PRついに一般販売開始! クラファンで話題になったハイブリッド方式の“ながら聴き”完全ワイヤレス
開発者に訊いた!「骨伝導」×「気導音」を実現したラディウスの“ながら聴き”完全ワイヤレス「Beethoven」を徹底レビュー
デュアル振動板構成のドライバーを採用した「W(ドブルベ)シリーズ」で、オーディオメーカーとしての知名度を高めた「radius(ラディウス)」。近年は完全ワイヤレスイヤホンの開発にも力を入れている同社から、このたびユニークな製品が登場した。それが骨伝導方式を採用した完全ワイヤレスイヤホン「HP-B100BT (Beethoven)」だ。
骨伝導方式を採用した完全ワイヤレスイヤホン自体は他メーカーからもいくつか登場しているが、「Beethoven」はそれらとかなり趣が異なる。実は、「Beethoven」は骨伝導方式でありながら、気導音(空気伝導による音声)も発するハイブリッド方式を採用した完全ワイヤレスイヤホンなのだ。しかも、音楽を上質に楽しめるサウンドを実現しつつ、音漏れがほとんど気にならない構造となっているのだから興味深い。そんなこれまでにない技術を搭載した新機軸のイヤホン「Beethoven」について、開発陣に取材できる機会を得たので、開発ストーリーを紹介していこう。
“ながら聴きイヤホン”はその性質上、音楽に集中するイヤホンではないため、リスニング用と銘打って発売されたモデルは数少ない。そんな状況のなか、ラディウスが挑戦したのは先述の通り「音楽がしっかりと楽しめる音質を確保」「高い装着性と音漏れの低減」を兼ね備えたモデルだ。そういった製品が生み出された背景には、徹底したリサーチに裏打ちされた、これまでにないものを生み出そうとするラディウスの開発魂があったからにほかならない。
「コロナ禍以降、ライフスタイルが大きく変化し、リモートワークなどの増加に伴い、“ながら聴きイヤホン”の需要が高まりました。弊社も市場では後発となりましたが、2020年より『Beethoven』の開発に着手しました。まずは徹底的にリサーチを行い、骨伝導と空気伝導のそれぞれのメリットとデメリットを精査しました。そして、オーディオメーカーであるラディウスらしい『音楽再生特化』をコンセプトにしたモデルを開発しようと考えたのです」(ラディウス中村 潤氏)。
骨伝導だけでなく空気伝導を用いるオープンイヤー型も調査したことが、「Beethoven」開発における自由な発想に繋がったのかもしれない。ラディウスが最初に実践したのは、それぞれの方式の課題点を洗い出し、その解決策を模索することだった。まず気導音を聴くオープンイヤー型は鼓膜を振動させて音を認識するため、音量を上げると環境音が聞こえにくくなり、音量を下げると音楽が聞こえにくくなるという、回避することができないウイークポイントがある。また、音漏れが生じやすいことも弱点のひとつだ。
対して、骨伝導は骨導音(骨伝導による音声)の伝達経路が気導音で聞く環境音とは異なるため、再生される音声と環境音の聴取を両立できるメリットがある。しかし、ドライバー(振動部分)をしっかりと体に押し付ける必要があり、装着方法が限定的になる。骨伝導イヤホンに頭部を挟み込むネックバンド方式が多いのは、それが理由だ。
「メリットやデメリットはそれぞれの方式にありますが、環境音をしっかり聞けるという“ながら聴きイヤホン”の大前提を実現しつつ、『音楽再生特化』を目指すなら、骨伝導方式の方が有利だと考えました。ただ、弊社は完全ワイヤレスイヤホンの開発経験こそあるものの、骨伝導イヤホンの開発には固有のノウハウが必要でした。そこで、製品の企画書を準備して骨伝導業界で著名なテムコジャパンさんの門を叩きました」(ラディウス上薗千早氏)。
「弊社テムコジャパンは1985年創業の骨伝導製品を手がけているメーカーです。1988年には骨伝導スピーカーの基本特許を取得し、現在はヘッドセットなど、法人向けの通信機器開発を行っています。上薗さんからお話をいただいた時、ちょうど開発中の技術が使えるかもしれないと思い、話はトントン拍子に進んでいきました(笑)。最終的に弊社は『Beethoven』のドライバー設計を含む開発と製造を担当しています」(テムコジャパン渥美智也氏)。
テムコジャパンは、骨伝導業界では知らない人はいない老舗メーカーだが、意外なことに民生用製品の経験は少なかったという。そこで、中村氏と上薗氏は、ラディウスが考える理想的な音として、同社有線イヤホンのフラグシップモデルであるドブルベ「HP-W300」のターゲットカーブを示し、骨伝導で「HP-W300」のようなサウンドを実現できないかと相談を持ちかけたという。しかし、そこには大きな障壁があった。
