ビクタースタジオがセレクト!エンジニアが唸るこの1枚 −「或いはアナーキー / BUCK-TICK」
或いはアナーキー / BUCK-TICK
WAV/FLAC 48kHz/24bit ¥3,240(アルバム)
http://hd-music.info/album.cgi/4133
今回は「或いはアナーキー/BUCK-TICK」。このコーナー初のロック系作品のご紹介だ。本作は、2014年6月に発売された19thアルバムのハイレゾ版で、トラックダウンされた素材マスターからのリマスタリングによりハイレゾマスターが制作されている。
この作品には驚かされるポイントが2つある。まずひとつめは、何しろサウンドが素晴らしいこと。通常ロック系だと歪みや荒さによる音楽的表現を優先するがために、オーディオ的な「音質」という部分とは結び付きにくいケースが多い。ところが今作は、1曲目のギターが鳴った瞬間からそのリアルな質感に驚かされ、ドラムとベースのリズム隊が絡んでくると、もう圧巻のハイクオリティーサウンドに包み込まれる。かと言って、ロックテイストが弱いことは微塵もいない。曲によってはボーカルにもディストーションがかかり、これだけロック全開でありながらサウンド的にもハイクオリティーに仕上げられる、音楽的センスとそのエンジニアリングに脱帽だ。このコーナーでご紹介させて頂くのはサウンド的な魅力が充分あることは前提だが、それでもこんなロック系のアルバムにはなかなかお目に掛かれない。
ポイントのふたつめは、今作品のスペックが48kHz/24bitであること。前述した抜群のサウンドから、疑うことなく96kHz/24bit以上のスペックだと勘違いしてしまいそうだが、実は違うのだ。理由は明快、レコーディング時のスペックが48kHz/24bitだから。つまり録ったときのままということなのだ。
48kHzだと、単に周波数帯域スペックでの比較では、高域特性はCDとさほど変わらない。ハイレゾを評価するにあたっては、楽曲の周波数特性を測定し高域成分がどれだけあるかで良し悪しを見極めることもあるようだが、それがすべてに当てはまらないことをこの作品が証明してくれている。音楽やサウンドの良し悪しと、特性やスペックは決してイコールではない。ビクタースタジオが啓蒙するハイレゾの魅力とは「制作現場で創ったそのままが届けられること」であり、本作品がまさにその典型。仕上がりの完成度が高いことは前提だが、現場でのこだわりが変わらずに伝えられれば、今までは伝えきれなかった多くの感動と魅力を感じて頂けるのだ。
本作品は、ロックファンはもちろん、クラシックやジャズファンの、特にオーディオマニアの方々にも是非お聞き頂きたい。ジャンルを超えてサウンドクオリティーの高さを実感頂ける一枚だ。
内田 孝弘 氏
ビクタースタジオFLAIR所属マスタリングエンジニア
一部のロック系ではカリスマ的な存在とまでされたレコーディングエンジニアとしての実績をバックに2006年にマスタリングエンジニアに転身。
レコーディングエンジニア時代の作品の多くは、自らがマスタリングまで手掛け、徐々にマスタリングの奥深さと無限の可能性を感じ転向を決意、レコーディングエンジニアとしてのスキルを封印しマスタリングに特化。
スタイルは、自身の経験より「何でもいじる」ではないミックス素材の尊重派。これまでの日本プロ音楽録音賞授賞歴が実証するベーシックな“良い音づくり”の基本を持ちながら、個性溢れる過激なサウンドづくりにもその手腕を発揮。ロック系を中心にポップスからフュージョン系まで幅広いジャンルに対応する音楽的な懐の広さも発揮。
とにかく情報通、常に業界の動向に目を向け、エフェクターやプラグインの新し物好き。幅広くDAWの扱いに関しては他と一線を博すスキルを有し、ミックスとマスタリングの境が曖昧になってきた今こそ最も必要とされる人物。“FLAIR ROCK”の中心人物。
<内田氏からのコメント>
「或いはアナーキー」のハイレゾマスターづくりは、CDのマスタリングも手掛けていたので、メンバーの表現したい音像は事前に理解出来ていたこともありとてもやり易かったです。
ご存知のようにBUCK-TICKの音楽性というのは、大変広く、メンバーのバンドサウンドにシンセ、ノイズ、大胆なエフェクト等がふんだんにフィーチャーされる独特な世界観を持ったものです。「或いはアナーキー」のCDマスタリングに関しても、アルバムとして整えるというよりは1曲ずつ磨き上げていく感じで仕上げました。ですのでハイレゾの音づくりも、ミックスエンジニアの比留間さんと自分を中心にメンバー、スタッフで話し合い時間をかけて作ったCDのサウンドイメージを変えずに、自然な形でハイレゾならではの質感を持たせていこうということになりました。
具体的なサウンドメイクは、CDのスピーカーから飛び出してくるようなパワー感のあるサウンドに対して、ハイレゾでは音場がスピーカーの奥に広がっていくイメージで音の余韻や空気感が繊細に表現されるようなサウンドメイクを施したつもりです。
「或いはアナーキー」ではアルバムの世界観を変えることなくCDとハイレゾで異なるサウンドメイクを行い、両方聴いていただいたリスナーに「なるほど!」と思っていただけるような作品に仕上がったと思います。ぜひCDとハイレゾの両方を聴いていただき、その違いをお楽しみいただければと思います。
