【PR】評論家・山之内正氏がテスト
“音が変わらない”正確なCDリッピングが魅力。パイオニア製BDドライブ最新機「BDR-X13J-S」を試す
キズやホコリだけでなく、盤面の反りや汚れなどさまざまな要因によって正しく読み取れない箇所がある場合、パソコンのリッピングソフトなどで再読み込みのリトライを行うことになるが、その際に修正がきかない場合はエラー補間と呼ばれる次善の策でデータを推測し、本来とは異なるデータを補って音が途切れないようにする。しかし、その補間処理が増えると明らかに音質が変わったり、場合によっては波形の連続性が失われて「プチッ」という耳障りなノイズが発生することもある。
PureReadはドライブのハードウェアとファームウェアが協調してリトライのパラメーターを最適化することによって、「読み取りにくいデータを読み取る」ために動作する独自の機能だ。単純にリトライを繰り返すのではなく、ディスクの状態に応じて読み取り方法を調整することが肝心なポイントで、最新バージョンのPureRead 4+では複数のアルゴリズムを同時に協調させながら読み込むという複雑な動作に進化を遂げている。従来のPureReadに比べて処理の単位を100倍以上に細分化していることも注目に値する。
PureRead 4+には複数のモードが用意されている。リトライを何度か繰り返してもデータ補間が避けられない場合に読み取りを中止する「パーフェクトモード」、一定回数のリトライ後にデータ補間を許容して読み取る(マスターモード)、そしてPureReadの機能を使わないオフの3つのモードからユーザーがあらかじめ選ぶことができるのだ。パソコン上でいったん選んだモードはそのままドライブ側が記憶し、次回起動したときに同じモードで動作するし、イジェクトボタンを長押しすると、パソコンをつながなくてもPureReadのモードを確認できる(パーフェクトモードは3回点滅、マスターモードは2回点滅、オフの場合は1回点滅)。
PureRead 4+はファームウェアとドライブが協調して実現する機能だが、純粋にハードウェアで実現する改善策も従来同様に充実している。高速な読み込み/書き込み時にディスク外周部に生じやすいたわみを独自の工夫で抑え込むディスク共振スタビライザーはその一例で、たわみが発生しやすい位置にあらかじめ配置した突起部で空気の流れを制御し、たわみの発生を軽減する効果を発揮する。
想定する共振モードは3種類に及ぶというが、同スタビライザーはそのすべての共振に対して有効とのこと。最新の光学ドライブは回転速度が大きいため、ディスクの変形や気流の振る舞いまで視野に入れる必要があるのだろう。高速回転の対策としてクランパーやカバー部分の形状にも工夫を凝らしている。これらの工夫が静音性を高めるうえでも役に立つことはいうまでもない。PureReadをオフにして最大速度でリッピングを行った場合でも、CDで最大48倍速という高速ドライブとしては振動、動作音どちらも十分に低いレベルに抑えている。
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