スマホのNFC機能普及への取り組みも
第3のスマホ向けOS、Tizen/Firefox OS へ高まる期待 − MWC2013を振り返る
世界最大のモバイル関連見本市「Mobile World Congress(MWC)2013」がスペイン・バルセロナで開催された。昨年までの会場を離れ、Fira Barcelona Gran Viaに移転したことで規模も拡大し、来場者も過去最高の72,000人以上が訪れたという。規模自体が拡大したことに加え、これまでと比べて変化も見られたのが、今回のMWCだ。
例年、MWC会期直前に大手メーカーが独自に新製品を発表するのが一般的だったが、今年はHuaweiのみで、MWCとは異なるタイミングで発表するメーカーが増えている。大規模展示会で一斉に発表することで埋没するのを避ける、発表タイミングを自社でコントロールするといった意向があると見られ、すでにアップルやマイクロソフト、グーグルなどもこうした大規模イベントへの参加を見合わせる傾向になってきている。そのため、端末としては大きなトピックは少なく、「小粒」という印象もある。
それでも、MWCの存在感が薄れるわけではない。基本的に、MWCは商談の場としての見本市であり、来場者はビジネスパーソンだ。そのため、携帯業界の今年を占うには最適なイベントだ。
■最大トピックは2つのOSの登場
今年のMWC最大のトピックは、2つのOSの登場と言ってもいいだろう。それが「Tizen(タイゼン)」と「Firefox OS」だ。
Tizenは、オープンソースOSのLinux財団が開発するモバイル向けOSで、NTTドコモやインテル、サムスン、フランステレコムなどが参加するTizenアソシエーションが、そのOSを使ったビジネス化を検討する仕組みになっている。オープンソースOSであり、誰もが自由に、無償で利用できる点がポイントだ。もともとグーグルのAndroid OSも同様のスタンスだったが、アプリ配信マーケットの「Google Play」を利用する場合は、認証を取得する必要があるほか、最近はグーグルが制約を設け、管理しようとする例が増えてきている。Tizenでは、OS自体にそうした制約がない。
全く同じスタンスで生まれたのがFirefox OSだ。こちらもオープンソースのWebブラウザ「Firefox」を開発するMozillaから生まれたモバイル向けOSで、利用は無償で自由、という特徴がある。こちらはKDDI、Huawei、ZTE、LG、Sprint、Qualcommらがサポートを表明。Tizen Associationのような団体ではないが、協力して普及促進を目指す考えだ。
この両OSは、HTML5アプリをターゲットしているのも共通している。HTML5はWebの標準技術の最新版で、単なるWebサイトの構築だけでなく、既存のスマートフォンアプリ(いわゆるネイティブアプリ)と同様のアプリを作成できる。HTML5は、TizenやFirefox OSだけでなく、今後iOSやAndroidでのサポートも強化され、PC向けのアプリも増えると見込まれている。
Tizenで動作するアプリは、Firefox OSをはじめとしたほかのプラットフォームでも簡単に動かせるようになることが期待できるし、逆も同様だ。従来のアプリ開発者だけでなく、Web技術者がアプリ開発に参入することで、これまでにないアプリの登場もありえるだろう。HTML5は期待され続けていながらも普及の進みは遅いが、今回参加する各社は、HTML5拡大を推進させたい意向もあるようだ。
■iOS/Androidに続く“第3のOS”への期待感
TizenやFirefox OSには上述のようなメリットもあるが、携帯キャリアや端末メーカーに共通するのは、iOS/Androidに続く第3のOSへの期待感だ。
iOSは、アップルが開発し、アップルのみが端末を作り、アプリ配信マーケットもアップルが抱え、携帯通信はあくまで「土管」であり、アップルがアプリやサービスにも強い制約を設けている。Androidは自由を売りにしてきたが、グーグルの制約や端末メーカーへの情報提供の不足、仕様が一貫しないなどの課題がある。参加企業は、それぞれを排除したいのではなく、新たな選択肢の提供を狙いとしている。
