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マランツの新機軸AVアンプ第一弾「CINEMA 50」登場! 評論家が自宅で速攻レビュー

公開日 2022/11/25 06:35 秋山 真
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AVアンプの設計は過酷だ。ワンボディの中に多数のパワーアンプが入っているだけでなく、DSPや映像回路、ネットワーク、アンテナ周りなど、あらゆる高周波ノイズと常に隣合わせの状態であり、常識的に考えれば、こんな悪条件で同価格帯のステレオアンプと同じ音質が出せるわけがない。

事実、ひと昔前のAVアンプでは、映画ソフトを観ている時にはあまり気にならなかったのに、CD音源を再生すると途端に馬脚を現してしまう製品も少なくなかった。パッと聴きでは迫力があるような鳴り方に感じても、音楽ソースをじっくり聴いてみると、歪みっぽかったり、粗かったりと、いろいろな不満が出てくる。拙宅のリビングにあるAVシステムはハーベス「HL-Compact」にサブウーファー(テレビの裏側に設置)を組み合わせた2.1ch構成だが、駆動するアンプにAVアンプではなくステレオアンプのマランツ「NR1200」を選んだのもそれが理由だ。

背面端子部

自宅で視聴。「低重心かつ厚みのあるサウンド」



では、CINEMA 50の場合はどうなのか? 同価格帯のステレオアンプとなると「MODEL 40n」になるが、幸いにも以前の自宅取材で同じリビングのシステムで聴いているので、その音は記憶に新しい。CINEMA 50を2.1chで使うユーザーはまずいないとは思うが、まずはCDやハイレゾのステレオ音源を幾つか聴いてみた。

秋山氏の自宅に設置されたCINEMA 50

低重心かつ厚みのあるサウンドで、清涼なキャラクターが特徴のNR1200とは明らかに趣が異なる。語弊を恐れずに言えば、「MODEL 40nと同じ音がする」というのが私の第一印象だ。もちろん、分析的に聴けばMODEL 40nには及ばない部分もあるのだが、両者の音色(トーン)が見事に一致していることから、そう感じてしまうのだ。

その秘密をマランツでサウンドマスターを務める尾形氏に尋ねてみると、「AVアンプもステレオアンプと同じように作っているだけです。ステレオの音楽ソースでひたすらチューニングを繰り返しています。映画ソフトを使うのは開発がほとんど終わって最後の確認をする時ですね」と事もなげにおっしゃる。しかし、それは“言うは易く行うは難し”であり、CINEMA 50の内部を見れば、純粋なオーディオアンプとしての基礎体力の高さが、尾形氏の理想を具現化していることは一目瞭然だ。

マルチch試聴。「新たな領域に、マランツのAVアンプが足を踏み入れた」



じつは今回の取材では、自宅リビングだけでなく、マランツ試聴室でもスリムモデルのCINEMA 70s、およびNR1711と直接比較を行う機会があった。CINEMA 70sのレビューは後日に土方久明氏による別記事が予定されているとのことなので、ここではCINEMA50に絞って述べていく。

B&W「800D3」を中心とした5.2.4chシステムという、NR1711にとっては厳しい条件であり(そもそもNR1711は5.2.2chまでの対応だ)、当然ながら全ての要素で歴然たる差が認められたが、なかでも一番印象に残ったのは、CINEMA 50の息を呑むほどの「静けさ」だった。スピーカーケーブルをNR1711からCINEMA 50に繋ぎ変えるだけで、試聴室の空気がシーンと静まりかえるのだ。

この理由について尾形氏は「プリアンプ回路にMODEL 30やMODEL 40nでも採用しているHi-FiグレードのHDAM-SA2を搭載したことが大きい」と分析する。HDAMはマランツが誇る独自の高速アンプモジュールで、一般的なオペアンプでは得られない広帯域、高S/N、高速応答性が特徴のディスクリート回路だが、それを11.4chのプリ部に惜しみなく投入しているのだ。

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