PR最新プリメインで往年の名スピーカーを鳴らす
マランツ「MODEL 40n」で休眠スピーカーが華麗に復活! 名機B&W「CM1」で試した
MODEL 40n × CM1 試聴レビュー:「鳴りっぷりの良さに感心させられた」
CM1の出力音圧レベルは84dB(2.83V/1m)とかなり低めだが、MODEL 40nは8Ω負荷でチャンネルあたり70Wの出力を確保しているので、パワー不足に悩む心配はいらない。実際に試聴室で普段より大きめの音量でAmazonMusicの音源を聴いてみたが、その鳴りっぷりの良さには感心させられた。具体的に紹介していこう。
ジェーン・モンハイトがビッグバンドのサポートで歌う「I Won't Dance」は標準のスピーカーセッティングではベースに有り余るほどのエネルギーが乗るため、壁から少し離しつつ、背面のバスレフポートにリング状のポートプラグを挿入し、ヴォーカルやホーン楽器とのバランスを整える。CM1は低音が力強いスピーカーと記憶していたが、ここまで伸びやかな低音が出るとは予想していなかった。
とはいえ、基本的な手法で音を追い込めば、制動の効いた良質な低音を引き出すのは難しくない。MODEL 40nは低音域も含めて音の立ち上がりが俊敏で、音が消えるときのスピードもかなり速い。小型スピーカーといえどもアンプの性能次第で低音の挙動が大きく左右されるのだが、CM1とMODEL 40nの組み合わせで聴いた低音は十分にコントロール可能なものだと思う。低域の量感を適切に抑えると、ヴォーカルが生き生きとした表情で歌うようになり、声の潤いや高音域の艷やかさも引き出すことができた。
トリオ・ツィンマーマンが演奏した弦楽三重奏版のゴルトベルク変奏曲は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがテーマと変奏をきめ細かく弾き分けていることが最大の聴きどころだ。同じテーマがチェロからヴィオラに移ったり、ヴァイオリンとヴィオラで同じ旋律を交互に弾くなど、アレンジの工夫がスリリングな緊張を生む。
MODEL 40nはその入り組んだスコアを見通し良く鳴らし分ける力があり、変奏ごとのハーモニーと響きの特長も正確に描き分けてみせた。ヴァイオリンやチェロなど注目する楽器を変えながら同じ変奏を繰り返し聴いていくと、演奏の違う側面が浮かび上がってくる面白さがあり、まったく退屈しない。一台の鍵盤楽器で弾く演奏に比べて各声部の特長が明確に伝わるので、対位法の巧みな書法が説得力を発揮するのだ。
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