PR技術詳細を開発スタッフに聞いた
デノンの伝統と最新技術が邂逅。新旗艦レコードプレーヤー「DP-3000NE」を聴く
■コントラストの高い表現力、アルバムの特色を最大限に発揮してくるようなプレーヤーである
DP-3000NEはマニアにもビギナーにも大変使いやすい設計になっていた。さて、いよいよ試聴である。プリアンプはアキュフェーズ「C-2900」、これに内蔵するイコライザーアンプを使用。パワーアンプは「P-4500」。スピーカーはB&W「800D3」である。
カートリッジは前述したオルトフォンERで、解像度が高く低音は引き締まり強力なダンピングを効かせる。普通はエクスクルーシブ「P3a」に装着しているので、どのような違いがあるのか楽しみである。なお、出力端子はRCAで、ケーブルは付属品もあるが、リファレンスにしているゾノトーンのフォノケーブルを用いた。
本製品には電源ケーブルも付属しているが、筆者がリファレンスに採用しているオヤイデ「AXIS-303GX」を使用。付属の電源ケーブルも試してみたが、音は多少ゆるみ、分離やレスポンス、音像定位の明確さは後退する。電源ケーブルも性能に大きく影響するため注意が必要である。最高の性能を引き出すには交換して使いたい。
LPは「ニュー・パステル/笠井紀美子」(1984年)。解像度の高い抜群のアルバムで、このA面1曲目を聴いた。もう1枚はウィンダム・ヒル系のフュージョン「アンディ・ナレル/スローモーション」(1989年)からA面2曲目。
オルトフォンERの負荷条件は、C-2900では100Ωより30Ωが最適であった。まず、ハウリングマージンを調べておく。通常の音量は8時のボリューム位置であるが、ハウリングの発生は11時半であった。これは、かなりマージンが大きい。インシュレーターの性能やキャビネットの材質が関係しているようだ。
笠井紀美子は、引き締まる低音の躍動をダイナミックに引き出す。サウンド展開は一斉に音像を前に立ち上げて、陰影を明確に表現して解像度の高いエネルギー展開に楽しくなる。低音リズムのはぎれの良さに注目する。ゆるまず正確にして分解力が高い。
写真でいえばコントラストを高く表現する特性を持っているプレーヤーと考えた。サウンドの活気ある部分を、より高めてくるようなものだ。
また、笠井紀美子の中央にフォーカスする力が大変優れている。揺るぎなく立体感を感じさせる。明確に定位する様子は素晴らしい。そして、とにかくSN比が高く静かである。そこから音の立ち上がる勢いが魅力である。スピーカーの前に向かって明確な音像を構成するサウンドがあった。
「アンディナレル/スローモーション」では、そのスケールとダイナミックなエネルギーに圧倒された。音は林立して各パートの位置が大変明確に構成されている。これはLPの録音の特徴でもあるが、こんなに解像度が高くダイナミックに聴こえたことはなかった。アルバムの特色を最大限に発揮してくるようなプレーヤーである。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)