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PRアクティブスピーカーからヘッドホンまでシームレスに活用できる

最強デスクトップオーディオ、ティアック「HA-507」徹底レビュー!“純・アナログアンプ”の実力をスピーカー&ヘッドホンで聴く

公開日 2025/04/15 06:30 生形三郎
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ヘッドホンとスピーカー再生を繋ぐ最強マシン

この情報量の多さと低音再現の鋭さは、もはやスピーカーリスニングでは到底味わうことができないのではないだろうか。そんな思いが脳裏をよぎる衝撃的なサウンドを体験した。それが、ティアックReference500シリーズに加わったヘッドホンアンプ/プリアンプ「HA-507」との出会いだった。

TEAC ヘッドホンアンプ/プリメインアンプ「HA-507」(308,000円/税込)

A4サイズのボディでプレミアムな音質を追求するReference500シリーズにヘッドホンアンプ「HA-501」が加わってから早13年。そこから着実な進化を遂げた新モデル「HA-507」と、最高峰との呼び声も高い最新ハイエンド・ヘッドホンとの組み合わせが描く音世界は、実にハイレベルな領域に達していた。

「HA-507」は、昨今定着しつつある、ヘッドホン再生を起点に、アクティブスピーカーでの再生もシームレスに楽しめるデスクトップ・オーディオを主眼に開発されたプロダクトである。

ヘッドホンアンプとしても、またアクティブスピーカーと組み合わせてプリアンプとしても利用できる「HA-507」。現代のデスクトップオーディオ環境に求められるアンプ機能がすべて備わっている

バランス駆動時で6.7W+6.7W(32Ω負荷)という実に強力なヘッドホンアンプ部に加えて、同社がハイエンドブランドで培った知見や技術を投入した良質なプリアンプ部を実現。さらには、DAC内蔵ボリュームや管球式ヘッドホン・プリアンプなどとの接続を想定した、ヘッドホン・パワーアンプとして使用できるプリ部のパススルー機能を備えることが特徴である。

3.3mmと6.3mmの2系統のアンバランス出力、4.4mmとXLRのバランス出力を持つ豊富な機能性もTEACの500番台ならでは。フロントスイッチで出力先やゲイン等を調整可能で、“触れる喜び”にもこだわった高品位なスイッチとなっている

新開発されたボリューム部は、完全バランス動作に対応した4回路独立の高精度抵抗切り替え式回路となっており、0.25dBという細やかなステップでの音量調節が可能。また、入力切替に機械接点の無いFETスイッチを採用したり、良質な出力バッファーアンプを搭載するなど、設計に手抜かりがない。

500番シリーズでは珍しく、天板にメッシュデザインを採用。純アナログアンプのため、熱効率を高めることも設計上の重要なポイントとなる

この手の製品はあくまでヘッドホンアンプとしての機能や音質に特化することが一般的だが、単体プリアンプとしても質の高いサウンドを追求することに、このジャンルに対しての、同社の本気度の高さを感じる。ヘッドホンアンプで、なおかつこのサイズ感と価格の製品としては、大変に稀有な存在と言えるだろう。

モニタースピーカーならではの視認性の良い歌声

それを実感させられたのが、アクティブスピーカーを接続して音を出した瞬間であった。エソテリック「N-05XD」を接続した「HA-507」のラインアウトから繋げたノイマン「KH-150」スピーカーから繰り出されたのは、実に瞭然としたボーカル再現だった。両スピーカー中央にピタリと描画された歌声は、プリアンプとしての情報量や歪感の劣化などを微塵も感じさせない安定度の高さであった。

ノイマンのアクティブスピーカー「KH-150」(オープン価格、市場実売価格:税込275,000円前後)と組み合わせ

モニタースピーカーならではの視認性の良い歌声や楽器の姿に加えて、ティアックならではのニュートラルながらも程よくウェットで密度感あるサウンドは、モニターサウンドとオーディオサウンドの見事な融和だ。

歌声や楽器それぞれの音像をしっかりと解像しながらリスナーの眼前へとピックアップするため、音楽との距離感をタイトに楽しめる。熱中できる音なのである。決して音楽が堅苦しくなること無く、長時間音楽を聴き続けていたくなるサウンドだ。音楽制作のモニタリングをこなしながら、音楽も楽しめてしまう。そんな実感を伴う出音であった。

足元は3点支持で、オリジナルの「Stressless Foot」によって振動を効果的に逃している

ボーカルの細かなニュアンスまで克明に引き出す

そして、心底驚かされたのは、ここからだ。現代的な高解像サウンドを堪能できるオーディオテクニカの開放型フラグシップ「ATH-ADX5000」を繋いで出てきた音に圧倒された。

オーディオテクニカ「ATH-ADX5000」(261,800円/税込)と組み合わせ

昨今のオーディオテクニカならではの驚異的な音の開放感に加え、音楽ソース内の全ての音を克明に描かんとする「ATH-ADX5000」の姿勢が十全に現れている駆動だ。

ともすれば埋もれてしまいがちな、ボーカルの発音の細かなニュアンスや、通奏低音を奏するチェンバロの即興的な指使いの様子までが、克明に描き出される。クラシックのホール録音などでは、空気振動の伝搬である音が空間を伝わる残響の様子、その空気感のようなものまでが視えてくる、想起させる表現なのだ。

同時に、パワフルで明快な、筋肉質な低音の表現が著しい。鼓膜のごく近くで直接鳴らされるからこその極めてタイトな低音表現は、まさにヘッドホンだけの世界と言えよう。量感豊かながらも微塵も滲みのないボディ鳴りを実現するウッドベースの再現は、スピーカーリスニングではまず味わうことが出来ない領域だろう。バスドラムにしろ、エレクトリックベースにしろ、決して膨らんだり滲むことがないのに圧倒的に充実したボトム表現に、ただただ耳を奪われてしまった。これを聴くだけでも、「HA-507」を手に入れる価値があるといっても過言ではない。

HiFiMANやクロスゾーンなど複数ヘッドホンでテスト

着実な駆動力が求められる平面磁界駆動型ヘッドホン、HIFIMAN「SUSVARA」を接続しても、やはり、緻密さを極める情報量の多さと低域再現の豊かさが健在であった。本機でも、低音楽器の存在が耳元近くでしっかりと現れるが、それが肥大化すること無く瞭然とした姿で立ち現れる。

HIFIMANの「SUSVALA」(オープン価格、市場実売価格:税込600,000円前後)やクロスゾーンの「CZ-8A」(231,800円/税込)でもテスト

また、アコースティック楽器の倍音感も豊かに再現し、楽器が持つ音色の色彩感を明快に表現していく。例えば、バスドラムではビーターがヘッド(打面)を捉えた際の微細な響き方まで、ピアノであれば、その個体が持っている筐体や響板が持っている箱鳴り感までが描き出され、こちらもまさにヘッドホンならではの緻密さが光る至高さなのである。

最後に、頭外定位の実現をアコースティックな構造で追求した、密閉型のクロスゾーン「CZ-8A」を接続。こちらもやはり、まずは低域の着実な押し出し感に驚かされるとともに、ハウジング内に音を収める密閉構造を採ることによる、開放型とは異なる響き感の違いや、ヘッドホンながらも自然な定位や広がり感を実現する点など、「CZ-8A」ならではの持ち味が魅力豊かに引き出され、聴き込むほどに魅了されてしまった。

今回の試聴をもって実感したが、「HA-507」は、ハイクオリティなスピーカー再生にも使える良質なプリアンプとしての機能と、あらゆるヘッドホンの持ち味を遺憾なく発揮させる優れたヘッドホンアンプとしての機能を兼ね備える、ハイパフォーマンスな小型コンポーネントである。

クオリティの高いスピーカー再生とヘッドホン再生をシームレスに両立させる、現時代のデスクトップ・オーディオ、もとい、ハイファイ・オーディオの旗艦コンポーネントとして、このジャンルを牽引し得る実力を持った秀逸なプロダクトといえよう。

(提供:ティアック)

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