上位機のエッセンスを受け継ぐ4製品を比較視聴
アナログプレーヤー「30万円以下」厳選4モデル一斉レビュー。REGA/ELAC/ティアック/テクニクスの注目機を聴く
■TEAC「TN-5BB」試聴:「ステップアップにも着実に応えてくれるプレーヤー」
ティアックのラインナップの中で、最上位に位置するアナログプレーヤー。本体に、漆黒の人造大理石やピアノブラック仕上げのMDFを採用するほか、20mm厚のアクリル製プラッターを搭載するなど、上質な佇まいを実現。音質面でも、プレーヤーの要となるトーンアームにSAECブランドと共同開発した高感度ナイフエッジアームを装備するほか、バランス出力にも対応するなど、最上位機種に相応しい技術が搭載されている。
操作性も高く、ツマミの操作だけで3種類の回転スピードを即座に切り替えられたり、アームの上げ下げもボタンによって自動で行なうことが出来るので、プレーヤー操作に慣れていない人も安心して扱える仕様が細部に盛り込まれている。
歌声から楽器まで分離感が優秀でホール音も描き分ける
一聴して、静けさに満ちた、カチリとした剛性感の高い音を楽しませてくれる。ボディに、硬度の高い人造大理石やピアノフィニッシュを採用している恩恵だろう。加えて、ナイフエッジ方式のベアリングを採用したアームのおかげか、歌声や楽器の分離もすこぶる良好だ。
クラシックでは、オーケストラの楽器それぞれの姿がはっきりと分離する他、楽器の直接音とホールに響く間接音とがしっかりと描き分けられる点に感心させられる。カートリッジ交換は勿論、バランス出力を用いるなど、ステップアップにも着実に応えてくれるプレーヤーと言えるだろう。
■TECHNICS「SL-1200GR2」試聴:「とにかく静かで明瞭な表現が特長」
幅広いラインナップを備えるテクニクスからは、上位モデルをピックアップ。アイコニックな筐体デザインはそのままに、高い回転精度と低振動を実現した新モーター駆動技術「ΔΣ(デルタシグマ)-Drive」を投入。
電源部も、瞬時供給能力が高くハムノイズの少ないスイッチング電源に加えて、同社のフラグシップモデルに搭載しているノイズ除去回路を組み合わせるなど、テクニクスのデジタル技術の粋が詰め込まれた入魂モデルとなっている。他のモデル同様、トーンアームの容易な高さ調節機能や回転ピッチ調整機能、スタイラスライトなどを搭載し、高い機能性も誇る。
ディティール描写が明瞭で情報量が豊富なサウンド
とにかく静かで明瞭な表現が特長だ。音の余韻がタイトで曖昧さがなく、正確な再現力が厳格に追求されている印象なのだ。音楽再生を完全に掌握している支配力を感じる。ディティール描写がとても細かく、たとえば、ボーカルはビブラートの音のひだをつぶさに観察させるほど。発声の強弱や息の長さなどが大変明快に拾い上げられていくのだ。
低域も、膨らんだり滲んだりせず明瞭に描く。どのような音楽ソースも歪みや硬さを感じさせず、スピーカーの向こう側へと客観的な視点で描き上げていく。同社の下位モデルと比較すると、描かれるキャンバスの画素数が明らかに多く、情報量の多いサウンドが実現されている。