【追悼】ジョブズ氏がAV機器に革命を起こした「この10年」を振り返る
■iOS向けアプリでAV機器をコントロールすることが一般化
iPhoneとiPadはいずれも大成功し、これまでに2億5,000万台のiOSデバイスが販売された。スマートフォンは携帯音楽プレーヤーとしても使用できることから、徐々に単体音楽プレーヤーの売上げが鈍化。この流れを決定づけたのもiPhoneと言えるだろう。
最新モデル「iPhone 4S」発表会で示された最新のデータでは、App Storeで提供されているアプリの数は50万以上。これまでにダウンロードされたアプリは180億で、1ヶ月間のアプリダウンロード数は10億を越える。
50万のアプリの中には、AV関連のものも数多く用意されている。最近ではAV機器をスマートフォンで操作するアプリを提供し、iPhoneやiPod touchをリモコン代わりにすることが一般化している。
さらにはDLNA関連のアプリを用いてネットワークオーディオの操作を行ったり、iPhone内のコンテンツを他機器に配信したり、といったソリューションも当たり前になりつつある。今後、Android向けのものも含め、AV機器におけるスマートフォン向けアプリは、ますますその重要性を高めていくはずだ。
最近ではアップル独自のワイヤレス配信規格「AirPlay」を公開し、オーディオストリーミングについては他社にライセンス供与を開始。AirPlay対応オーディオ機器がAVメーカーから多数登場し、iPhoneなどiOS機器の音声を、ワイヤレスで受信し、再生するという使い方が人気を得ている。ここでも、ドックスピーカーなどで培った、ジョブズ氏一流のエコシステム構築術が活きることになりそうだ。
■カメラ機能もますます充実させるiPhone
またiPhoneは最近になって、カメラとしての存在感も高めている。最新の「iPhone 4S」は800万画素の裏面照射CMOSセンサーを備え、高画質な静止画撮影が可能。また動画撮影機能も強化し、1080p動画の撮影が行えるようになった。
・アップル、「iPhone 4S」を10月14日発売 − A5チップ/800万画素カメラ搭載で1080p撮影も対応 (2011年10月05日)
安価なコンデジはiPhoneを初めとするスマートフォンの攻勢に押され存在意義が徐々に薄らぎ、カメラメーカー各社は、ミラーレスなど、より高価な機器に軸足を移しはじめている。
余談になるが、ジョブズ氏が生前「ホビー」と語っていた「Apple TV」の今後の動向も気になるところだ。以前から、iOSを備えた薄型テレビをアップルが発売するという噂が燻っているが、彼のホビーが大規模なビジネスに変わる時がくるかも興味深い。