■静止画性能も充実。目を皿にして眺めてもほれぼれする描写
前置きが長くなったが、DC-GH5M2のインプレッションに移ろう。Gシリーズの中でもGH系は特に動画の印象が強く、歴代モデルのインプレッションや評判などを見ていると、動画しか撮れないと思い込んでいる人がいてもおかしくないほどだ。写真愛好家に向けた「DC-G9」が陣立てされているのも一因かもしれないが、それは全くの誤解。本機には動画だけでなく静止画もしっかりと撮れる内容が盛り込まれている。
心臓部となるイメージセンサーは有効画素数約2033万画素、シャッター速度6.5段の効果を誇るボディ内手ブレ補正を内蔵し、約368万ドットの高精細有機ELファインダーを備えるなど、主だった部分はしっかり作り込まれている。
オートフォーカスは近年、人物や動物など被写体を認識して、スピードや精度を上げるのがトレンドになっているが、本機も類に漏れず、ディープラーニング技術も活用した「リアルタイム認識AF」を搭載。人物の顔・瞳をはじめ、後ろ向きの頭部も捉える「頭部認識」、遠く小さな人物全体も捉える「人体認識」に加え、鳥、犬、猫など動物の顔や体の特長から追う「動物認識」も備えている。
今回の試用では、前述した大口径F1.7ズームレンズシリーズのコンビを主に使用した。いずれもやや大振りではあるが、単焦点レンズ並みの明るさ、描写性能を誇り、単焦点レンズを複数本持ち歩いて交換する手間を思えば、納得できるサイズだ。この2本だけで35mm判換算20mm相当の超広角域から標準域、100mm相当の望遠域までF1.7通しでカバーできるのは大きな魅力だろう。
実写ではレンズの持ち味がいちばんわかりやすい絞り開放F1.7を多用したが、目を皿にして眺めてもほれぼれする描写だ。残念ながらレンズ内手ブレ補正機構は割愛され、ボディ内手ブレ補正のみになるが、それでも、シャッター速度6.5段分の補正効果は得られるので、実用上、困ることはさほどないだろう。
静止画撮影の性能については、ほぼDC-G9と同等と考えてよいが、ファインダー倍率やグリップ形状、シャッター最高速度など、DC-G9の方がより静止画撮影に最適化されている部分もあるので、気になる方は確認してほしい。