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PR開発者であるコルグスタッフによる技術解説も

Live Extremeは「ライブ配信の限界を打ち破るかもしれない」。音楽評論家・小野島大が大友良英×小山田圭吾の貴重ライブに感じた“可能性”

公開日 2023/04/20 12:00 小野島大(音楽評論家)/大石耕史(コルグ)
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11月14日には、コルグの系列スタジオである「G-ROKS」からDSD音声を含むLive Extreme配信が行われたが、やはり一般公開されたのは192kHz/24bit音声までで、DSD音声はコルグのショールーム「KORG Experience Loundge」でのパブリック・ビューイングでのみ公開された。

Live Extremeのロゴ

DSDを一般公開しなかった理由はいくつかあるが、オーディオ・デバイスの設定が少々煩雑になるDSD再生をカスタマー・サポートできる体制が当時なかったことが大きい。しかし、Live Extremeはその後2年ほどで80公演以上の配信に利用され、配信プラットフォームとの連携も強化されつつあるところで、今回満を持してのDSD配信解禁となった。

公演会場は、前出の國崎さんが運営している「RITTOR BASE」。出演者にPremium Studio Liveの第1弾アーティストである大友良英さんが含まれているのが何とも運命的である。お気づきの方もいるかもしれないが、今回のLive Extreme配信の開演前に流れていた音楽は、Premium Studio Liveで収録された「BOW」からの楽曲であった。

DSD配信技術解説 PrimeSeatとLive Extremeとの違いは?



実はPrimeSeatとLive Extremeでは、DSDの配信方法が大きく異なっている。PrimeSeatにはプレイヤーとしてネイティブ・アプリが用意されていたため、配信側は独自仕様で送出することが可能だった。一方、Live Extremeはウェブ・ブラウザでの再生となるため、ウェブ・ブラウザが対応している形式で配信する必要がある。

Live Extremeはブラウザ経由で視聴できるため配信視聴にあたって専用アプリなどを用意する必要がない

■DoP(DSD over PCM frames)

WindowsもMacも、192kHz/24bitのハイレゾ・オーディオには標準対応しているものの、さすがにDSDまではサポートしていない。そこで、Playback Designs社を中心としたグループによって、2012年に提案されたのが「DoP(DSD over PCM frames)」という規格で、特にMacのDSD再生においてはデファクト・スタンダードになっている。技術詳細は上記記事に任せるとして、簡単に言うと、DSDの1bitデータ列をPCMに偽装して収録・伝送する方式である。稀に混乱している人が見受けられるが、これはDSDをPCMにダウンコンバートしているわけではなく、PCMのフレームに1bitのデータ系列をそのまま収録しているだけなので、適切にD/AされればDoP化による音質劣化は一切生じない。

DoPはもともとUSB-DACのために開発された技術であるが、実はウェブ・ブラウザでのDSD再生にも応用できる。Live Extreme EncoderはDSDでA/D変換された信号を即座にDoP化し、通常のPCM配信と同様、FLAC/ALACでロスレス圧縮した後、サーバーに伝送する。再生側のウェブ・ブラウザは、これを普通のPCMデータと解釈してDACにそのまま送ることになるが、DACがPCMフレーム内のDSDマーカーを検出することで、PCMフレーム内の1bit信号がDSDとしてD/A変換されることになる。

■DoP再生の注意事項

DoPはデータ列をDACまでビット・パーフェクトで伝送することによって初めて適切にD/A変換される。このため、再生前に以下の点に注意されたい。

1) OSのサンプルレートを176.4kHzに変更する(DSD 2.8MHzコンテンツの場合)
2) カーネル・ミキサーのボリューム設定を1.0に設定する
3) ウェブ・ブラウザ内のプレイヤーのボリュームも「最大」にする

次ページ「今後も究極のオーディオ配信技術を追求していく」

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