【特別企画】ピュアオーディオとネットワーク再生を融合する新たなチャレンジ
エソテリックの新たなデジタル“司令塔”「N-05XD」。CDからストリーミングまで骨太なサウンド
エソテリックより、新時代のピュアオーディオ再生の核となる製品が誕生した。ネットワークDACプリ「N-05XD」である。そのジャンル名の通りネットワークプレーヤーでもあり、DACでもあり、プリアンプでもある本機。パワーアンプと直結させ、好きなスピーカーと組み合わせれば、ストリーミングからNASを介してのハイレゾ再生、PCからの直結、ディスクプレーヤーとの連動までこの1台を司令塔として、あらゆる再生ニーズに応えてくれる優れモノ。さらにESOTERIC DACとしては初のバランス・ヘッドホン出力も装備。完全自社設計のディスクリートDACを搭載した新機軸。鈴木裕氏があらゆる角度から本機の魅力に迫る。
■最新のデジタル再生スタイルを網羅。独自ディスクリートDACも搭載
オーディオの新しいスタイルはどうなっていくのか。その疑問に対するエソテリックからのひとつの回答が本機「N-05XD」だ。ネットワークDACプリアンプという構成はエソテリックとしても初の製品になる。
名前の通り、イーサネットの環境に入り、ミュージックサーバー(NAS)の音源やストリーミングサービスをはじめネット環境の音源に対応。もちろんTOSLINKや同軸デジタル、USB入力(B端子)、UBSドライブ入力(A端子)等も装備。あるいはBluetooth接続にも対応している。さらにRCAとXLRというそれぞれ1系統のアナログ入力端子を装備することによってシステムの中枢を担えるプリアンプだ。
その構成を紹介してみよう。まずシャーシはエソテリック一連のアルミ製のものだが、強靭さとしなやかさをこのモデル専用にコントロール。セミフローティングトップパネルやボトムシャーシスリット加工、エソテリックピンポイントフットなどが装備されている。
電源部がしっかりしているのも特徴的で、電源トランスを3つ搭載している。まずネットワーク回路専用としてN-01XDと同じサイズの直径10cmのトライダルコアトランスを使用。そしてDAC部、オーディオ専用のもの。さらにコントロール・ディスプレイ専用のトランスを搭載し、潤沢で純度の高い電源を確保している。
ディスクリートで構成されたDAC部は「N-05XD」用として新開発されている。そしてそのDAC部から出力されたアナログ信号にさらに生命力を与えるのがバッファーアンプ部だ。電流伝送能力とスピードを追求したもので、応答速度を表すスルーレートで言うと2,000V/μsというハイスピード素子を採用。また、エソテリック独自の電流伝送方式であるES-LINK ANALOG方式のプリ出力も持っている。
プリアンプにとって重要な音量調節は、左右チャンネル、さらにホットとコールドごとに独立させた合計4回路のラダー抵抗を切り替えていくタイプ。これを一括連動させている。ボリュームノブは、一種のエンコーダーで、操作する速さや角度を検知。オーディオ基板からボリューム素子への配線をなくすことで、音楽信号の通る経路を短縮しているのも特徴だ。
■細かな情報量が豊かで、密度高く押し出しの強いサウンド
試聴テストにおいては、パワーアンプはアキュフェーズ「A-75」でB&W「803 D3」を鳴らしている。まずはミュージックサーバー(fidata)に入っている音源を確認してみた。スイッチングハブを経由してLANケーブルで接続されている。操作はiPadに入っているコントロール・アプリ「ESOTERIC SOUND STREAM」を使用した。
その音は密度高く、押し出しの強いもの。サウンドステージとして左右のスピーカーを結んだ線の手前側に張り出してくる音場感があり、音像も大きい。ただし、背景の静けさが確保され、細やかな情報量もたくさん聴かせてくれる。ユリア・フィッシャーがソロを弾いているチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトではユリアのカラダの向きまでわかるようなニュアンスがあり、ホールの天井の高さや音の伸びやかさを見事に再現してくる。
