[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第261回】
Apple Music ロスレス/ハイレゾ配信を徹底解説! 基礎知識からおすすめ再生デバイスまで
■ヘッドフォンジャックアダプタでだいたいOK!
Apple純正「ヘッドフォンジャックアダプタ」は、Lightning端子に有線イヤホンを接続するための変換アダプタ。前述のように、48kHz/24bitまでの「Apple Music基準でのロスレス」までを音質ロスなしで再生可能だ。サードパーティ製のMFi認証ヘッドフォンジャックアダプタも、iPhoneに接続すると純正品と同じように認識され、同じように動作する。
このヘッドフォンジャックアダプタ、その中身は「デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するDAC回路+そのアナログ音声信号を増幅してイヤホンを駆動するアンプ回路」という構成。これは実は、この後に紹介するハイレゾ対応の「DACヘッドホンアンプ」と同じ構成だったりする。
ではなぜヘッドフォンジャックアダプタは48kHz/24bitまでにしか対応できないかというと、Appleが定義する「ヘッドフォンジャックアダプタ」がそのような仕様なので、それとの互換性を確保しMFi認証を受けたサードパーティ製品もそれに準ずるものにならざるを得ないのだ。
もちろんその代わりのメリットもある。純正およびMFi認証のヘッドフォンジャックアダプタならiPhoneに挿すだけで何の設定もなく使えるし、動作の安定感も抜群。ここは汎用的なDACヘッドホンアンプに対しての強みだ。
それに48kHz/24bitというのは、Apple Music基準ではロスレスだが、オーディオ一般の基準ではハイレゾ。また、96 - 192kHz/24bitから48kHz/24bitへのダウンコンバートによる音質ロスは、ロッシー圧縮による音質ロスほど大きなものではない。
総じて「だいたいのユーザーにとってはヘッドフォンジャックアダプタで十分に高音質!」と言える。もちろん、最終的な音質がどういったレベルになるかは組み合わせる有線イヤホン次第だ。
■+αのあるサードパーティ製アダプタに注目!
サードパーティ製のヘッドフォンジャックアダプタには、単に純正の互換品もあれば、純正にはない何らかの特長を加えられた強化版的な製品もある。せっかくロスレス&ハイレゾ配信に向けて購入するなら、そういった「ちょっといいやつ」を選んでおくのもよいだろう。
Elecom「MPA-L35S01」は純正品に対してより高い耐久性を実現した製品。実売価格は税込2,000円程度。
ハイエンドな有線イヤホンは音質向上のためにゴツいケーブルやプラグを採用している製品も多い。それに対してヘッドフォンジャックアダプタ側が弱々だと、イヤホン側の重みに負けて振り回され、その負荷による断線等が起きやすくなってしまう。
そこでこのようにゴツくて丈夫なヘッドフォンジャックアダプタにしておけば、どんなイヤホンと組み合わせても安心というわけだ。
ORB「Clear force CL Lightning」シリーズは、オーディオケーブルブランドが本気で作ったヘッドフォンジャックアダプタ。純正ヘッドフォンジャックアダプタを基にLightning端子を除く全パーツをORBクオリティのハイグレードパーツに変更したことでの音質向上が売りだ。MFi認証製品ではないが、純正アダプタそのものをモディファイしたものなので、互換性の心配もほとんどないと思われる。
またマニア向けのアピールポイントとしては、一般的な3.5mmイヤホン端子のほか、4.4mmmと2.5mmのバランス駆動用イヤホン端子バージョンも用意。iPhoneでバランス駆動をできるわけではないが、4.4mmmや2.5mmのケーブルに付け替えてあるイヤホンを、そのままiPhoneでも使える利便性がある。価格は端子の種類ごとに異なり、実売1万3,000円程度から。