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ヤマハのオーディオ技術最前線。ネットワークレシーバー R-N2000A/R-N1000A/R-N800A/R-N600A 4機種の音質を徹底聴き比べ!
ヤマハのネットワークレシーバー4機種が揃い踏み!
2023年5月に「R-N2000A」を先行発売、この9月に中堅機種「R-N1000A」「R-N800A」を導入、10月にベーシック機「R-N600A」が加わり、ヤマハのネットワークレシーバーのラインナップ全4機種が揃った。
最上位機種N2000Aは価格429,000円のエントリーハイエンド。N1000Aは198,000円と半額以下、N800Aは143,000円、ベーシック機N600Aは88,000円で買える。この間口の広い陣容からオーディオが変化の真只中にある今、R-NシリーズがAVサラウンドアンプ、トラディショナルなプリメインアンプと並ぶ新しいヤマハの柱であることが窺える。
30万円以上の価格幅だがヤマハの考えとして、できるだけシリーズの原器N2000Aに積んだ機能を落したくなかったらしい。メインのネットワーク機能は、全機種同じである。Amazon Music、Deezer、Spotify、Radiko、AirPlay、Tidal Connect(日本向けサービス開始未定)には4機種すべて対応済み、Qobuzも日本でのサービス開始に向けて対応ファームウェアの公開が始まっている。
PCMは384kHz/32bitまで、DSDは11.2MHzまで再生可能、という点も4機種で変えていない。フォノ対応、アナログFM/AMチューナーも共通(N2000AはFMのみ)、N800A以上の3機種に、ヤマハの特徴である自動音場補正機能YPAO(※)が同じ内容で搭載されている。
※編集部追記:YPAO(Yamaha Parametric room Acoustic Optimizer)とは、同社のAVレシーバーにも採用されるリスニング環境に応じて最適な音を生成する自動音場補正機能である。付属の専用マイクを使用して部屋の反射を測定し64bitの精度で演算、その結果を反映し補正する機能となる。初期反射音を積極的に制御する「YPAO-R.S.C.」とラウドネスコントロールの効果を高める「YPAO Volume」の機能も搭載する。
R-N2000AとR-N1000AにはHDMI端子を搭載。アンプのグレードにも差をもうける
それでは4機種の違いはどこにあるのか? 大きな差異に、N2000AとN1000Aにはテレビをハブとして使い放送音声やBlu-rayディスク、映像ストリーミングサービス等の音声を再生するHDMI ARC機能が搭載されるが、N800AとN600Aは搭載しない。
HDMI ARCの搭載は今年のオーディオアンプのトレンドであり、各社各様の考え方がみられる。価格が下がるほどテレビとの親和性が高くなると考えるか、逆にオーディオ中心に聴ければいいと考えるか、マーケティングの過渡期にある。ヤマハの場合、エントリーゾーンでは、配信を中心に楽しむ使い方を想定して下のクラスではHDMI系機能は外した。
むしろ機能以外、オーディオアンプとしてのスペックと地力の違いが4機種のワイドレンジを生み出したと考えていい。デジタル面を見ると、DACチップにN2000AはESSの「ES9026PRO」を搭載したが、N1000A/N800AはESSの新製品「ES9080Q」をヤマハとして初めて使った。
上位の9026が電流モードでだけ複数のDAC回路を同時に使えるのに対し、9080Qは差動モードで動かすことができるので、8chのうち2chずつを差動回路でLRとして使った。いっぽうN600Aは「ES9010K2M」を採用した。
全機種アナログAB級だが、むしろアンプの構成が4機種の最大の違いを生み出している。N2000Aはトロイダルトランスを搭載するのに対しN1000A/N800/N600AはEI型トランスである。EIは効率がよくワッテージが取れる利点があり、N2000Aの定格出力90W+90W(8Ω)に比べ、N1000A/N800Aは100W+100W(8Ω)、N600Aは70W+70W(6Ω)である。
N1000AとN800Aはトランスが同じでも、使っているコンデンサや抵抗が違うため、スペック上の数値や性能指数は変わらないが、N1000Aは音楽再生に関してよりハイグレードなアンプになっている。
細かい所では、N1000A/N2000Aは5年間保証がつく。一方のN800A/N600Aは1年保証。他に、外装色がN1000A以下はシルバー/ブラックの2色だが、N2000Aは国内黒のみ。ヨーロッパではシルバーも出している。