PR評論家・岩井喬が本国スタッフを直撃
実売600万円超え。「Warwick Acoustics」の独自静電型ヘッドホン、その音質と開発思想に迫る!
去る2024年4月末、ヘッドホン祭りでも公開され注目を集めていたWarwick Acoustics(ワーウィック・アコースティクス)が手掛ける販売価格600〜700万円という超ハイエンドな静電型ヘッドホンシステム「APERIO」。
今回イベントに合わせてUKからWarwick Acousticsのヘッドホンビジネス部門のディレクターを務めるマーティン・ロバーツ氏が来日した。APERIOも専用の大型キャリーケースに収め、ハンドキャリーで持ち込んだというが、このAPERIOを聴かせてもらいつつ、Warwick Acousticsの成り立ちや静電型ヘッドホン開発への想い、今後の展開についてお話を伺った。
国内では知名度の高くないWarwick Acousticsであるが、その前身となるWarwick Audio Technology(以下、WAT)は2000年に創業。WarwickはUK・バーミンガム近郊の都市の名前であり、Warwick Universityがあることでも知られる。その20年以上の歴史の中で大きな転換点となったのが独自静電型トランスデューサーの発明と、この発明品を用いた静電型ヘッドホンシステムSonoma Acoustics「Model One」の開発・製造を担ったことにあろう。
2018年にWarwick Acousticsへと体制が改められたが、その際にModel Oneも継承。Warwick AcousticsではこのModel Oneのヘッドホン部を強化して、低域の豊かさの追求や装着性の向上を果たした「Bravura(ブラヴューラ。イタリア語で“華麗”という意味を持つ)」も開発し、欧米市場でも高く評価されていると聞く。
WAT創設期である2000年、Warwick Universityの准教授であるダンカン・ビルソン博士(現在はWarwick Acousticsの非常勤取締役も担っている)が特許申請を行った、静電型トランスデューサーの基礎設計に関わる技術の供与を受け、製品への転用を模索。その中でこの技術を静電型ヘッドホンに応用してみてはどうかというアイデアが生まれた。
静電型ヘッドホンの心臓部であるトランスデューサーは、2枚の固定電極間にバイアス電圧をかけた振動膜を挟み込み、固定電極へ音声信号を入力することで静電力が働き、振動膜が動いて音波が発生するという仕組みだが、この特許は1枚の固定電極と電極を兼ねた振動膜の組み合わせだけで音を出すという技術である。
実際にヘッドホンへ組み込み、ある程度の完成度となるまで13年の年月がかかったという。その当時CTOを務めていたダン・アナグノス氏がこの素晴らしい音のする静電型ヘッドホンをモニターとして活用できないか、相談したのがDSDマスタリングで世界を代表する一人であったガス・スキナス氏である。
ダン氏とガス氏は元々ソニーSACD訴求チームの一員で、ダン氏はスピーカー設計、ガス氏はDSDフォーマットを用いた制作ツールSONOMA Workstationの開発・運用メンバーであった。そのためブランド名“Sonoma”を使用することも決まり、WATが開発したトランスデューサーはついに日の目を見ることになったのである。
記念すべき初プロダクトにWATの名を付けなかったことに対し、マーティン氏は「この当時WATは知名度が低く、ヘッドホンを発売する際にオーディオビジネスに精通したパートナーを探していたので、SACD訴求における実績があるメンバーの協力を得たSonoma Acousticsのブランディングは間違いではなかったと感じています」と語った。
今回イベントに合わせてUKからWarwick Acousticsのヘッドホンビジネス部門のディレクターを務めるマーティン・ロバーツ氏が来日した。APERIOも専用の大型キャリーケースに収め、ハンドキャリーで持ち込んだというが、このAPERIOを聴かせてもらいつつ、Warwick Acousticsの成り立ちや静電型ヘッドホン開発への想い、今後の展開についてお話を伺った。
■「Warwick Acoustics」とは?
国内では知名度の高くないWarwick Acousticsであるが、その前身となるWarwick Audio Technology(以下、WAT)は2000年に創業。WarwickはUK・バーミンガム近郊の都市の名前であり、Warwick Universityがあることでも知られる。その20年以上の歴史の中で大きな転換点となったのが独自静電型トランスデューサーの発明と、この発明品を用いた静電型ヘッドホンシステムSonoma Acoustics「Model One」の開発・製造を担ったことにあろう。
2018年にWarwick Acousticsへと体制が改められたが、その際にModel Oneも継承。Warwick AcousticsではこのModel Oneのヘッドホン部を強化して、低域の豊かさの追求や装着性の向上を果たした「Bravura(ブラヴューラ。イタリア語で“華麗”という意味を持つ)」も開発し、欧米市場でも高く評価されていると聞く。
■産学連携が生んだ静電型技術を採用する
WAT創設期である2000年、Warwick Universityの准教授であるダンカン・ビルソン博士(現在はWarwick Acousticsの非常勤取締役も担っている)が特許申請を行った、静電型トランスデューサーの基礎設計に関わる技術の供与を受け、製品への転用を模索。その中でこの技術を静電型ヘッドホンに応用してみてはどうかというアイデアが生まれた。
静電型ヘッドホンの心臓部であるトランスデューサーは、2枚の固定電極間にバイアス電圧をかけた振動膜を挟み込み、固定電極へ音声信号を入力することで静電力が働き、振動膜が動いて音波が発生するという仕組みだが、この特許は1枚の固定電極と電極を兼ねた振動膜の組み合わせだけで音を出すという技術である。
実際にヘッドホンへ組み込み、ある程度の完成度となるまで13年の年月がかかったという。その当時CTOを務めていたダン・アナグノス氏がこの素晴らしい音のする静電型ヘッドホンをモニターとして活用できないか、相談したのがDSDマスタリングで世界を代表する一人であったガス・スキナス氏である。
ダン氏とガス氏は元々ソニーSACD訴求チームの一員で、ダン氏はスピーカー設計、ガス氏はDSDフォーマットを用いた制作ツールSONOMA Workstationの開発・運用メンバーであった。そのためブランド名“Sonoma”を使用することも決まり、WATが開発したトランスデューサーはついに日の目を見ることになったのである。
記念すべき初プロダクトにWATの名を付けなかったことに対し、マーティン氏は「この当時WATは知名度が低く、ヘッドホンを発売する際にオーディオビジネスに精通したパートナーを探していたので、SACD訴求における実績があるメンバーの協力を得たSonoma Acousticsのブランディングは間違いではなかったと感じています」と語った。
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