HOME > レビュー > DITA新イヤホン「Perpetua」が過去最高レベルの高音質!大好物な超ハイエンドイヤホンに出会ってしまった

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第266回】

DITA新イヤホン「Perpetua」が過去最高レベルの高音質!大好物な超ハイエンドイヤホンに出会ってしまった

公開日 2022/07/14 06:30 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ドライバー口径変更の大きな意味



外観からはわからない内部的、技術的な特徴として、ドライバー口径が従来の直径10mmから12mmに変更されたことに要注目したい。

振動板面積にして65%増加とのことだが、その変更が意味するところは実はそれどころではなく、非常に大きいはず。というのも、同社代表のダニー氏は以前に、同社製品の大半に10mm口径を採用してきた理由についてこう述べていたのだ。

「ひとつの口径サイズに開発を集中することで、音質面の改善を継続して積み重ねて行けます。研究の蓄積が生かせるため、音質を追求するために効率的です」

ならば12mm口径の採用は、その「継続的な改善」では到達できないレベルへのジャンプアップを目指しての決断ということだ。同社フラグシップの世代が大きく進んだことを端的に示すポイントと言える。

▼関連記事▼
DITA Audio代表、ダニー氏直撃インタビュー! 超弩級イヤホン「Dream XLS」の真価に迫る


振動板材質には帝人の特殊樹脂「TEONEX」を採用。ポリエチレンナフタレート樹脂の一種のようで、最近に開発された新素材とかではないが、イヤホンの振動板素材としては耳に新しい。古今の様々な材質を改めて検討し、振動板素材としての適性を再発見したということだろう。

そうして、様々な要素を合わせて精密に組み上げたものが「PPT-D」こと「Perpetua-Driver」だ。


パペドラ!(Perpetua-Driverです)
またリケーブル端子部からドライバーへの内部配線には、AUDIO NOTEの4N純銀線を採用する。純銀は最も導電性に優れる金属である上に、AUDIO NOTEのそれはオーディオ界で定評ある逸品。これ以上のものはない。

カッチリ系ではなくソフトでニュアンス豊かな立体感



ではいよいよサウンド・インプレッションだが……

いやこれ一般論としてのサウンド・クオリティにおいて過去最高レベルの「高音質」な上に筆者の個人的な好みとの合致度合いという意味での「好音質」っぷりもすごくて冷静にお伝えするのが難しいやつだよ!思わず「これ売ってくれ!金ならいくらでも出す!」と叫びたくなったが向こうは売る気満々なのにこちらにお金がないのが現実という悲しみ!

…が溢れ出したのだが、その悲しみを乗り越えてインプレッションをお届けしていこう。


Astell&Kern「KANN MAX」にて試聴
まず総合的な印象は、同じくダイナミック型のハイエンド機であるfinal「A8000」と並べる形でお伝えしたい。というのもこの2モデル、音のクオリティとしては共に超高音質でありながら、音作りの方向性は好対照。その音を並べて表現していくと互いの個性がわかりやすくなるのだ。


カッチリ系最高峰のひとつ、final A8000
A8000は彫りが深くカチッとクリアな立体感が持ち味。ひとつひとつの音像も空間全体もハイコントラストで陰影が際立つ印象である。パンフォーカスレンズで手前から奥まで深く焦点が合わされた写真のように、目の前から遠くまでをスカッと見渡せる気持ちよさも与えてくれる。

対してPerpetuaの音像や音場の立体感は、ややソフトでニュアンス豊か。よりナチュラルな立体感といった印象でありつつ、後方の音や背景に意識を向ければそこにスッとフォーカスされるような感覚もあり、その点もまたナチュラルな表現だ。


A8000が見せてくれる光景のイメージ

Perpetuaが見せてくれる光景のイメージ
「クリアとナチュラル」といえば高音の感触もそう言い表せるかもしれない。A8000の高域はクリアあるいはクリスタルな輝きを感じさせる。対してPerpetuaのそれはナチュラルな明るさ。

低音は、A8000もPerpetuaも同じく、余計な膨らみはない。その上でソリッドで硬質なA8000に対して、Perpetuaは弾みやふくよかさを備える。FenderのJazz BassとPrecsion Bassの低音の響き方の違いに似ているかもしれない。

ちなみに両者の総合的な印象を「LUNA SEAのどのアルバムを聴きたくなるサウンドか」で表現すると、A8000では「EDEN」以前、Perpetuaでは「STYLE」以降だ。「Mother」はどちらもそれぞれよい

次ページ楽曲をメロウに鳴らす。さまざまな楽曲でPerpetuaの魅力を徹底検証

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE