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【特別企画】オーディオ銘機賞2022 特別大賞受賞

デジタル新時代に向けた、プリアンプの新提案。多様な再生スタイルを実現するエソテリック「N-05XD」

公開日 2021/12/13 06:30 山之内正
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■開発者に訊く! 革新のネットワークDACプリ「N-05XD」の魅力

開発者の側から見て、「N-05XD」はどのようなどのようなコンセプトで開発された製品なのか? エソテリック(株)取締役、開発・企画本部長の加藤徹也氏にご登場いただき、山之内氏から出された7つの質問にお答えいただいた。

【Q1】「ネットワークDAC/プリアンプ」というコンセプトについて、その新しさや長所をわかりやすく教えてください。

エソテリック(株)取締役 開発・企画本部長の加藤徹也氏。東京インターナショナルオーディオショウの会場にて

加藤氏 エソテリックではこれまで、ソース機器としてライン出力専用のネットワークプレーヤーやDACを製品化していました。このことはその製品以外にプリアンプ、パワーアンプ、スピーカーが最低でも必要になることを意味します。しかし昨今のオーディオの多様化やシステムのシンプル化を考慮すると、ヘッドホンのみで音楽を楽しまれているお客様にとっては、エソテリック初となるバランス・ヘッドホン出力とプリアンプ機能により本機のみで良い音を楽しめます。また、コンパクトなシステムでもスピーカーに合うパワーアンプを追加すれば高音質で楽しめます。

このような方々にも一定以上のニーズが存在すると判断し、こういったコンセプトの製品となりました。実際に購入いただいたお客様の中には、「N-05XD」にヘッドホンと、パワードスピーカーを組み合わせたシステムでお使いいただいている方も複数名いらっしゃいます。

バランスヘッドホン対応の4ピンXLR端子も装備。左右独立、フルバランス回路のヘッドホンアンプを搭載。専用のESOTERIC-HCLDバッファーによりインピーダンス600Ωのハイエンドヘッドホンも確実にグリップする

もちろんプリ機能を使用しない設定も可能ですので、従来のようなライン出力のソース機器として使っていただけます。

【Q2】どんな用途や組み合わせを想定していますか? エソテリック製品と組み合わせる場合、具体的な製品名も教えて下さい。ES-LINK Analogで接続できる製品はありますか?

加藤氏 エソテリックのSACDトランスポート「P-05X」やお手持ちのCDプレーヤーなどのデジタル出力を持つ機器とはデジタル接続。アナログ出力のみの機器とはバランスまたはアンバランスのアナログ接続。PCとはUSB接続でお使いいただけます。そしてBluetoothでスマートフォンから手軽に音楽再生することもできます。

アナログライン出力は、プリアンプやパワーアンプ、またはパワードスピーカーなどと接続が可能です。そしてES-LINK Analog出力は2種類装備していますが、このライン出力は、エソテリック製のプリアンプ(Grandioso C1X)やプリメインアンプ(Grandioso F1やF-03A/F-05/F-07にオプションボードOP-ESLA1を搭載したもの)と接続することができます。

一方でES-LINK Analogのプリ出力は、今後発売されるパワーアンプと接続いただけます。「N-05XD」とベストマッチなパワーアンプが今後発売される予定となっております。

【Q3】今回のディスクリートDACと、フラグシップ機やKシリーズのディスクリートDACとの共通点と違いを教えて下さい。

加藤氏 ディスクリートDACの回路の考え方やデジタル処理などは、フラグシップ機の設計資産をできる限り使用しています。違う部分としては、フラグシップ機が32エレメント/chの回路規模なのに対して、「N-05XD」は、16エレメント/chの回路規模となっているところと、その回路規模が違うことに対して最適化するためのDAC以降のローパスフィルターなどの回路構成が異なっております。

上位モデルである「N-01XD」の技術を継承したリニア電源駆動回路。大型のトロイダルコアトランスをオーディオ用とネットワーク用を分け、さらにコントロール・ディスプレイにも専用トランスを搭載。徹底的に音質にこだわる回路設計となっている

【Q4】手持ちのCD/SACDプレーヤーを本機のデジタル入力につないで使用するメリットはありますか?

加藤氏 これまでのトランスポート+DAコンバーターという構成のように、DAC部分を最新のアーキテクチャーにして音楽をお楽しみいただけます。

【Q5】「N-05XD」に採用したQVCSアッテネーター回路にはどんな特徴がありますか?

加藤氏 まずは通常のボリュームノブのところにボリューム素子があるものに対しては、オーディオ信号の引き回しによる音質の劣化が全く発生しないというメリットがあります。また左右独立、正負独立の4つのボリューム回路を使用することで、デュアルモノ、完全バランス構成のプリアンプ回路を構築でき、チャンネルセパレーション、位相特性、ノイズ特性の優れたボリュームコントロールができます。また左右バランス調整や入力ごとのレベル調整なども追加回路による劣化なしに、このQVCSで正確にコントロールされます。

【Q6】HCLDバッファー回路は具体的にどんなメリットがありますか?

加藤氏 音楽信号は、サイン波のような静的な信号ではなく、常にダイナミックに変動する信号であり、静的な信号に対する電流出力能力を大幅に超えた電流出力能力を持つHCLD回路は、音楽信号のダイナミックな変化をしっかり表現することができ、躍動感のある音楽再生を実現します。

また、エソテリック独自のES-LINK Analogの電流伝送方式も、このHCLD回路の電流供給能力の高さをベースに考えられたフォーマットです。

【Q7】ハイインピーダンス型のモニターヘッドホンを使っていますが、「N-05XD」のヘッドホンアンプで十分に鳴らせますか?

加藤氏 最大出力、XLRバランスヘッドホン出力、1500mW+1500mW(32Ω負荷)、6.3mmTRSヘッドホン出力、750mW+750mW(32Ω負荷)と出力に十分余裕を持った回路、電源構成となっておりますので、ハイインピーダンス型のヘッドホンも十分鳴らし切る実力を持っております。

(提供:エソテリック)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。

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