ポップスから山下達郎の「マイダス・タッチ」を聴いたが、低域の剛性感やカッティングギターのスウィートな音色感などもきちんとしている。
ストリーミングということで、TIDALからブーレーズ指揮、ウィーン・フィルで、「マーラー:第6交響曲」第1楽章を聴いたが、音の形が崩れず、しっかりとした骨格感。ウィーン・フィルの弦の特有の音色がしっとりと出てくるし、ティンパニーの音もエッジが立っている。エリック・クラプトン『アンプラグド』では、低域の押し出しの良さがさすがだが、オーディエンスの拍手の見え方やギターのプレイなど、けっこうシャープだ。これに対して主役であるクラプトンは骨太に見えていて、これがストリーミングなのかという発見があった。
■CD再生においても、演奏の細部の表現力が光る
CDプレーヤーからの同軸デジタルの音も確認してみた。これもディスクリートDACとバッファーアンプの組み合わせ特有の、情報量の多さと押しの強さがあり、特に編成の大きいオーケストラでの、各パートやそれぞれのソロ楽器。それらの表情や演奏の細部の表現力にはこれがCDの再生かと驚かされた。
CDプレーヤーとアナログのバランスケーブルでも接続しその音も確認したが(N-05XDをプリアンプとして使用)、そのメーカーらしい音をしっかりと聴かせてくれた。アナログ入力では何かを付け加えるのではなく、ストレートに入力された音を聴かせてくれる方向だ。
他にもUSBドライブのA端子には、USBメモリやHDDを接続して音が聴けるし、Bluetoothでスマホからの音楽も聴くこともできるが、それぞれのフォーマットの音をコントラスト強く、しっかりと聴かせてくれるプリだ。
また、インピーダンス600Ωの鳴らしにくいヘッドホンも確実に駆動するヘッドホンアンプや、その4PinのXLR端子の存在や、外部の10MHzのマスタークロックと同期できる端子。さらにはシルバーとブラックの2つの仕上げが用意されているなど、エソテリックの本気を感じさせる「N-05XD」だ。若い世代にも訴える内容を持ち、その音もエソテリックが積み上げてきたものをしっかりと聴かせてくれる。オーディオ界にとっても注目の製品に感じた。
▶︎▶︎▶︎生形三郎氏が語る「N-05XD」のヘッドホン再生の実力は?
(提供:エソテリック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.181』からの転載です
■最新のデジタル再生スタイルを網羅。独自ディスクリートDACも搭載
オーディオの新しいスタイルはどうなっていくのか。その疑問に対するエソテリックからのひとつの回答が本機「N-05XD」だ。ネットワークDACプリアンプという構成はエソテリックとしても初の製品になる。
名前の通り、イーサネットの環境に入り、ミュージックサーバー(NAS)の音源やストリーミングサービスをはじめネット環境の音源に対応。もちろんTOSLINKや同軸デジタル、USB入力(B端子)、UBSドライブ入力(A端子)等も装備。あるいはBluetooth接続にも対応している。さらにRCAとXLRというそれぞれ1系統のアナログ入力端子を装備することによってシステムの中枢を担えるプリアンプだ。
その構成を紹介してみよう。まずシャーシはエソテリック一連のアルミ製のものだが、強靭さとしなやかさをこのモデル専用にコントロール。セミフローティングトップパネルやボトムシャーシスリット加工、エソテリックピンポイントフットなどが装備されている。
電源部がしっかりしているのも特徴的で、電源トランスを3つ搭載している。まずネットワーク回路専用としてN-01XDと同じサイズの直径10cmのトライダルコアトランスを使用。そしてDAC部、オーディオ専用のもの。さらにコントロール・ディスプレイ専用のトランスを搭載し、潤沢で純度の高い電源を確保している。
