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すべてのレコード愛好家に送る。アース清浄化で音質改善、コード・カンパニー「フォノアレイ」クロスレビュー
■最高級ケーブルの質感を具現化する(生形)
PhonoARAYは、まさしくコード・カンパニーのハイエンドグレード・ケーブルで聴ける同社ならではの美音を、レコード再生にもたらしてくれるアクセサリーである。
ノイズ感や歪み感など、再生における全体的な雑味が抑えられサウンド密度の凝縮度が一気に高まり、歌声や楽器の姿や空間描写の立体性が向上する。曖昧さがなくなり、瞭然とした音像の定位が得られるのだ。
同時に、音色の色彩感が増し、フルーティーでコクのある、スウィートなサウンドへと変貌する。これこそ、まさにコード・カンパニーがトップエンドのケーブルで希求する質感だと認識する。
例えばヴァイオリンの音は、筋っぽさや硬さが解れ、木質で潤いのある快適な質感が引き出される。ピアノの音も、高域弦も決して金属質にならず、タッチのしなやかさや、やはり響板の木質な響きを心地よく引き出してくれる。
オーケストラが奏でる和音の積み重なりも、実に調和の取れた柔和な響きとなり、ハーモニーの陰影が色濃く浮き上がる。楽器それぞれが持つ音色の魅力をいっそう明るく照らし出してくれるような、そんな効用が著しいアイテムなのである。
■サーフェスノイズまでも減少する(鈴木)
エリック・クラプトンの『アンプラグド』から「ロンリーストレンジャー」を聴き出すと、音の背景が極めて静かになり、全体的な透明感が増す。ヴォーカルやアコースティックギターの実在感もしっかりして音像も濃密に見えてくる。
驚いたのは、レコードのサーフェスノイズのパチパチまで減少すること。恐らくアレイテクノロジーの応用というか、アナログプレーヤーのアース端子用に特化したものだろうが、その効果の見事さと副作用のなさに納得せざるを得なかった。
続いて、アルチュール・グリュミオーがソロを弾いているパガニーニの「ヴァイオリン協奏曲」を聴くと、やはりレコードの盤面がきれいになったかのようにサーフェスノイズが減少。音の背景自体も静かになる。
ソロヴァイオリンの高域の倍音の伸びがクリアに聴こえるし、ダブル・フラジオレット奏法でメロディを弾いている抑揚やデュナーミクも鮮度感高く聴こえてくる。序奏部のイタリアのオペラの序曲のような華やかな雰囲気がより良く出てきたのも好ましかった。
■アース対策の重要性、快哉を叫びたくなる効果(炭山)
フォノのアースラインへ挿入するだけの簡単な接続ながら、この効果はとてつもない。クラシックは息を呑む臨場感でソロ楽器が生きいきと音楽を奏で、音像はキュッと締まるがそれで実物大であることが知れる。
ジャズはカサついていた音場にビロードを思わせる艶が戻り、ソロTpはハスキーな吹き方だが朗々と響き、一閃の強奏を鋭く、かつ精密に鳴らす。快哉を叫びたくなる音質向上だ。
ポップスはライヴ会場の拍手が増えて、1発ごとの切れと粒立ちが向上、非常にきれいな拍手になった。ギターはよく弾み、ドラムスが重い衣を脱ぎ捨てて軽くハイスピードに鳴る、鳴る!ライヴの臨場感が激増し、まるでその場へ参加しているようだ。
しかし、考えてもみてほしい。信号ラインへ何ら手を加えず、アースを清浄するだけでここまで再生音が向上するのだ。それが一体なぜなのか、理論立てて完璧に説明し切ることは私にもできないが、目の前の劇的な現象は認めるほかない。アース対策の重要さとコード・カンパニーの技術力へ、改めて注目せねばなるまい。凄い商品である。
■空気感や雰囲気が実に生々しい(園田)
PhonoARAYの使用前と使用後をグラシェラ・スサーナのアルバム『76/45』で比較してみた。本機を繋ぐと針を落とした瞬間から違う。ノイズフロアが根本的に下がるのだ。
ライヴ録音ゆえの演奏空間の緊張した空気・雰囲気が実に生々しく伝わってくる。パーカッションが鮮烈。ギターもドラムスも立体的な音像を結ぶ。スサーナのヴォーカルが濃い。ストリングスは伸びやか。
デメリットは皆無だった。音色の明暗バランス、質感の硬軟バランスには変化がない。音調を変えることで性能をアピールする類のアクセサリーではないのだ。
金属製トーンアームがアンテナとなって呼び込まれた電磁波がかくも音溝由来の音声信号に悪影響を与えていたとは驚きである。音を悪くすることが長く広く知れ渡っているポイント用には既に対策アクセサリーが普及していて、さらなる改善の余地は少ないものだ。しかし未対策なポイントに適切な対策を講じると改善幅はきわめて大きくなる。PhonoARAYはその最新の好例と言えよう。定番アクセサリーになる筈だ。
■すっきりと冴えた高域特性。アースケーブルの効果も大きい(福田)
PhonoARAYは英コード・カンパニーが開発したフォノケーブルのアースケーブルに接続して使う製品で、高級アナログマニアには興味深いものだ。円筒形状の両端にターミナルを装備し、一端にプレーヤーからのフォノアースを接続、もう一方の出力に付属のケーブルを接続してフォノイコライザー等のアースに接続する。
効果は透明感を高め、トランジェントに優れた特性があるため、解像度を高める。特に高域の細部の表情が美しく流れる。このすっきりと冴えた高域特性は魅力である。
また、この製品はアースケーブルの違いでもまるでバーチャルアースのように音質効果が変わりそうだ。何本かで試してみたが、筆者のリファレンスケーブルでは多少明るい傾向になる。また本体自体の方向性は指定されていないが、Cマークのある開放口をフォノイコ側に向けるのが最適のようだ。
■恐ろしいほどの静寂と実在感(林)
さすがにアラン・ギブ社長が自ら手がけただけのことはある。アレイ(ノイズポンプ)を知りつくしたノウハウが、初のPhonoARAYに活かされた形だ。デリケートなMCからの信号が、すっきりと浄化される印象で、静寂感が極端に変わるのだ。本体ボディはもちろん、アース線の振動や電磁波の飛び込みをも完璧に消し去ったと実感させる驚異の効果である。
グルーヴの微細な信号まで余さずすくいあげる印象。「スカイネス」は恐ろしく静かで繊細なジャズだ。アレッサンドロ・ガラティらしい叙情的な響きをもつメロディックなピアノプレイ。静かにリズムを刻み、消えぎわまで透き通るような余韻を味わえた。
クラシックはチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトをかけよう。パールマンの古い録音だが、これも純度バツグン。音色は艶やかで憂いに満ちた美しいメロディに泣ける。オーケストラと独奏ヴァイオリンの掛け合いが激しく、生々しく、表現力が一段と深い。
次から次に愛聴盤を聴きたくなる、PhonoARAYの芸術的な効果を実感させた。
(提供:アンダンテラルゴ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
