[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第260回】
いまこそマイク付き“完全ワイヤード”イヤホン!使いこなしてリモート会議で差をつけよう
Bluetoothイヤホンは、リモート会議などイヤホンとマイクを併用する通話利用時には「HFP(Hands-Free Profile)」というプロファイルで動作する。そのHFPで利用される音声圧縮コーデックは「CVSD」または「mSBC」。音楽再生時に用いられるコーデックのSBCやAACでは0.1 - 0.15秒程度の遅延が起きるのに対して、通話に用いられるCVSDやmSBCでの遅延は0.03 - 0.04秒に抑えられている。
という数字を見ると「0.03秒とかだったら問題なくない?」という感じもするかもしれない。しかし自分と相手の両方がBluetoothイヤホンを使っていたら遅延はその両方でそれぞれ発生。つまりBluetooth由来の遅延は合計0.06秒から0.08秒ほどになる。
0.1秒に迫る遅延となると、会話のテンポの中でのタイミングの取りにくさ、それによって話始めがかぶるといったことの原因になり得る。リモート会議にはネット経由という根本的な要素による遅延もあるので、そこにさらにBluetooth由来の遅延まで上乗せされるとなると、それがわずか0.1秒弱の増減であってもその影響は無視できないのだ。
例えばニュース番組などで、スタジオのアナウンサーと外部の専門家を、電話やそれこそリモート会議で繋いで受け答えをする場面のことを思い出してみてほしい。プロ中のプロであるアナウンサーでさえ、おそらくはほんのわずかな遅延のせいで、会話の間を掴み損ねている場面も見られる。
通話時の音声遅延は、プロにとってさえ厄介なものなのだ。ならばむしろ我らアマチュアこそ、遅延の影響をより大きく受けてしまう可能性もある。
もしもあなたがリモート会議にBluetoothイヤホンを使っていて何となくのしゃべりにくさを感じているなら、それはBluetooth由来の遅延によるものかもしれない。そこでその部分での遅延を完全解消できるのが有線イヤホンですよ! ということなのだ。
なお、イヤホン端子が用意されていないスマートフォン等との接続に必要な変換アダプターだが、もちろん「マイク対応」のアダプタであることが必須条件。オーディオ的なUSBヘッドホンアンプとかだとマイク部分は無視されてしまったりするので注意!
しかもそのマイク付き有線イヤホン、一工夫を加えることでリモート会議でさらに使いやすいものに仕上がります!
■あえて “小さめ” イヤピを使用。遮音性を下げてしゃべりやすく
最初の一工夫は単純&簡単!「イヤーピースを小さめのものに交換して、遮音性・密閉性を下げてしゃべりやすく!」だ。
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