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PRPolk Audio「Signature Elite」/DALI「OBERON」/Bowers & Wilkins「600」を比較レビュー

サラウンドって人生変わるほど楽しい! デノン「AVR-X1800H」でPolk/DALI/B&Wのシアターシステム聴いてみた

公開日 2024/12/23 06:45 土方久明
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■DALI「OBERONシリーズ」~映画は生々しく、音楽は色彩感豊かに~



フロント:「OBERON5」165,000円・ペア/センター:「OBERON VOKAL」77,000円・1本/サラウンドバック:「OBERON1」74,800円・ペア/イネーブルド:「ALTECO C1」72,600円・ペア/サブウーファー:「SUBE-9N」97,900円・1本 (表示はすべて希望小売価格、税込)
続いてデンマークの人気スピーカーメーカーDALIのスタンダードシリーズ“OBERONシリーズ”で構築。合計金額は487,300円と、Polk Audioから20万円近く高くなるが、その分、分解能とディテール表現は次元が変わってくる。

それが如実に出ていたのが『クワイエット・プレイス』の雑踏のシーンで、音数も多く、ダイアローグのディテールもシャープだ。低音域に着目すると、クリーチャーの移動時の重量感ある足音も飽和せず表現。サラウンドのステージングの立体感も良く、屋上に出た主人公の上空を飛び回る戦闘機の移動感がより強く感じられるようになる。ディテールの良さは『エルム街の悪夢』のような古い映画(音声はリマスターされているとはいえ)でも効果を発揮し、リアのサラウンド方向から聴こえる音の生々しさも増してくる。

設置したフロントの様子

DALIといえば、音楽性の豊かな色彩感ある音がステレオ再生でも高く評価されているが、そのアドバンテージは空間オーディオで生きてくる。理知的なハイファイ一辺倒な音ではなく、適度な楽しい音楽性を持たせつつ、高音域から低音域までまとまりを持って聴かせてくれる。LE SSERAFIMでは、メインボーカルがしっかりと前へ出て、サイドからリアにかけてのコーラスの移動感もシームレス。

また映像ソース・音楽ソースの両面から、AVR-X1800Hがこのスピーカー群を、良質な駆動力と制動力でドライブしていることが伺えることも記しておきたい。


■Bowers & Wilkins「600シリーズ」~音声の立体感は随一! S/Nや低音再生にも優れる~



フロント「603 S3」382,800円・ペア/センター:「HTM6 S3」118,800円・1本/サラウンドバック:「607 S3」132,000円・ペア/トップ:「M-1」61,600円・ペア/サブウーファー:「ASW610」110,000円・1本 (表示はすべて希望小売価格、税込)
最後の組み合わせはイギリスのBowers & Wilkins(B&W)の“603 S3シリーズ”だ(ハイトスピーカーのみ同ブランドの「M-1」を使用)。合計金額は805,200円と一気に上がるものの、サブウーファーを入れて合計8台ものスピーカーを合わせたコストなので、それでもお買い得と言えるだろう。

気になる音質については、さすがと言ったところ。一聴して環境音およびダイアローグの分解能が高く感心した。『クワイエット・プレイス』のチャプター1での雑踏、および『猿の惑星』のジャングルの暗騒音の音数が明らかに多い。さらに、『クワイエット・プレイス』で劇場に逃げ込んだ主人公とクリーチャーとの最初のコンタクトのシーンはS/Nの高さから静寂感がより伝わってくるうえ、足音からは重量感と低音域の早い立ち上がりを両立していることがわかる。


設置したフロントの様子
AVR-X1800Hの駆動力だとB&Wのスピーカー7ch(サブウーファーを除く)を鳴らすのに少々苦しそうなところも見受けられるが、サブウーファーの表現力がそれを補ってくれる。『オッペンハイマー』の爆発シーンは最も迫力があったし、爆発時にさまざまな場所で表現される低音域のダイナミクスの描き分けも長けていた。

また、先に聴いた2セットと比べて最も長けていたのが立体的でシームレスなサラウンド音場を表現できていたこと。LE SSERAFIMを聴くと、高さ方向や水平方向の位相感に安定度の高さを感じ取れる。小レベルのリニアリティの高さは突出しており、スピーカーの存在感が消えて部屋全体から音が出ているような表現で空間オーディオソースを聞かせてくれる。


■どれも満足できるクオリティ! 予算と音の好みで選ぼう


まとめとしたい。Polk Audioのシステムは、耳あたりの良いダイアローグと環境音、低音域の迫力という長時間の映画再生におけるバランスの良い音が印象的だった。DALIのシステムは音色が良く、セリフのリアリティや全体の情報量も高い。高音域から低音域の表現力やダイナミックレンジなどオーディオ的尺度に優れつつ、音楽性も持ち合わせたバランスの良い音だった。B&Wのシステムは、オーディオ的な再生品質は最も高く、絶対的な分解能と小レベルのリニアリティに優れた音だった。

試聴を通じて印象的に残ったのは、価格帯の違いこそあれど、どれもブランドごとの良さがしっかり表れていたこと。なので人によっては、B&WよりもPolk Audioの方が好みだということもあるだろう。予算と音の好みに応じてチョイスしてみてほしい。

Polk Audioは長時間の映画再生における音のバランスが良い。DALIは映画のセリフのリアリティや情報量が高く、音楽性とのバランスが良い。B&Wはオーディオ的な再生品質は最も高く、絶対的な分解能と小レベルのリニアリティに優れる

それにしても、AVR-X1800Hを核とすれば、イマーシブオーディオフォーマットに対応した音の良いサラウンドシステムを比較的安価に構築できるし、上述したように、音楽ソースへの対応力もあるので、最初はフロント2chだけから始めて、徐々にスピーカーの数を増やしていったら楽しいだろう。天井にスピーカーを付けられない方は、Polk AudioやDALIのようにイネーブルドスピーカーを使えば、上方向からの効果音も表現できる。

現在、NetflixやAmazon Prime Video、U-NEXTなど動画配信サービスでイマーシブ音声の作品を手軽に楽しむことができるし、さらに水面下ではさまざまな胎動が始まっている、Apple MusicやAmazon Musicでは空間オーディオも楽しめる。はっきりいうが、これを楽しまない手はない。

さらに、一般的なステレオアンプと比べてもAVR-X1800Hのコストパフォーマンスは驚異的なものがあり、購入後の満足感はかなり高いことを僕は保証したい。

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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