アニメから自主制作映画まで5タイトル
「人に本気で観てほしい作品」をぶつけ合え!推し語りバトル開幕!
長濱:では私からは、フジテレビのドラマ『教場』を推したいと思います。これは同名の警察小説を原作にした、木村拓哉が演じる風間公親(かざまきみちか)が教官を務める警察学校のお話なんですね。
伴:ちょうど今、月9枠でドラマやってますよね。
長濱:そう、元々は2020年のお正月に、フジテレビ開局60周年記念の特別企画として前後編ドラマとして放送された作品で、翌2021年のお正月にも『教場2』が前後編で放送されています。今放送中の『風間公親―教場0―』は前日譚にあたるストーリーですね。
長濱:原作小説も累計100万部を超えるベストセラーだし、フジテレビ開局60周年記念でお正月に放送ってことからも分かる通りフジテレビがめちゃくちゃ力を入れている作品なんですけど……ものすごく暗い。キムタクでさえ「本当にこれやるんですか」って言ったくらいに暗い。
杉山:キムタクが言うほどに……?
長濱:これも良いところのひとつなんですけど、警察学校って若者以外にも色々な人が入ってくるんですよ。挫折して再起をかけた人とか邪な目的を持った人とか、さまざまな思いを持った生徒たちをミステリアス、かつ卒業というひとつの目標に向かって描いていきます。ただ、彼らを指導するキムタク演じる風間が、白髪で片目が潰れたビジュアルからインパクト大なキャラクターなんですけど、冷酷無比でものすごく怖い。
長濱:よくある警察学校モノや自衛隊モノだと「夢に向かって頑張ろう!」なんて前向きだったりするじゃないですか。でも『教場』だと警察学校は優秀な警察官を育てるための機関じゃなくて、警察の適正がない人間をガンガン振り落としていく、という考え方なので、簡単には卒業させてくれない。
長濱:序盤から風間が「君にはここを辞めてもらう。退学届にサインして持ってこい。いつにする? 明日か? 明後日か? なんだったら今でもいい」なんて言ってくるから、もう恐怖しかない。社会人なら「こんなこと言われたら辛い」って気持ちを味わえるし、観てる自分の弱い部分が登場人物とマッチしてくると、本当に自分が怒られているような感覚になってくる。
松永:すでに胃が痛いんですが……。
長濱:ただ、最初は風間が冷徹な人間にしか思えないけど、観進めていくと「実は1番人間臭いのでは?」と思えてくる。『教場2』も同じように厳しいんですけど、風間の人となりを知っていたら厳しさにも深い理由があることが見えてくるので、普段味わえないような人間ドラマが楽しめる作品としてオススメしたいですね。
杉山:キムタクと月9って鉄板の組み合わせですけど、他の作品とはまた違う味わいっぽいですね。
長濱:そう、監督の中江巧さんは月9なら『ギフト』『プライド』とか、映画なら『マスカレード・ホテル』とかで長年キムタクとタッグを組んできた人なので、だからこそキムタクの新たな一面が観られるのかな、とも思います。時々キムタクであることを忘れるもん。
押野:なんか話を聞いていると、ドラマといえばテレビしかなかった頃の日本ドラマっぽさを感じますね。
長濱:ぶっちゃけ令和の時代にこの内容やるの? って思うくらいにはパワハラまみれで怖いし、だからこそ面白いかな。今の若い子には初めての感覚だろうし、我々昭和をかじってる人間からすると「あったわ、こういうの」って思える。
長濱:あと、ちょっと斜めな見方だけど、林遣都くんや三浦翔平くんのような若手俳優や、Snow Manの目黒廉くんのようなジャニーズの子も結構出演しているんですね。でもジャニーズだからって手加減しないで、ものすごく厳しく扱っているのも面白いポイントだったりする(笑)。
伴:ジャニーズだからといって特別扱いせず、1人の俳優として平等に扱っている感じですね。
長濱:シリーズ全作ともFODで見放題配信しているけど、『教場』『教場2』は前後編で各2時間弱だから、そこまで長くない分サッと観られると思います。そして風間がなぜ右目を失ったかなど、彼の過去が明らかになる『教場0』はまさに放送中なので、ゴールデンウィーク中にイッキ見したらそのまま波に乗ることができるのもオススメポイントです!
松永:ゴールデンウィーク中にイッキ見する意味がめちゃくちゃあるプレゼンじゃないですか……。