあれど、おおよそどの機種も「解像感やバランスはそのままに、やや柔らかでウォームな音質にシフトする」という方向性の変化が感じられた。この優しさをプラスした感じの響きが、15周年のエモさに浸っている僕には実にちょうどよかったのだ。楽曲に溶けていくような心地よさに、思わず拳をギュッてしてしまうことも少なくなかった。

しかし、例えば僕がアイマスに出会って1年目だったならば、選ぶイヤホンやケーブルはまた違った結果になったかもしれない。ひとつの楽曲をとっても、聴き手側の心理状況などで最適解が変わっていくのもオーディオの面白いところ。自分の心と音質のチューニングを細かく合わせる要素として、リケーブルは大きな価値を持っている。なかなかマニアックな世界ではあるが、ぜひ皆さんも「音楽を聴くための機種選び」を意識して、愛の詰まったオーダーメイド的な1本を探求してみてほしい。

また、ここまでガッツリとネタにしてしまった以上はちゃんと紹介しておくが、秋月さんの新譜『MASTER ARTIST 4 09 秋月律子』は本当にオススメだ。今までの彼女らしく快活で可愛い一面も持たせつつ、15年目にしてまだ新たな境地があるのかという驚きも与えてくれる。彼女の名刺たりえるCDと言えるはずだ。今まで秋月さんのことをよく知らなかったという人も、ぜひ手にとってみて欲しい1枚だ。

それでは僕は、再びライブに行ける日を楽しみにしながら、自分のマイベストフレンドとなるようなイヤホンで音楽を聴いていきたいと思います。お相手はだいせんせいPこと工藤寛顕でした。

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