PR【特別企画】評論家・山之内正がチェック
マランツ 新CDプレーヤー「CD 60」を聴く。「ディスクに入っている本来の音を聴きたい音楽ファンにお薦め」
「描写力はこの価格帯のCDプレーヤーのなかでは確実に上位に入る」
ビル・エヴァンストリオのライヴ音源はエディ・ゴメスのベースが太り過ぎにならないことが肝心なのだが、その課題をCD 60は見事にクリアしてみせた。他の曲と同様、この録音でも芯がある低音を再現し、ピチカートの一音一音のアタックが正確に聴き取れる。ピアノとベースが同じ音域で重なってもそれぞれのメロディラインが並行して歌う様子が聴き取れるし、シンバルは鋭さを確保しながら付帯音が乗らず、実演を聴いているようなリアリティがある。
50年以上前の録音にここまでリアルな音が入っていることに驚くが、その真価を引き出せるかどうかはプレーヤーの実力次第。CD 60の描写力はこの価格帯のCDプレーヤーのなかでは確実に上位に入るものだ。
バルトークの「管弦楽のための協奏曲」でデジタルフィルターを「2」に切り替えると、めまぐるしく動き回るヴァイオリンの音色に艶が乗り、チェロの旋律も「1」に比べると表情が伝わりやすい。余韻の広がり具合にも微妙な違いがあるので、空間情報を豊富に含む録音を聴くときは設定を変えてみることをお薦めする。
USBメモリからウェーバー「魔弾の射手」の合唱曲をDSDで再生すると、張りのある男声合唱と明るく力強いホルンが鮮やかなコントラストを見せ、余分な演出を介さずに演奏の高揚感がダイレクトに伝わってきた。生き生きとした表情を引き出すサウンドはオーディオ回路をディスクリートで緻密に追い込んだプレーヤーならではのもので、DSDリマスター音源の長所をもらさず引き出していることを実感した。
「ディスクに入っている本来の音を聴きたい音楽ファンにお薦めしたいプレーヤー」
CD 60のサウンドは空間的なセパレーションと動的な反応の良さが両立し、演奏と録音の聴きどころを余分な演出なしに引き出す実力がある。少し上の価格帯も含め、さまざまなアンプやスピーカーと組み合わせたシステムで存在感を発揮できるポテンシャルをそなえているプレーヤーという印象を受けた。
CDの音をすべて引き出せているかどうか、なんとなく不安をいだいているなら、CD 60の音を聴いてみるといい。ディスクに入っている本来の音を聴きたい音楽ファンにお薦めしたいプレーヤーである。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)