サエクコマース社のナイフエッジ技術トーンアームを新規搭載
明快かつタイトな描写力が光る。アナログの魅力を引き出すラックスマン「PD-151 MARK II」の進化
一層際立つ高S/N感と、明快かつタイトな描写力
それでは、実機の試聴に入っていきたい。試聴は、ラックスマンのMCカートリッジ「LMC-5」に、プリメインアンプ「L-507Z」の内蔵フォノイコライザーアンプを組み合わせて実施した。
まずは、筆者も録音に立会いそのサウンドをよく記憶している、ダイレクトカッティング・ディスク、八木隆幸トリオ「CONGO BLUE」を再生した。このタイトルは、その名の通り関口台スタジオにて一発録音されたものだが、PD-151 MARK IIでの再生では、ダイレクトカッティングならではのS/N感の良さが一層際立って再現された。
もともとPD-151は、S/N感に関しては上位機だったPD-171をも凌ぐほど優れていると筆者は感じるが、それがしっかりと受け継がれている印象だ。とりわけドラムスの手さばきが実に軽快で、音の余韻の収束が極めてタイト。シンバルのアタックが鋭いエッジで迫るさまが爽快だ。
この辺りは、この度搭載されたナイフエッジの恩恵もあるのか、発音の切込みが鋭く明快な印象である。楽器同士の距離感や空間の描かれ方も、以前聴いたPD-151よりもさらに締まりの効いた描き出しに感じる。ウッドベースやピアノも、クリアにシェイプされた姿で立ち上がった。
続いて、グレン・グールドによる1981年録音の「ゴルトベルク変奏曲」を再生すると、明瞭な定位感のピアノ音像が立ち現れた。ピアノ弦のメタリックな質感が描き出され、両手それぞれで奏される音の線の動きが明晰に描き出される。ダイナミクスを、ことさらに彫り深く描き上げる方向ではないものの、アタックへの切込みが鋭く余韻にもブレがない。
それでいて、肉付きの良い密度のある音によって、まるで目で見るかのような精細さが提供される。打鍵の1つ1つにしっかりとした手応えがあり、1音1音が瞭然としているのだ。グールドならではのハミングも、ピアノの音とはくっきりと分離して描かれる。
次に再生した、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲6番第1楽章でも、やはりクリアで明快なサウンドを楽しませた。特に高域側の音が明瞭で、音が空間へと華やかに浮かび上がるようで、S/N感が際立っている印象だ。弦楽セクションは、ボウイングの1つ1つの余韻が決して後に残らず1音1音がクリアで、連符などの細かい動きやフレージングがしっかりと描き出された。
以上のように、PD-151 MARK IIは、初代機からの高S/Nな性能を継承しつつ、さらにサエクコマース社ナイフエッジ技術を搭載したアームによって、実に明快かつタイトな描写力を獲得したプレーヤーだといえる。その瞭然たる音楽表現は、まさに昨年ラックスマンから発売された「LMC-5」と同一傾向のサウンドだといえる。
ラックスマン製のカートリッジや、フォノイコライザーアンプとの相性の良さは勿論のこと、それ以外の様々なアナログ・プロダクトの魅力を存分に引き出してくれる、充実のスタンダード機となっている。
(提供 : ラックスマン)