PR音の分離と音場再現は特筆もの
他の追随を許さない“超”空間再現性。HIFIMAN「Svanar」は音楽と一体になれる最高峰イヤホンだ
男性ボーカル曲では藤井風「きらり」にもかなり驚かされた。頭の中から耳の外にまでかけてワイドな距離に広がる音場に歌声を再現し切る衝撃的な情報量。楽曲のなかで遊ぶように入る効果音の空間レイアウトまで把握できて、どこまでも音楽に没入してしまう。やはり低音はタイト志向で、音階の違いすらも正確に聴き分けられる。
聴く度に新しい魅力が発見できる、唯一無二のサウンド
そして、今回最もSvanarの “超” 空間再現を体験できた楽曲が、Ado「私は最強」だ。質感重視で伸びやかな歌声は頭のセンターに定位、左右に展開するギターの位置まで理解できる。さらに再現された広大な空間を曲中の様々な楽器が満たすという、まるで音楽と一体となるような体験ができた。
ジャズの再現性も絶妙だ。ダイアナ・クラール「夢のカリフォルニア」を聴くと、改めてSvanarは質感表現と空間再現に振り切っていると気づく。ピアノの響きの美しさを追求し、ウッドベースの弦の動きまで見えるような艶っぽさも見事。特にこの中低域の再現には、Svanarのサウンドキャラクターが最も発揮されているように思える。
クラシックの「ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集《四季》 作品8 第1番 ホ長調 RV269《春》」では、中域の分離の丁寧さ、そして高域までの美しい再現性を発揮。特筆したいのは弦楽器の極限まで伸びていく情報量とキツさのなさを両立しつつ、さらに演奏の抑揚に依らず音色の繊細さをキープできるところ。そして高域の帯域内での音の繋がりの良さ、中低域のダイナミックさと音分離の素晴らしさ。まさに音楽の全域に妥協がないといえる。
Svanarは定価229,900円(税込)とハイエンド帯のイヤホンではあるが、僕は聴いた瞬間にその価値があると判断できた。それは、ただ音の解像度が高い、音場が広い、高域が美しいといったところのみでは語り尽くせない、新しい音楽性の発見とでも呼ぶべき領域。ぜひともイベントや店頭やその音を体験して、唯一無無二のサウンドの魅力に触れてみてほしい。
(提供:株式会社HIFIMAN JAPAN)