HOME > レビュー > マランツ 新CDプレーヤー「CD 60」を聴く。「ディスクに入っている本来の音を聴きたい音楽ファンにお薦め」

PR【特別企画】評論家・山之内正がチェック

マランツ 新CDプレーヤー「CD 60」を聴く。「ディスクに入っている本来の音を聴きたい音楽ファンにお薦め」

公開日 2022/06/06 06:30 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

欧州でも高い注目を集めるマランツ新CDプレーヤー「CD 60」



CD 60

音楽を聴くスタイルが広がる一方で、じっくり聴きたいときはCDに手が伸びるという人は多いはずだ。操作がシンプルでわかりやすいし、長い間に身に付いた習慣はなかなか変わらないということもある。米国などCDの販売数が増加に転じている地域もあるようだ。ストリーミングのヘビーユーザーを除けば、多くの音楽ファンにとってCDプレーヤーはいまも必需品といえる。

マランツがCDプレーヤーの新製品として「CD 60」を発売するのは、そうした堅実なCD需要が背景にある。発表直後から注目度は高く、5月にミュンヘンで行われた大規模なオーディオイベント「HIGH END」でも強い関心を集めていた。

カラーバリエーションはシルバー・ゴールドとブラックの2色を用意

SACDを聴きたいリスナーには上位機種の「SACD 30n」を選択肢として用意していることもあり、CD 60はあえて “CD再生” に的を絞っている。USBメモリーに保存したハイレゾ音源の再生はPCMが最大192kHz/24bit、DSDが5.6MHzまで対応しているが、ネットワーク再生機能は他の製品に任せ、USB-DAC機能も省略した。CD再生に開発パワーを集中して高音質を目指す設計思想を支持するユーザーは少なくないと思う。

ネットワーク機能を持つアンプも増えていることなどからCD 60はあえてCD再生に特化。CD再生システムのコアになる存在だ

マランツならではのこだわりの回路設計は本機にも確実に受け継がれている。32bit対応の高性能DAコンバーターは電流出力型で、電流電圧変換などの重要な回路でマランツ独自の設計ノウハウを活かせるメリットが大きい。

音を左右するローパスフィルターや出力バッファー回路は独自のHDAMとHDAM-SA2を駆使してディスクリートで構成。HDAMは低歪化を徹底させた新設計の回路にアップグレードしていることが見逃せない。DACそのものは完全ディスクリート構成ではないが、デジタルフィルターはSACD 30nと同等のフィルター特性を継承した独自設計の回路を積み、好みによって2種類のフィルターを選ぶことができる。

独自回路「HDAM」は歪率を従来から約30%改善

新世代デザインを10万円台前半のモデルにも投入



フィルムコンデンサーやメルフ抵抗など高音質パーツを適材適所で数多く導入しているほか、電源回路のコンデンサーはエルナと共同開発したカスタム仕様のブロックコンデンサーを採用するなど、部品の選択にも上位機種の開発で得たノウハウを活用。左右対称のアナログ出力基板など、妥協のない設計アプローチを貫いていることに注目したい。専用基板を奢ったヘッドフォンアンプは出力バッファーにHDAM-SA2を用いた本格設計で、手持ちのヘッドフォンに最適化できるように3段階のゲイン切替がそなわる。

内部には高音質パーツを随所に使用

次ページ試聴:「複雑に音が絡まる部分でも全体が混濁しにくく、細部を忠実に引き出す」

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE