PR新世代薄型AVアンプの魅力を逆木 一氏がレポート
自宅導入した評論家が「最高」と絶賛。マランツ「CINEMA 70s」、じっくり半年使ってわかった魅力とは?
リビングシステムのスピーカー構成は、リファレンスとしてフロントにB&Wの「706S2」、サラウンドにParadigmの「Monitor SE 3000F」、リアにPolk AudioのDolby Atmos Enabledスピーカー「Monitor XT90」を使っており、デスクトップシステムと同じく4.0.2ch構成となっている。
筆者が初めてマルチチャンネル・サラウンド環境を構築した時からずっとリファレンスとしてきた『プライベート・ライアン』『鴉 -KARAS-』(当時のDVDではなく、UHD BD/BDではあるが)を再生してみれば、CINEMA 70sを中心としたシステムからは完全に「エントリー」の領域とは隔絶した体験が得られることが如実に体感できる。CINEMA 70sのコンパクトさからはイメージできないほどの中低域の充実は見事と言うほかなく、これもまたNR1608からの著しい進化点だ。
なお、706S2はバイワイヤリング対応であり、CINEMA 70sのアンプ割り当て次第ではバイアンプ駆動が可能である。706S2をバイアンプ駆動すると、中低域の躍動感が格段に高まるとともに、高域の伸びや繊細さ、全体の透明感なども一気に改善され、文字通りグレードの違う再生音が得られる。容易にバイアンプが可能なのはAVアンプならではの機能であり、CINEMA 70sを使うならばこれを活かさない手はないだろう。
バイアンプ駆動もおすすめ
ここで筆者も含めておおいに気になるのは、ずばり「フロント2chをバイアンプ駆動する5.1chのシステムと、スピーカーをフルに繋いだ7.1chもしくは5.1.2chのシステムはどちらが良いのか」ということだろう。
結論から言えば、筆者としては「バイワイヤリングに対応するスピーカーをフロントに使っているのなら、チャンネル数よりもバイアンプを優先する」ことをおすすめしたい。
特に、部屋が狭くサラウンドスピーカーとサラウンドバックスピーカーの距離がほとんど取れない場合や、天井にスピーカーを付けるのが困難でDolby Atmos Enabledスピーカーを使わざるを得ないような場合であれば、フロント2chバイアンプがもたらす純然たる再生音の向上は、単純なチャンネル数の増加のメリットを上回る。実際、706S2をバイアンプ駆動する4.0chの再生音は、Monitor XT90を加えた4.0.2chの再生音よりも満足度が高い。
さらに、コンパクトなAVアンプであるCINEMA 70sは一般的なリビングルームと親和性が高く、映像コンテンツのみならず音楽再生の比重も高いため、その意味でもフロント2chの充実を優先した方が、トータルでの満足度が高まるというのが筆者の考えだ。Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオフォーマットが登場して以来、チャンネル数の多さを志向する傾向がいっそう強まったと感じるが、必ずしもチャンネル数を追求することだけが正解ではない、ということは覚えておいてほしい。
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