「一般的に骨伝導ドライバーは高域再生が得意ではありません。具体的には2000Hzあたりから徐々に特性が落ちていきます。そのため、カナル型イヤホンのようなワイドレンジなサウンドを実現するには、骨導音だけでは難しく、弊社が開発した『ダイナミック骨伝導ドライバー(仮)』を提案しました。これは、骨導音と気導音を同時に再生する特殊な構造を持ち、骨伝導が苦手な高域再生を気導音で補う仕組みになっています」(渥美氏)。
骨伝導方式を採用した完全ワイヤレスイヤホン自体は他メーカーからもいくつか登場しているが、「Beethoven」はそれらとかなり趣が異なる。実は、「Beethoven」は骨伝導方式でありながら、気導音(空気伝導による音声)も発するハイブリッド方式を採用した完全ワイヤレスイヤホンなのだ。しかも、音楽を上質に楽しめるサウンドを実現しつつ、音漏れがほとんど気にならない構造となっているのだから興味深い。そんなこれまでにない技術を搭載した新機軸のイヤホン「Beethoven」について、開発陣に取材できる機会を得たので、開発ストーリーを紹介していこう。
■「音楽再生特化」を目指してハイブリッド方式を採用
“ながら聴きイヤホン”はその性質上、音楽に集中するイヤホンではないため、リスニング用と銘打って発売されたモデルは数少ない。そんな状況のなか、ラディウスが挑戦したのは先述の通り「音楽がしっかりと楽しめる音質を確保」「高い装着性と音漏れの低減」を兼ね備えたモデルだ。そういった製品が生み出された背景には、徹底したリサーチに裏打ちされた、これまでにないものを生み出そうとするラディウスの開発魂があったからにほかならない。
「コロナ禍以降、ライフスタイルが大きく変化し、リモートワークなどの増加に伴い、“ながら聴きイヤホン”の需要が高まりました。弊社も市場では後発となりましたが、2020年より『Beethoven』の開発に着手しました。まずは徹底的にリサーチを行い、骨伝導と空気伝導のそれぞれのメリットとデメリットを精査しました。そして、オーディオメーカーであるラディウスらしい『音楽再生特化』をコンセプトにしたモデルを開発しようと考えたのです」(ラディウス中村 潤氏)。
骨伝導だけでなく空気伝導を用いるオープンイヤー型も調査したことが、「Beethoven」開発における自由な発想に繋がったのかもしれない。ラディウスが最初に実践したのは、それぞれの方式の課題点を洗い出し、その解決策を模索することだった。まず気導音を聴くオープンイヤー型は鼓膜を振動させて音を認識するため、音量を上げると環境音が聞こえにくくなり、音量を下げると音楽が聞こえにくくなるという、回避することができないウイークポイントがある。また、音漏れが生じやすいことも弱点のひとつだ。
対して、骨伝導は骨導音(骨伝導による音声)の伝達経路が気導音で聞く環境音とは異なるため、再生される音声と環境音の聴取を両立できるメリットがある。しかし、ドライバー(振動部分)をしっかりと体に押し付ける必要があり、装着方法が限定的になる。骨伝導イヤホンに頭部を挟み込むネックバンド方式が多いのは、それが理由だ。
「メリットやデメリットはそれぞれの方式にありますが、環境音をしっかり聞けるという“ながら聴きイヤホン”の大前提を実現しつつ、『音楽再生特化』を目指すなら、骨伝導方式の方が有利だと考えました。ただ、弊社は完全ワイヤレスイヤホンの開発経験こそあるものの、骨伝導イヤホンの開発には固有のノウハウが必要でした。そこで、製品の企画書を準備して骨伝導業界で著名なテムコジャパンさんの門を叩きました」(ラディウス上薗千早氏)。
「弊社テムコジャパンは1985年創業の骨伝導製品を手がけているメーカーです。1988年には骨伝導スピーカーの基本特許を取得し、現在はヘッドセットなど、法人向けの通信機器開発を行っています。上薗さんからお話をいただいた時、ちょうど開発中の技術が使えるかもしれないと思い、話はトントン拍子に進んでいきました(笑)。最終的に弊社は『Beethoven』のドライバー設計を含む開発と製造を担当しています」(テムコジャパン渥美智也氏)。
テムコジャパンは、骨伝導業界では知らない人はいない老舗メーカーだが、意外なことに民生用製品の経験は少なかったという。そこで、中村氏と上薗氏は、ラディウスが考える理想的な音として、同社有線イヤホンのフラグシップモデルであるドブルベ「HP-W300」のターゲットカーブを示し、骨伝導で「HP-W300」のようなサウンドを実現できないかと相談を持ちかけたという。しかし、そこには大きな障壁があった。
「一般的に骨伝導ドライバーは高域再生が得意ではありません。具体的には2000Hzあたりから徐々に特性が落ちていきます。そのため、カナル型イヤホンのようなワイドレンジなサウンドを実現するには、骨導音だけでは難しく、弊社が開発した『ダイナミック骨伝導ドライバー(仮)』を提案しました。これは、骨導音と気導音を同時に再生する特殊な構造を持ち、骨伝導が苦手な高域再生を気導音で補う仕組みになっています」(渥美氏)。