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PCオーディオの外付けドライブとしても活用

fidata初の“オーディオグレード”CDドライブの実力は? リッピング&リアルタイム再生でテスト

公開日 2022/06/23 06:30 小原由夫
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“オーディオグレード”を徹底追求したディスクドライブが初登場



本記事をお読みになっている貴方は、いま現在どのようなシステム構成でCDを楽しんでいるのだろう。居間のBDレコーダーで聴いているという人もいるだろう。専用プレーヤーという方もいれば、PCのディスクドライブという人も多そうだ。

ネットオーディオを実践している方には、CDリッピング用にPCドライブ等を利用しているケースが多いと思われる。そうした場合でも、オーディオラックには専用プレーヤーが長い間あるという例が大半と思う。

今回紹介する製品は、そうした状況におもしろい変化を与えてくれそうな、たいへん興味深いモデルといってよい。PC関連機器メーカー/アイ・オー・データ機器が擁するハイエンドオーディオブランド「fidata」から登場した、オーディオディスクドライブ「HFAD10-UBX」(以下「AD10」)である。

オーディオディスクドライブ「HFAD10-UBX」(495,000円/税込)。実はCDだけではなく、DVDやBlu-ray等の読み込みも可能 photo/田代法生

fidataからはこれまで高音質化に向けて仕様を吟味したネットワークサーバーが多数リリースされてきたが、それらと同じコンセプトで設計された本格的なオーディオディスクドライブは、本機が初めてとなる。これがハイエンドオーディオファイルはもちろん、ネットワークオーディオ愛好家にも支持されるユニークなフィーチャーを備えているのだ。では、早速その詳細を見ていこう。

fidataサーバー&DACと組み合わせればCDプレーヤーにも



AD10はfidataを始めとしたオーディオサーバー等と組み合わせることで高品位なCDリッピングが可能となるアルゴリズムを基礎とする。リッピング時は高精度な信号読出しを行なう「PureRead4+」が動作し、「fidata Music App」との連携操作にて楽曲のメタデータやアルバムアートが自動的に取得される。もちろんその際には、ビットパーフェクトリッピングが成立する。

ディスクトレイを引き出したところ。CDのリッピングはもちろん、リアルタイム再生も可能。SACDについては、SACD層の再生はできないがハイブリッド盤のCD層の再生も可能

リッピング時の形式はWAVまたはFLACの選択ができ、さらにFLACでは無圧縮を含めて3段階の圧縮レベルが選択できる点が嬉しい。ちなみに「PureRead4+」はパイオニアが有する独自機能で、エラーデータ補間の発生を低減する動作に定評がある。本機は同社以外のディスクドライブで同機能が公式に採用された初めてのモデルとなる。

「fidata Music App」におけるCDリッピング時の設定。Accurate Ripのオンオフの他、リトライ設定やリッピングフォーマットの設定も可能

もうひとつAD10がユニークな点は、fidataオーディオサーバー等と組み合わせて音楽CDのリアルタイム再生が可能になるということだ。ネットワークオーディオプレーヤーまたはUSB-DACのいずれとの組み合わせにおいても、「fidata Music App」から、ファイル再生と同じ手順でCDの読み出し、再生ができる。

リアルタイム再生時には、アプリから「#CD」という項目で選択・再生ができる。ネットワークに繋がっていればリアルタイムでGracenoteからデータベースを読み込むことも可能だ

もちろん、インターネット環境からメタデータやアルバムアートワークをピックアップすることもできる。ここでもパイオニアが独自に開発した「RealTime PureRead」機能が働き、こちらもまたリアルタイムでのデータ補間の発生頻度を抑えてくれる。

このように、USB-DACと接続する場合はCDトランスポートして機能することになるわけだが、いわゆるLAN-DAC接続が可能なDiretta対応機(スフォルツァート製DAコンバーター等)と接続を行なえば、音楽CDをDirettaで再生することもできるのが興味深いところである。

筐体から内部構造まで、細部まで音質に配慮した設計



本体は虚飾を排したシンプルかつプレーンなデザインで、ディスプレイ等が一切ない。ディスクトレイのイジェクトボタンでさえ、メタルセンシングスイッチを用いて凹凸を排除している。このフロントパネルはアルミブロックからの削り出しだ。天面と側板は極厚アルミパネル製。

トレイ右の「イジェクト」マークをタッチすることでトレイの引き出し、収納ができる。またフロントのランプは設定でオン/オフできる

筐体全体は2.3mm鋼板の曲げ加工によるもので、高い剛性を確保。fidataサーバーと同じアルミ削り出しインシュレーター(3点/4点支持が選択可能)も相まって、ハイエンドオーディオ機器が収まったオーディオラックに同居させてもまったく違和感のないコスメティックと堅牢さを備えているのだ。

足元はアルミ削り出しによるインシュレーターで振動対策にも配慮

「AD10」の背面を見ると、オーディオサーバーと接続するUSB-B端子とは別に、USB-DACや増設用HDD等と接続可能なUSB-A端子を2系統備える。fidataのサーバーはUSB-Aポートをひとつしか搭載していないため、外付けドライブとUSB-DACを複数接続することができなかった。この弱点を補うため、今回の「AD10」はUSBポートを2系統搭載し、USBハブとしても使用できるようになっている。ポートの下に「for Audio」と記載のある側は音質にも配慮されたポートとなっており、こちらをUSB-DACに接続するのが推奨となり、メーカーはHFAS1シリーズにUSB-DACを接続するよりも高品質なポートと謳っている。AD10の導入でUSBトランスポートとしても向上が期待できるようだ。

背面端子は、USB typeA(オーディオ出力用1系統と外付けHDD等接続用を1系統)、それにfidataサーバーと接続するためのUSB typeB(3.0対応)を搭載する

USBポートを2系統搭載しているため、USBハブとしても利用できる

UHD-BD再生にも対応したパイオニア製プレミアムドライブ・メカは、この筐体内に横方向からフローティングリジットマウントにて固定されている。ドライブ本体に応力をかけないこの機構は、銅製ワッシャーで微振動を吸収するよう細部のケアも行き届いている。

使用パーツも贅を尽くしたものだ。非磁性体タイプの厚膜抵抗は、オーディオ用に開発されたものだし、ニチコン製MUSEシリーズ電解コンデンサーも然り。超低位相ノイズ水晶発振器を採用し、基板上のグランドを複数に分割することで共通グランドによるスイッチングノイズの干渉を防ぐことにも配慮した。

AD10の内部構造。ディスクドライブの取り付け方法においても、これまでのfidataブランドで培った音質対策が盛り込まれている

電源はシステム用とドライブ用を分けたホスピタルグレード60Wスイッチングタイプを2基搭載。その出力をリニアレギュレーターと組み合わせるという徹底ぶりである。

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