ノイキャンや装着感、音質まで
アップル「AirPods Pro」とソニー「WF-1000XM4」を徹底比較。どちらを買うべき?
■音質
さて、いよいよ音質の比較だ。…と言いたいところだが、しっかりと聴き比べるまでもなく、これはWF-1000XM4の圧勝だ。
通常の音質比較では、このジャンルではこう、この楽曲ではこう、などと説明するものだが、そんなことは必要無い。ほぼすべての面でWF-1000XM4の方が勝っている。
同じAACで比べても音質差は大きい。つまり、iPhoneと組み合わせて使う場合にも、WF-1000XM4の良さは十分感じられる。これには、ソニー独自の「DSEE Extreme」も一役買っている。
ブルーノ・マーズ,アンダーソン・パーク&Silk Sonic「Leave The Door Open」を聴くと、WF-1000XM4はしっかりと沈み込むベースライン、主張がしっかりあってニュアンスまでしっかり感じられるボーカル帯域、伸びのある高域など、どこを切り出してもAirPods Proに勝っている。WF-1000XM4を聴いてからAirPods Proに変えてみると、のっぺりと平板で、音全体が薄っぺらく感じられる。そのぶん、BGMとして音声をストレスなく聴く用途には、AirPods Proの方が向いているかもしれない。
そして、スマホをLDAC対応のAndroid端末に変え、LDACで接続すると、WF-1000XM4の音質はさらに一皮も二皮も剥け、まったく別物になる。
一つ一つの音の分離が良くなり、AACではゴチャッとまとまっていた音が一気にクリアになり、視界がパッと開ける。質感のある低音、きらめき感まで感じる高域の伸びなども素晴らしく、完全ワイヤレスで聴いているとは思えないほどのインパクトがある。
私はふだんiPhoneをメインに使っているが、この音を聴いて、メインのスマホをAndroidに変えたいと思案してしまったほどだ。
両機の実力を様々な項目で比較してきた。音質についてはソニーが圧勝しているが、そのほかの機能は一長一短というのが結論だ。音質最優先ならソニーのWF-1000XM4が文句なくおすすめだし、とにかく手軽にストレスなく使える快適さを重視するiPhoneユーザーであれば、AirPods Proが良い。
ソニーWF-1000XM4は、各機能がバランス良くまとまり、しかも音質も良いオールラウンダーだ。AirPods Proも、音質こそ譲るものの、それ以外の機能が充実している。発売から1年半以上経過したのに、いまだに外音取り込み機能の優秀さは追随を許さず、しかも今後のアップデートでさらに機能が強化される。何を重視するかで、どちらを選ぶかが決まってくるだろう。
今回は2機種を比較したが、ライバル機も多数存在している。ソニーと音質で真っ向勝負できるモデルも多い。どのモデルを買うか選ぶのは、難しくも楽しい作業になりそうだ。