ティアックの「NT-505-X」にアクセサリーを追加しよう
ネットワークオーディオはアクセサリー追加でもっと楽しめる! 最新7アイテムをトコトン聴き比べ
ZONOTONE LANケーブル「Shupreme LAN-1」
お次はLANケーブルを変えてみよう。極めて優秀な製品を私もいくつか知っているが、今回はゾノトーンの「Shupreme LAN-1」を起用することとする。7N銅とPCUHD、純銀コートOFC、高純度OFCの4種導体をハイブリッドとし、8本の芯線を非常に特殊な配置としたケーブルである。
クラシックのオケ物は実体感が激増、音量が上がったかのようにどっしりと定位する音像、しかもそれへ嫌味にならない程度の艶が乗り、ガンガンくる感じと聴きやすさを高度に両立した、まるで魔法のようなサウンドである。
歌物はピアノがコロコロとよく歌い、歌手もそれに負けじと伸びやかな歌唱を聴かせる。無理をしている感じがまるでなく、音源本来の情報を描き出すとこうなる、という風情にどこか貴族的な気品と艶やかさを加えつつ描き切るのが素晴らしい。
ジャズはドラムスの厚みが大幅に増し、ウッドベースもその巨躯から軽々と音波を発しているさまが見えてくる。ケーブルを変えただけなのに音量感が大幅アップするのだから、面白いというか恐ろしいというか。これは測定しても検出される差ではなく、再生音の立ち上がり/立ち下がりが峻険になり、エネルギー感が向上するためと考えられる。
ポップスはダミ声の太さがアップ、しかし胴間声ではなく声全体の厚みが向上したのだろう、違和感は微塵もない。伴奏もスケール感大幅向上、太くなっても引きずる感じがなく、軽快に弾むのが実に好ましい。
SFORZATO クロックジェネレーター「PMC-Libra」
20万円そこそこの製品であるにもかかわらず、NT-505-Xには10MHzクロックの入力端子が装備されている。これを活用しない手はあるまい。そこで、スフォルツァートのマスタークロック・ジェネレーター「PMC-Libra」を起用してみた。厳選された水晶発振器を搭載した非常にしっかりした作りの製品ながら、10万円以下とこちらも戦略的低価格が付された製品だ。
クラシックのオケ物はとてつもない見晴らしの良さに仰天する。結構な編成の楽員と楽員の間に空間が見えてくるような音、といったらお分かりいただけるだろうか。チェロのソリストは堂々と定位しつつ周辺の空間へよく融け合い、楽器と演奏者の姿が見えてくる。
歌物はピアノが流麗に流れつつ、Dレンジが着実に拡大していることが分かる。声は抑揚を巧みに伝え、飾り気のない、しかし豊かな歌唱を聴かせる。マスタークロックの搭載がデジタル再生によく効くことは知っていたが、これはかなり大きな違いだ。
ジャズはドラムスのピントがピシリと決まり、楽器が前にせり出してきたかのような大迫力が素晴らしい。ウッドベースも等身大の巨体をクッキリと定位させ、大迫力でよく弾む。こんなにクッキリ鮮やかな表現をこの音源で聴いたことがない。
ポップスはダミ声を覆っていたモヤや埃の類が払い落とされ、クッキリと囁き、呟くさまが見えてきた。ここまで澄むとブルースの聴き心地も劇的に良くなるもの。日常的に用いている試聴音源がこんなに優秀録音だったのかと、改めて驚いている。
FERRUM AUDIO 強化電源「HYPSOS」
ネットワークオーディオにはいろいろ “小物” グッズがあるもので、それらの多くはACアダプターから給電されている。昨今は高品位ACアダプターの類が結構なメーカーから発売されているが、そこに君臨する注目アイテムはポーランドのフェルム・オーディオが開発した「HYPSOS」であろう。
スイッチング電源は瞬時電力供給力などに優れる半面、高周波ノイズ源となることからオーディオでは嫌われることが多いが、本機はリニア電源と組み合わせることで副作用を抑えた理想的なDC供給を可能にした。多くの機材についてプリセットが用意されている他、手動で電圧を設定することもできるという、何とも画期的な電源装置である。
今回はハブに接続して聴く。クラシックのオケ物は青天井に広がる感じが堪らない。音像の一つひとつに適度な艶がつき、しかしそれに邪魔されてスピード感が損なわれるようなことがないのが好ましい。カラっとよく晴れた初夏の青空を思わせる爽やかさと、軟玉の細工物を思わせる柔らかな艶やかさは、これまで味わったことのないものだ。
歌物は声の質感が柔らかく、しかし抑揚を損なわないのが素晴らしい。これまで音に余分なトゲ、ヒゲがついていたのだなと実感する。普通こういう歪みを除去すると音量感が若干下がるものだが、その気配が全然ないのも面白い。
ジャズはドラムスが軽やかさを増した。これも歪み成分を除去したためと推測される。ウッドベースも柔らかな肌合いの中にしっかりと弾む姿を表現し、どちらかというと攻撃的な音源だというのに何とも聴き心地の良い風合いになってしまった。でも、これはこれで悪くない。
ポップスは声がグッと耳許へ寄り、異様な生々しさが素晴らしい。バックの演奏も軽々と音を発する。もともと音像を凝視しながら楽しむ類の音源ではないが、それにしてもここまで肩の凝らないハイファイはなかなかないのではないか。