WAV/FLAC 48kHz/24bit ¥3,240(アルバム)
http://hd-music.info/album.cgi/4133
今回は「或いはアナーキー/BUCK-TICK」。このコーナー初のロック系作品のご紹介だ。本作は、2014年6月に発売された19thアルバムのハイレゾ版で、トラックダウンされた素材マスターからのリマスタリングによりハイレゾマスターが制作されている。
この作品には驚かされるポイントが2つある。まずひとつめは、何しろサウンドが素晴らしいこと。通常ロック系だと歪みや荒さによる音楽的表現を優先するがために、オーディオ的な「音質」という部分とは結び付きにくいケースが多い。ところが今作は、1曲目のギターが鳴った瞬間からそのリアルな質感に驚かされ、ドラムとベースのリズム隊が絡んでくると、もう圧巻のハイクオリティーサウンドに包み込まれる。かと言って、ロックテイストが弱いことは微塵もいない。曲によってはボーカルにもディストーションがかかり、これだけロック全開でありながらサウンド的にもハイクオリティーに仕上げられる、音楽的センスとそのエンジニアリングに脱帽だ。このコーナーでご紹介させて頂くのはサウンド的な魅力が充分あることは前提だが、それでもこんなロック系のアルバムにはなかなかお目に掛かれない。
ポイントのふたつめは、今作品のスペックが48kHz/24bitであること。前述した抜群のサウンドから、疑うことなく96kHz/24bit以上のスペックだと勘違いしてしまいそうだが、実は違うのだ。理由は明快、レコーディング時のスペックが48kHz/24bitだから。つまり録ったときのままということなのだ。
48kHzだと、単に周波数帯域スペックでの比較では、高域特性はCDとさほど変わらない。ハイレゾを評価するにあたっては、楽曲の周波数特性を測定し高域成分がどれだけあるかで良し悪しを見極めることもあるようだが、それがすべてに当てはまらないことをこの作品が証明してくれている。音楽やサウンドの良し悪しと、特性やスペックは決してイコールではない。ビクタースタジオが啓蒙するハイレゾの魅力とは「制作現場で創ったそのままが届けられること」であり、本作品がまさにその典型。仕上がりの完成度が高いことは前提だが、現場でのこだわりが変わらずに伝えられれば、今までは伝えきれなかった多くの感動と魅力を感じて頂けるのだ。
本作品は、ロックファンはもちろん、クラシックやジャズファンの、特にオーディオマニアの方々にも是非お聞き頂きたい。ジャンルを超えてサウンドクオリティーの高さを実感頂ける一枚だ。
内田 孝弘 氏
ビクタースタジオFLAIR所属マスタリングエンジニア
一部のロック系ではカリスマ的な存在とまでされたレコーディングエンジニアとしての実績をバックに2006年にマスタリングエンジニアに転身。
レコーディングエンジニア時代の作品の多くは、自らがマスタリングまで手掛け、徐々にマスタリングの奥深さと無限の可能性を感じ転向を決意、レコーディングエンジニアとしてのスキルを封印しマスタリングに特化。
スタイルは、自身の経験より「何でもいじる」ではないミックス素材の尊重派。これまでの日本プロ音楽録音賞授賞歴が実証するベーシックな“良い音づくり”の基本を持ちながら、個性溢れる過激なサウンドづくりにもその手腕を発揮。ロック系を中心にポップスからフュージョン系まで幅広いジャンルに対応する音楽的な懐の広さも発揮。
とにかく情報通、常に業界の動向に目を向け、エフェクターやプラグインの新し物好き。幅広くDAWの扱いに関しては他と一線を博すスキルを有し、ミックスとマスタリングの境が曖昧になってきた今こそ最も必要とされる人物。“FLAIR ROCK”の中心人物。
<内田氏からのコメント>
「或いはアナーキー」のハイレゾマスターづくりは、CDのマスタリングも手掛けていたので、メンバーの表現したい音像は事前に理解出来ていたこともありとてもやり易かったです。
ご存知のようにBUCK-TICKの音楽性というのは、大変広く、メンバーのバンドサウンドにシンセ、ノイズ、大胆なエフェクト等がふんだんにフィーチャーされる独特な世界観を持ったものです。「或いはアナーキー」のCDマスタリングに関しても、アルバムとして整えるというよりは1曲ずつ磨き上げていく感じで仕上げました。ですのでハイレゾの音づくりも、ミックスエンジニアの比留間さんと自分を中心にメンバー、スタッフで話し合い時間をかけて作ったCDのサウンドイメージを変えずに、自然な形でハイレゾならではの質感を持たせていこうということになりました。
具体的なサウンドメイクは、CDのスピーカーから飛び出してくるようなパワー感のあるサウンドに対して、ハイレゾでは音場がスピーカーの奥に広がっていくイメージで音の余韻や空気感が繊細に表現されるようなサウンドメイクを施したつもりです。
「或いはアナーキー」ではアルバムの世界観を変えることなくCDとハイレゾで異なるサウンドメイクを行い、両方聴いていただいたリスナーに「なるほど!」と思っていただけるような作品に仕上がったと思います。ぜひCDとハイレゾの両方を聴いていただき、その違いをお楽しみいただければと思います。