HOME > レビュー > 圧倒的な描写力を誇る大口径標準レンズ、ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」特別レビュー

DGP2021 SUMMERで「総合金賞」を受賞!

圧倒的な描写力を誇る大口径標準レンズ、ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」特別レビュー

公開日 2021/06/04 06:30 山田久美夫
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■至高の立体感を堪能させる圧倒的な描写力


本レンズ最大の魅力は、まさに至高といっても過言ではない、圧倒的な描写力である。まるでレンズ自身が「美学」や「感性」を持っているかのような印象で、撮影者の細やかな心の機微を感じ取り、映像化してくれる。誤解を恐れずにいうと、どんな被写体にレンズを向けても美しく写る、極上のレンズだ。

さすがに、それは褒めすぎだろう!といわれそうだが、実際に、どのようなシーン、どのような被写体を撮影しても、同じ感覚になるのだから、悔しいが私には否定しようがない…。

その描写はきわめて立体的だ。2次元であるはずの写真を、3次元、つまり立体として感じさせる。細かく見ていくと、各要素が極限まで研ぎ澄まされたレベルにあり、その結果として、きわめて緻密で立体的な描写が得られていることがわかる。


まず解像力。絞り開放からきわめて高い。今回は全て有効4575万画素を誇る高画素機「Z 7II」で撮影したが、開放F値1.2で撮影した画像をPC上で等倍表示しても、ビクともしないほどのきわめて高い解像力を備えている。

しかも実に緻密で線の細い描写をする。そのため、線の太い描写にありがちな、ギスギスとした不自然な硬さを感じることなく、繊細で立体的な描写を堪能させてくれる。

また、大口径レンズにありがちな軸上色収差も、きわめて高いレベルで補正されている。特に収差が出やすい至近距離での撮影でも色収差を感じさせない点には感心する。

通常、近距離では軸上色収差をはじめとした諸収差が増大する傾向があるが、本レンズは、複数のフォーカスレンズ群を複数のAF駆動用ユニットで連携して動かす「マルチフォーカス方式」と呼ばれる機構により、この欠点を解消している。

最短撮影距離から絞り開放で撮影しても、収差を感じることのない、とても高品位な描写が得られる点は、本レンズのきわめて大きな魅力といえるだろう。


また、コントラストもきわめて高く、実にクリアだ。しかも階調の再現性が豊かなため、ハイエストライトからディープシャドーに至るまで、きわめてナチュラルに再現してくれる。

絞り開放で点光源を撮影しても、画面周辺まできちんと点として描写でき、フレアやゴーストもよく抑えられているため、夜景や星景写真撮影にも威力を発揮するだろう。

次ページ自然でクセのないボケ、心地よい操作感

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE