ジョーカーの“闇”に迫る
話題のソフトを“Wooo”で観る − 第18回『ダークナイト』(Blu-ray)
■ディスプレイにとって試金石となるのがBD版「ダークナイト」
筆者は映画館で一度、ブルーレイディスクを自宅のホームシアター(120インチ投写式)で一度、そして自宅仕事場の日立のプラズマテレビ「P50-XR02」で全編をさらに一度、合計三回本作を視聴した。過去のバットマン映画から打って変わって現実感を重視した映像を、最初からハイビジョンのシャープで高忠実度の画面で見られて本当に嬉しい。逆にリアルな表現力のないディスプレイ(テレビ)で見たら、『ダークナイト』のコンセプトがまるで生きない。ディスプレイにとって試金石になるのが、『ダークナイト』なのである。
最初に注意しないといけないのは、ワーナーホームビデオから発売の『ダークナイト』のBDソフトは、2.4対1のスコープサイズと1.78対1のビスタサイズが混在する画面設定になっていることである。本作はアメリカではアイマックスシアターでも上映された。シネマスコープサイズと、アイマックス用の画面(1.44対1)の上下を切り取ってビスタサイズとしたものと、二種類の画面アスペクトで構成されているわけである。具体的には、CH-1のシカゴの銀行をジョーカー一味が襲撃するシーン全て、CH-5のウェイン社の空撮、CH-7のクルーザーと水上飛行機、CH-7の香港のラウのビルからバットマンがスカイフックで脱出するナイトシーン、CH-19のデントを囮にジョーカーを捕獲するカーチェイス全編等である。主として先に書いたように、実景を使ったリアルでアクチュアルなシーン、それに見せ場のアクションシーンで1.78対1(16対9と考えていい)に変わる。ソフトの再生の設定変更でも、テレビ側のワイド設定でも、例えば全編をスコープサイズで見るなどへの設定変更は出来ない。
ダークナイト(暗黒の騎士〜バットマン)とライトナイト(光の騎士〜ハービー・デント)の相克の物語だから、明暗のコンビネーションが全編を貫く映像コンセプト。シークエンスによって明るく解像感を前面に出したアクチュアルなシーンと、コミックの世界観を引き継ぐダークなシーンが混在し、一つのシーンの中にも光と影のコントラストを生かしている。家庭のテレビで見る上で全編を一本通して見られる映像設定を見つけることが最大のポイントである。