【特別企画】OptiBox同梱で光アイソレートも可能
iFi audio、気鋭の“NEO”シリーズ第二弾はストリーマー!最先端の仕様を貪欲に取り込む「NEO Stream」を徹底レビュー
スピーカー再生では、現代的な描写力を持つハイファイな音作りに感心
クオリティチェックは、スピーカー環境とデスクトップでのヘッドホン再生という2つのシチュエーションで実施した。ちなみに、いずれの環境においても「OptiBox」を組み合わせた状態で試聴している。
まずは自宅オーディオルームでのスピーカー再生。取材時の再生システムは、スピーカーにパラダイムの「Persona B」、プリアンプはファンダメンタル「LA10 versionII」にパワーアンプは同「MA10V」という構成。
合計価格は500万円弱のハイスペックなシステムだ。「この中にNEO Streamを投入して大丈夫なのだろうか? もう少し安価なシステムを構築した方が良いか?」と一瞬不安に駆られた。
だがそんな心配はまったくの杞憂に終わり、音を出した瞬間から現代的な描写力を持つハイファイな音作りに感心した。まずはTIDALを使用、再生モードは一般的なモード(All-In-One)として、エド・シーラン『=』から「Bad Habits」(48kHz/24bit MQA)。一聴してイントロのエレクトリックシンセサイザーの音に透明感がある。聴感上のS/Nが高い証拠だ。続いて始まるエレクトリックバスドラムは音の滲みも最小に抑えられており聴き心地の良さもある。
嬉しいのは、再生中の楽曲のアルバムアートが本体に表示されることだ。ファイル再生は無形の存在で味気ない、と言われることもあるが、こういったさりげないギミックで音楽を聴く楽しみは否応なく高まる。
続いてroonからQobuzを利用して、アデルのアルバム『30』より「Easy on me」(44.1kHz/24bit)を再生した。ハイレゾのメリットであるボーカルのリアリティや音場の奥行きも感じ取れるし、エド・シーランで感じたクリアでヌケのよいサウンドの共通点も認識できる。
また、本モデルはBit-Perfect、GTO(Gibbs Transient Optimized)、Minimum Phase、Standardという4種類のデジタルフィルターも搭載しており、ユーザーの好みや音楽ジャンルなどに合わせて音質を可変できる。実際に試してみると、楽曲全体の音調表現や質感に違いが見られる。これは好みに合わせて選ぶのが良いだろう。
DAコンバーターに「NEO iDSD」を投入することで、全方位的な音質向上を確認
次にNEO Streamのトランスポートとしての能力を試すべく「NEO iDSD」を投入。質の高いNEO iDSDのDAC部を利用するのが狙いだ。この場合の接続経路はNEO Stream(USB出力)→NEO iDSD(XLRバランス出力)→プリアンプとなる。デザインが統一されているので、並べて置いてもデザインマッチングが取れているのも嬉しい。
改めてroonからアデルを聴くと、全方位的な音質向上が聴き取れた。同一メーカーなので基本的な音調は一緒だが、分解能や上下のfレンジ、ダイナミックレンジが明らかに向上する。
さらに真打となるroonのExclusive Mode(排他モード)に変更して、再度再生した。正直に話すが、自分のリファレンスとして使用するさらに高級なストリーマーの音質にかなり近づく素晴らしい音質。S/Nが上がり空間の見通しや、楽器とボーカルのリアリティが向上している。
つまるところ、NEO Streamは単体で聴いても基本的な再生能力が高いのだが、NEO iDSDと組み合わせるとさらに音質を昇華させることができるのだ。
ヘッドホン再生のクオリティもチェック!
続いてデスクトップ&ヘッドホン環境にNEO Streamを投入し音質を確認した。
NEO Streamはストリーマーとしての音質/機能向上に特化しており、ヘッドホン端子を持たない。簡易的でもつけてくれればベストだったのに、と思わないではないが、ここで強力な助っ人を用意した。昨今各社がしのぎを削る超小型アイテム、スティック型DACである。
今回はiFi audioの「GO bar」を用意。NEO StreamにはフロントにUSB-C端子があり、USB出力で「GO bar」と接続することで高品位なヘッドホン再生が実現できる。ゼンハイザーの「HD 800 S」を組み合わせて試聴した。
アデルのアルバム『30』より「Easy on me」を再生すると、GO barの性能の高さもあるだろうが、ダイナミクスの強い音で音楽を楽しめる。シームレスで密度感のある中低域によりベースラインも力強い。
さらにクオリティを追求したい場合には、NEO iDSDとの組み合わせがお薦めだ。NEO iDSDとHD 800 Sの組み合わせは、色付けがないニュートラルなサウンドで、分解能も高く、ダイナミクスの異なる楽器が同時に鳴っているときの描き分けも秀逸。NEO iDSDは以前もレビューしたことがあるが、ヘッドホンアンプとしての性能の高さも改めて確認した次第だ。
数々のストリーマーを試してきた筆者だが、NEO Streamのサウンドはかなり強力だった。ハイスペックなレゾリューションへ対応や、豊富な入出力、品位の高く縦/横置き対応のシャーシ、さらにメディアコンバーターの付属やアルバムアートの本体表示機能などオーディオマインドをくすぐる仕様も好印象だった。
内蔵DACを使用してのアナログ出力に加え、豊富なデジタル出力を利用してトランスポートとしての能力も高い。つまり自分自身のオーディオ環境に合わせてこの2つの出力を使い分けることで、最大級の音質によるネットワーク再生を可能とするのだ。現時点で対応していないストリーミングサービスについては、後日のアップデートに期待したいところ。
スピーカーと組み合わせた環境では、デジタル/アナログの数々の音質対策によりコストを超えるサウンドクオリティを実現している。Persona Bはソース機器の粗を全て描き出すほどの能力があるなか、ここまでの音が出せれば合格だ。
本格的な試聴システムでも、デスクトップオーディオでも大いに活躍してくれるNEO Stream。組み合わせ次第でさまざまな使いこなしができることも魅力で、どのようなシステムに組み込んでも、新鮮なオーディオの楽しみをもたらしてくれるだろう。