0.1dB刻みのボリューム回路を新開発
エソテリックの旗艦プリアンプが正統進化。構成回路を一新し音楽の旨味をさらに引き出す
エソテリックの最高峰であるGrandiosoシリーズのプリアンプ「C1」がXエディションへと進化を遂げた。セパレート2シャーシ構成の美しい外観はほぼ継承されているものの、その内容はフルモデルチェンジ。新たな回路技術を搭載した新時代の最高峰プリアンプにふさわしい仕上がりとなっている。同社の試聴室にて、従来機との比較を交えながらその技術と音に触れていくことにしよう。
■プリアンプGrandioso C1が7年ぶりに刷新。Xエディションになってついに登場
愛用するスピーカーとコンビを組むオーディオシステムの中で、プリアンプの存在は非常に大きいと考えている。時にその力はSACDプレーヤーやアナログシステムなどの音質をいっそう高品位化させ、パワーアンプに再生する音楽のあるべき姿やダイナミックスを送り込むことができるからである。さらにボリュームは高精度であればあるほど、ほんのわずかな調整でリスナーの求める音楽の旨味を引き出すことができ、リスナーの感性をも高めてくれるように思えるのである。
さらに、存在感のある洗練されたデザインも重要で、プリアンプはオーディオシステムの顔ともいえる。見ているだけで所有の喜びまでも感じさせてくれる存在であってほしい。
こんな感覚を感じさせてくれるハイエンド・モデルがこの度登場した。それが今回紹介するエソテリックの最新フラグシップ・プリアンプ「Grandioso C1X」である。
Grandioso C1の後継にあたるモデルであるが、その姿を見て思わず感激してしまう。プリアンプ本体は上下左右シンメトリーのアルミニウム製。その絶妙なウェーブ・デザインは、喩えようもなく美しく、セッティングした部屋のイメージまで支配してしまいそうである。そして、同質素材の美しい外部電源装置との組み合わせでは、美しさだけではなく、凛とした佇まいも漂わせている。
機能も充実している。入力はXLRバランス(同社の電流伝送方式ES-LINK Analogに対応)が3系統、RCAを2系統装備。出力として、XLRバランスとES-LINK Analog対応のXLRバランスを各2系統装備している。
技術的なことは後述するが、内部回路は左右を完璧に分離したデュアル・モノ・コンストラクション構成で、全段フルバランス増幅回路を搭載している。そして、注目したいのは、外部電源である。電源入力コンセントを2式装備し、プリアンプ本体の左右のアナログ回路に対応させるために完璧な左右分離構造としているのである。
■オーディオマインドを掻き立てる精密感溢れる回路構成
ここからは、プリアンプ本体の技術について、少し詳しく説明しよう。まず内部を観察して感激することは、オーディオマインドが掻き立てられるほどの精密感に溢れた回路である。増幅回路は上段に入力系回路を、下段に出力系回路を配置している。
信号の流れに従って説明すると、まず上段の基板では、全段バランス構成であることから、XLRのみならずRCA入力もまずはバランス化される。そしてセレクターとなるが、入力される信号を選択する素子として、今回はリレーを使わず画期的なFET素子を採用したことが注目点である。この採用により、リレー接点による音質変化や長期経年劣化を防ぐことが可能になるのである。
次に信号は下段の出力系回路に接続し、音量調整器に接続する。ここでは、同社が新規開発したこれも画期的な半導体ボリューム「UFA-1792(ウルトラ・フィデリティ・アッテネーター1792)に接続する。
これはGrandioso C1の0.5dB刻み200ステップから、0.1dB刻み1120ステップに精度を大幅に向上させていることが特徴。小さな半導体の中に最大1792通りのアッテネーター・マトリックス回路を内蔵しているのである。
これにより、ほとんど円形抵抗体をブラシで擦る軸摺動型ボリュームと同等の滑らかで連続的な音量調整が可能になり、しかも超高精度で、長期にわたり音質劣化のないボリュームを実現したのである。また、左右の高精度なバランス調整にも機能すると同時に、メカ的にも手動操作感も高めているのである。
このボリュームを通過した信号は、最終増幅を行う前述の電流強化型バッファー「ESOTERIC-HCLD」に接続し増幅され、アナログ出力される。ここには、大容量のコンデンサーであるEDLCアレー(スーパー・キャパシター)を使用した安定化電源回路を配置している。この回路は、バッテリーと同等のピュアで余裕のある電源をHCLDアンプに供給し、ドライブ力とダイナミックレンジ拡張を実現していると推察している。
