PRUPnPサーバー/ネットワークトランスポートで前旗艦機と聴き比べ!
音質・機能ともに衝撃の進化、第二世代fidata・AS2の魅力を徹底試聴。Roonサーバーの音質もチェック
音質対策のポイント -オーディオ機器としてのグラウンドやノイズ対策-
ここまで、ソフトウェア/ハードウェアの進化について語ってきたが、今回のAS2において何よりも重要なのは、その音質面での顕著なアップデートである。
fidataのオーディオ開発の真髄は、コンピューター基板設計にオーディオの流儀を取り入れていることだ。fidataブランドを擁するアイ・オー・データ機器はPC周辺機器メーカーとして長年の実績があり、自社で基板を設計できる強みを持つ彼らは、通常のPCやマザーボードでは実現できない、グラウンド対策やノイズの回り込み防止といった種々の音質対策を専用設計で実現している。この回路基板の設計は初代AS1、上位モデルXS20、CDドライブAD10と積み上げてきたfidataブランド8年間のノウハウが込められている。
たとえばAS1シリーズの上位モデルHFAS1-XS20で初めて採用されたリニアパワーコンディショナーは、当初はSSD電源部にのみ利用されていたが、AS2ではメイン基板全体に採用することで、大幅な向上を果たしている。またAD10で初採用した音質用厚膜抵抗も、本機では全面採用されるといった具合だ。
他にもM.2 SSDひとつとっても、音質観点でのSSD選別はいうまでもなく、ヒートシンクさえも複数種の聴感テストにより採用している。さらにSSDのヒートシンクの接続部に銅板を挟み込むなど徹底した音質チューニングが実施されているのだ。
さらに超低位相ノイズ水晶発振器やオーディオグレードの電源コンデンサーなど高品位なマテリアルを搭載。グラウンドの引き回し方法も変更されている。シャーシサイズやデザインなどを前モデルから大きくは変えたくない、という意図もあったようで、あくまで “設計” で勝負をかけてきたところにfidataブランドの矜持も見える。
今回はSSDモデルのみで、HDDモデルは存在しない。これまでの製品ではHDDとSSDと双方が配置できるように設計されていたが、AS2ではSSDのみに絞ったのも、そのほうが音質面で有利という判断もあったようだ。また息の長いオーディオ製品として活用してもらうことも考え、経年劣化で故障率が大幅にあがる点からもハードディスクの採用を見送ったようだ。
そして最後に電源コネクターだ。既存モデルの2pinから3pinコネクターに変更されていることに加え、その左隣には「12Vdc」と記載された見慣れぬ端子が搭載されている。これは外部電源供給用の端子だろう。外部のパワーサプライからの電源供給を受けることで、さらなる音質向上を図る可能性も残されているようだ。