PR伝統の設計思想を継承しながら高品位パーツを刷新
Auraの名機が“再誕”!ピュア・アナログ思想「VA40 rebirth」で現代スピーカーを鳴らしきる
■Harbeth「HL-P3ESR XD」
まずは英国の伝統を現代に受け継ぐハーベスの小型2ウェイ・スピーカーの代表として「HL-P3ESR XD」を鳴らす。110mm・ウーファーは今回聴いたなかで最も小口径だが、密閉型ならではの良質な低音は他では置き換えられない魅力がある。キャビネットの響きを制振材(ビュチューメン)でコントロールするなど、一歩踏み込んだ手法の成果も注目に値する。
躍動感に溢れ聴かせどころも的確に押さえる
VA40 rebirthで鳴らすHL-P3ESR XDの魅力はバランスの良さに集約できる。モンハイトのヴォーカルは豊かなボディ感とクリアな発音が両立し、ホーン楽器群の量感と押出しの力感はサイズの制約をまるで感じさせない。生命感や躍動感にあふれるAuraの美点と、聴かせどころを的確に押さえるハーベスの長所が相乗効果を発揮し、高揚感が半端ではない。
LPで聴いたライナー指揮シカゴ響の「イベリア」も録音年代を忘れさせるほど鮮度が高く、低音楽器の支えも期待以上に厚みがある。VA40 rebirthは密度と量感が両立した低音を引き出すのが得意と実感した。
■Bowers & Wilkins「705 S3」
上位の「800 D4シリーズ」から多くの技術を引き継いだ「700 S3シリーズ」は、ミドルクラスのスピーカーのなかでも情報量の余裕が際立つ存在。トゥイーター・オン・トップ構成の「705 S3」は空間再現の精度の高さにも目を見張るものがあり、アコースティック情報が豊富な音源で強みを発揮する。
音色の描写が抜群で本来の鮮度を引き出す
ステージに10本の金管楽器が並ぶアークブラスの演奏をVA40 rebirthとの組み合わせで聴くと、左右の並びだけでなく前後の位置関係まで正確に再現し、立体的なアンサンブルが展開。音色を描き分ける能力が抜きん出ているから、楽器の違いは言うに及ばず。同じ楽器同士でも奏者ごとの音色の違いまで聴き分けることができた。
LPで聴いたリッキー・リー・ジョーンズ「マガジン」はドラムとホーン楽器のアタックが一瞬の隙もなくピタリと揃い、意外なまでの音圧の大きさに身体ごと反応した。ヴォーカルは高音まで痩せずに高密度で勢いの強さも圧巻。レコードから本来の鮮度の高さを引き出すことがこの組み合わせの強みだ。
■ELAC「VELA BS404」
「VELA 400 LINE」に最近追加されたばかりの「VELA BS404」は180mmウーファーとJETトゥイーターを組み合わせた2ウェイ構成で、サイズは今回聴いたなかで最も大きい。そのゆとりは再生音に如実に現れており、中低域の支えの厚さやオーケストラのスケールの大きな表現は他の追随を許さない。
量感と解像感が両立した力強いサウンド
ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドンのラヴェル「マ・メール・ロワ」はオーケストラの瞬発力が大きく、余韻が広がる空間も広々としている。弦楽器のピチカートが聴き手のすぐ前まで飛んでくる雰囲気はホールでの体験を彷彿とさせた。スリムなVA40 rebirthからここまで力強いサウンドが生まれるのはにわかには信じがたいが、紛れもない事実だ。
45回転盤のLPで聴いたブロンバーグ「HANDS」ではコントラバス最低音域でのボディの共鳴までリアルに再現するとともに、ハイポジションでは一音一音の粒立ちの良さを際立たせる。つまり、量感と解像感が見事に両立しているのだ。ブックシェルフ型としてはサイズの大きなスピーカーだが、アンプの駆動力になんら不安はない。
多様なスピーカーからそれぞれの個性を引き出すこともアンプの重要な役割だ。今回、三者三様のブックシェルフ型スピーカーからそれぞれの魅力を引き出し、VA40 rebirthの表現力の広さをあらためて確認することができた。Auraの長年のファンから、新たなオーディオファンの声にも応えてくれるだろう。
[SPEC]
●定格出力:50W+50W(8Ω) ●主な入出力端子:アナログ音声入力(RCA)×3、PHONO入力×1、ヘッドホン出力×1 ●消費電力:16W(最大210W) ●外形寸法:430W×76H×350Dmm ●質量:7.2kg
※VA40 rebirthの発売時期について
VA40 rebirthは日本国内で製造を行っており、特注パーツ入荷時期の関係で、初回リリースは11月上旬を予定。本製品は限定生産ではないが、ディスクリート構成の基板製作に時間を要するため、発売当初は予約分から順次出荷となる可能性がある。