ディスクリートで構成されたDAC部は「N-05XD」用として新開発されている。そしてそのDAC部から出力されたアナログ信号にさらに生命力を与えるのがバッファーアンプ部だ。電流伝送能力とスピードを追求したもので、応答速度を表すスルーレートで言うと2,000V/μsというハイスピード素子を採用。また、エソテリック独自の電流伝送方式であるES-LINK ANALOG方式のプリ出力も持っている。
プリアンプにとって重要な音量調節は、左右チャンネル、さらにホットとコールドごとに独立させた合計4回路のラダー抵抗を切り替えていくタイプ。これを一括連動させている。ボリュームノブは、一種のエンコーダーで、操作する速さや角度を検知。オーディオ基板からボリューム素子への配線をなくすことで、音楽信号の通る経路を短縮しているのも特徴だ。
■細かな情報量が豊かで、密度高く押し出しの強いサウンド
試聴テストにおいては、パワーアンプはアキュフェーズ「A-75」でB&W「803 D3」を鳴らしている。まずはミュージックサーバー(fidata)に入っている音源を確認してみた。スイッチングハブを経由してLANケーブルで接続されている。操作はiPadに入っているコントロール・アプリ「ESOTERIC SOUND STREAM」を使用した。
その音は密度高く、押し出しの強いもの。サウンドステージとして左右のスピーカーを結んだ線の手前側に張り出してくる音場感があり、音像も大きい。ただし、背景の静けさが確保され、細やかな情報量もたくさん聴かせてくれる。ユリア・フィッシャーがソロを弾いているチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトではユリアのカラダの向きまでわかるようなニュアンスがあり、ホールの天井の高さや音の伸びやかさを見事に再現してくる。
ポップスから山下達郎の「マイダス・タッチ」を聴いたが、低域の剛性感やカッティングギターのスウィートな音色感などもきちんとしている。
ストリーミングということで、TIDALからブーレーズ指揮、ウィーン・フィルで、「マーラー:第6交響曲」第1楽章を聴いたが、音の形が崩れず、しっかりとした骨格感。ウィーン・フィルの弦の特有の音色がしっとりと出てくるし、ティンパニーの音もエッジが立っている。エリック・クラプトン『アンプラグド』では、低域の押し出しの良さがさすがだが、オーディエンスの拍手の見え方やギターのプレイなど、けっこうシャープだ。これに対して主役であるクラプトンは骨太に見えていて、これがストリーミングなのかという発見があった。
■CD再生においても、演奏の細部の表現力が光る
CDプレーヤーからの同軸デジタルの音も確認してみた。これもディスクリートDACとバッファーアンプの組み合わせ特有の、情報量の多さと押しの強さがあり、特に編成の大きいオーケストラでの、各パートやそれぞれのソロ楽器。それらの表情や演奏の細部の表現力にはこれがCDの再生かと驚かされた。
CDプレーヤーとアナログのバランスケーブルでも接続しその音も確認したが(N-05XDをプリアンプとして使用)、そのメーカーらしい音をしっかりと聴かせてくれた。アナログ入力では何かを付け加えるのではなく、ストレートに入力された音を聴かせてくれる方向だ。
他にもUSBドライブのA端子には、USBメモリやHDDを接続して音が聴けるし、Bluetoothでスマホからの音楽も聴くこともできるが、それぞれのフォーマットの音をコントラスト強く、しっかりと聴かせてくれるプリだ。
また、インピーダンス600Ωの鳴らしにくいヘッドホンも確実に駆動するヘッドホンアンプや、その4PinのXLR端子の存在や、外部の10MHzのマスタークロックと同期できる端子。さらにはシルバーとブラックの2つの仕上げが用意されているなど、エソテリックの本気を感じさせる「N-05XD」だ。若い世代にも訴える内容を持ち、その音もエソテリックが積み上げてきたものをしっかりと聴かせてくれる。オーディオ界にとっても注目の製品に感じた。
▶︎▶︎▶︎生形三郎氏が語る「N-05XD」のヘッドホン再生の実力は?
(提供:エソテリック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.181』からの転載です