それに加え、キャリアがより自由に扱えるOSを用意することで、これまでのようなキャリア主導のビジネスモデルを構築したい、支配力を取り戻したいといった思惑も見え隠れする。とはいえ、2大OSが携帯業界への支配力を強める中、新たな選択肢の存在は必要だ。Windows Phone 8やBlackberryが停滞しており、全く異なるアプローチのOSが出てくることは、業界の健全性の観点からも重要だろう。
例年、MWC会期直前に大手メーカーが独自に新製品を発表するのが一般的だったが、今年はHuaweiのみで、MWCとは異なるタイミングで発表するメーカーが増えている。大規模展示会で一斉に発表することで埋没するのを避ける、発表タイミングを自社でコントロールするといった意向があると見られ、すでにアップルやマイクロソフト、グーグルなどもこうした大規模イベントへの参加を見合わせる傾向になってきている。そのため、端末としては大きなトピックは少なく、「小粒」という印象もある。
それでも、MWCの存在感が薄れるわけではない。基本的に、MWCは商談の場としての見本市であり、来場者はビジネスパーソンだ。そのため、携帯業界の今年を占うには最適なイベントだ。
■最大トピックは2つのOSの登場
今年のMWC最大のトピックは、2つのOSの登場と言ってもいいだろう。それが「Tizen(タイゼン)」と「Firefox OS」だ。
Tizenは、オープンソースOSのLinux財団が開発するモバイル向けOSで、NTTドコモやインテル、サムスン、フランステレコムなどが参加するTizenアソシエーションが、そのOSを使ったビジネス化を検討する仕組みになっている。オープンソースOSであり、誰もが自由に、無償で利用できる点がポイントだ。もともとグーグルのAndroid OSも同様のスタンスだったが、アプリ配信マーケットの「Google Play」を利用する場合は、認証を取得する必要があるほか、最近はグーグルが制約を設け、管理しようとする例が増えてきている。Tizenでは、OS自体にそうした制約がない。
全く同じスタンスで生まれたのがFirefox OSだ。こちらもオープンソースのWebブラウザ「Firefox」を開発するMozillaから生まれたモバイル向けOSで、利用は無償で自由、という特徴がある。こちらはKDDI、Huawei、ZTE、LG、Sprint、Qualcommらがサポートを表明。Tizen Associationのような団体ではないが、協力して普及促進を目指す考えだ。
この両OSは、HTML5アプリをターゲットしているのも共通している。HTML5はWebの標準技術の最新版で、単なるWebサイトの構築だけでなく、既存のスマートフォンアプリ(いわゆるネイティブアプリ)と同様のアプリを作成できる。HTML5は、TizenやFirefox OSだけでなく、今後iOSやAndroidでのサポートも強化され、PC向けのアプリも増えると見込まれている。
Tizenで動作するアプリは、Firefox OSをはじめとしたほかのプラットフォームでも簡単に動かせるようになることが期待できるし、逆も同様だ。従来のアプリ開発者だけでなく、Web技術者がアプリ開発に参入することで、これまでにないアプリの登場もありえるだろう。HTML5は期待され続けていながらも普及の進みは遅いが、今回参加する各社は、HTML5拡大を推進させたい意向もあるようだ。
■iOS/Androidに続く“第3のOS”への期待感
TizenやFirefox OSには上述のようなメリットもあるが、携帯キャリアや端末メーカーに共通するのは、iOS/Androidに続く第3のOSへの期待感だ。
iOSは、アップルが開発し、アップルのみが端末を作り、アプリ配信マーケットもアップルが抱え、携帯通信はあくまで「土管」であり、アップルがアプリやサービスにも強い制約を設けている。Androidは自由を売りにしてきたが、グーグルの制約や端末メーカーへの情報提供の不足、仕様が一貫しないなどの課題がある。参加企業は、それぞれを排除したいのではなく、新たな選択肢の提供を狙いとしている。
それに加え、キャリアがより自由に扱えるOSを用意することで、これまでのようなキャリア主導のビジネスモデルを構築したい、支配力を取り戻したいといった思惑も見え隠れする。とはいえ、2大OSが携帯業界への支配力を強める中、新たな選択肢の存在は必要だ。Windows Phone 8やBlackberryが停滞しており、全く異なるアプローチのOSが出てくることは、業界の健全性の観点からも重要だろう。