[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第261回】
Apple Music ロスレス/ハイレゾ配信を徹底解説! 基礎知識からおすすめ再生デバイスまで
■アダプタ並みにコンパクトなDACヘッドホンアンプに注目
DACヘッドホンアンプというスタイルには、ポータブルから据え置きまで様々なサイズや形態の製品が存在するが、今回はiPhoneにフィットする特にコンパクトなポータブル製品を紹介しておこう。
SHANLING「UA2」は税込1万2,500円前後。ちょっといいヘッドフォンジャックアダプタと同じくらいのお手頃価格で、サイズも相当コンパクトだ。
定評あるESS「ES9038Q2M」DACチップ、高出力かつ低歪みのアンプチップを搭載。一般的な3.5mmイヤホン端子の他、2.5mmバランス駆動端子も備え、それ対応のイヤホンと組み合わせれば先々にはさらなる音質向上も狙える。
また標準パッケージには含まれないが現在は、なくなり次第終了の発売記念キャンペーンということでUSB-C to Lightningケーブルも付属。製品仕様として保証されるものではないが、サンプル機で試したところでは現状、iPhoneと組み合わせての使用でも基本的な機能に問題は起きなかった。将来的にはiPhone側の変更で使えなくなったりする可能性もあるが、それまで使い倒せばお手頃価格の元は十分に取れるだろう。
LUXURY&PRECISION「W1」と「W2」は、それぞれ実売3万円前後と4万円前後。W1がCirrus Logic「CS43198」DACチップ1機搭載のベーシックモデル。W2は同チップを2機搭載するデュアル構成で音質をさらに向上させたハイエンドモデルだ。こちらは正式にiOS対応が明記されており、メーカーからのプレゼントという形でUSB-C to Lightningケーブルも付属。
LUXURY&PRECISIONはガチハイエンド志向のポータブルオーディオブランドであり、このコンパクトなDACヘッドホンアンプもこのジャンルでトップクラスの音を叩き出す性能を誇る。筐体が少し大柄になる不利を承知で2.5mmではなく4.4mmのバランス駆動端子も搭載してきたところも同社らしい選択だ。
これらの2製品以外で、iPhoneとのLightning接続で安心しておすすめできるコンパクトタイプDACヘッドホンアンプ製品というのは、実はそれほど多くの選択肢はないのが現状。USB-C接続製品の数を考えれば、AppleがiPhoneもUSB-Cに移行してくれればそれで解決なのだが……
しかし、Apple Musicのロスレス&ハイレゾ配信が開始されたからには、Lightning接続対応製品も今後は続々と登場してくるはず。MagSafeでiPhoneの背面にいい感じに固定できる製品なども期待したいところだ。
■まずは5,000円コースから試してみて!
これだけの知識を補充しておけば、「Apple Musicのロスレス&ハイレゾ配信についてはもうおおよそわかった!」と言っても過言ではないはず。
とはいえ実際に聴いてみないことにはその魅力を本当に理解することはできないだろう。そこで入門セットとしては、お手頃価格かつ安心の純正ヘッドフォンジャックアダプタと数千円程度で評判のよい有線イヤホンの組み合わせがおすすめだ。
超ロングセラー定番final「E3000」や、話題の有線ピヤホンことHI-UNIT「HSE-A1000PN」、注目の新鋭ブランド水月雨「SSP」あたりとの組み合わせなら、アダプタと合わせても5,000円前後に収まる。
まずはそんな5,000円コースからApple Musicのロスレス&ハイレゾに踏み込み、ミュージシャンで作り上げたそのままに近いスタジオクオリティの世界に耳を傾けてみてほしい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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