ここで筆者が驚嘆したことは、XLRバランス出力の1出力ごとにHCLDバッファーを2パラレルで使用していることである。ここまでやってしまうのか、と思うほど、超強力にドライブ力を高めていることに驚いてしまったのである。
■プリアンプGrandioso C1が7年ぶりに刷新。Xエディションになってついに登場
愛用するスピーカーとコンビを組むオーディオシステムの中で、プリアンプの存在は非常に大きいと考えている。時にその力はSACDプレーヤーやアナログシステムなどの音質をいっそう高品位化させ、パワーアンプに再生する音楽のあるべき姿やダイナミックスを送り込むことができるからである。さらにボリュームは高精度であればあるほど、ほんのわずかな調整でリスナーの求める音楽の旨味を引き出すことができ、リスナーの感性をも高めてくれるように思えるのである。
さらに、存在感のある洗練されたデザインも重要で、プリアンプはオーディオシステムの顔ともいえる。見ているだけで所有の喜びまでも感じさせてくれる存在であってほしい。
こんな感覚を感じさせてくれるハイエンド・モデルがこの度登場した。それが今回紹介するエソテリックの最新フラグシップ・プリアンプ「Grandioso C1X」である。
Grandioso C1の後継にあたるモデルであるが、その姿を見て思わず感激してしまう。プリアンプ本体は上下左右シンメトリーのアルミニウム製。その絶妙なウェーブ・デザインは、喩えようもなく美しく、セッティングした部屋のイメージまで支配してしまいそうである。そして、同質素材の美しい外部電源装置との組み合わせでは、美しさだけではなく、凛とした佇まいも漂わせている。
機能も充実している。入力はXLRバランス(同社の電流伝送方式ES-LINK Analogに対応)が3系統、RCAを2系統装備。出力として、XLRバランスとES-LINK Analog対応のXLRバランスを各2系統装備している。
技術的なことは後述するが、内部回路は左右を完璧に分離したデュアル・モノ・コンストラクション構成で、全段フルバランス増幅回路を搭載している。そして、注目したいのは、外部電源である。電源入力コンセントを2式装備し、プリアンプ本体の左右のアナログ回路に対応させるために完璧な左右分離構造としているのである。
■オーディオマインドを掻き立てる精密感溢れる回路構成
ここからは、プリアンプ本体の技術について、少し詳しく説明しよう。まず内部を観察して感激することは、オーディオマインドが掻き立てられるほどの精密感に溢れた回路である。増幅回路は上段に入力系回路を、下段に出力系回路を配置している。
信号の流れに従って説明すると、まず上段の基板では、全段バランス構成であることから、XLRのみならずRCA入力もまずはバランス化される。そしてセレクターとなるが、入力される信号を選択する素子として、今回はリレーを使わず画期的なFET素子を採用したことが注目点である。この採用により、リレー接点による音質変化や長期経年劣化を防ぐことが可能になるのである。
次に信号は下段の出力系回路に接続し、音量調整器に接続する。ここでは、同社が新規開発したこれも画期的な半導体ボリューム「UFA-1792(ウルトラ・フィデリティ・アッテネーター1792)に接続する。
これはGrandioso C1の0.5dB刻み200ステップから、0.1dB刻み1120ステップに精度を大幅に向上させていることが特徴。小さな半導体の中に最大1792通りのアッテネーター・マトリックス回路を内蔵しているのである。
これにより、ほとんど円形抵抗体をブラシで擦る軸摺動型ボリュームと同等の滑らかで連続的な音量調整が可能になり、しかも超高精度で、長期にわたり音質劣化のないボリュームを実現したのである。また、左右の高精度なバランス調整にも機能すると同時に、メカ的にも手動操作感も高めているのである。
このボリュームを通過した信号は、最終増幅を行う前述の電流強化型バッファー「ESOTERIC-HCLD」に接続し増幅され、アナログ出力される。ここには、大容量のコンデンサーであるEDLCアレー(スーパー・キャパシター)を使用した安定化電源回路を配置している。この回路は、バッテリーと同等のピュアで余裕のある電源をHCLDアンプに供給し、ドライブ力とダイナミックレンジ拡張を実現していると推察している。
ここで筆者が驚嘆したことは、XLRバランス出力の1出力ごとにHCLDバッファーを2パラレルで使用していることである。ここまでやってしまうのか、と思うほど、超強力にドライブ力を高めていることに驚いてしまったのである。