【第89回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
おじさんたちの大げんか!? 突然の絶交宣言に揺れる友情の行方は…
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2022年製作の『イニシェリン島の精霊』をご紹介します!
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『イニシェリン島の精霊』(2022年・アイルランド・イギリス・アメリカ)
(配信:Disney+)
アカデミー賞主演女優賞・助演男優賞を受賞した『スリー・ビルボード』などで知られ、演劇界・映画界において高い評価を得る鬼才マーティン・マクドナー監督作。1923年、アイルランドの孤島で暮らす気のいい男パードリック(コリン・ファレル)は、いつものように友人のコルム(ブレンダン・グリーソン)を誘って飲みに行こうとするが、「お前が嫌いになった」と突然絶縁を告げられる。理由を尋ねるも答えは得られず、果てには「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と宣言されてしまう。妹や隣人の助けを借り、事態を好転させようとするパードリックであったが…。
年齢を重ねていく中で、人生における優先順位に変化が生じることは往々にしてあると思う。また、当事者の中で起きたその変化を、他者が止めることなどできやしない。そうして壊れゆく男たちの友情が行き着く果てに、只々胸を締め付けられてしまう。一体どうすれば良かったのか、どうしたら他の道を辿ることができたのか。
環境によって逃げ道を見出せない人間もいるのだと、広い世界に目を向けることで得られる救いもあるのかもしれないと、男たちの関係性を通してさまざまな想いを巡らせられる濃厚な114分。寓話と受け取るか否かは人それぞれですが、疎遠になってしまった友人がいる人には身につまされるものがあるかもしれません。
(C)2023 20th Century Studios.
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『イニシェリン島の精霊』(2022年・アイルランド・イギリス・アメリカ)
(配信:Disney+)
アカデミー賞主演女優賞・助演男優賞を受賞した『スリー・ビルボード』などで知られ、演劇界・映画界において高い評価を得る鬼才マーティン・マクドナー監督作。1923年、アイルランドの孤島で暮らす気のいい男パードリック(コリン・ファレル)は、いつものように友人のコルム(ブレンダン・グリーソン)を誘って飲みに行こうとするが、「お前が嫌いになった」と突然絶縁を告げられる。理由を尋ねるも答えは得られず、果てには「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と宣言されてしまう。妹や隣人の助けを借り、事態を好転させようとするパードリックであったが…。
年齢を重ねていく中で、人生における優先順位に変化が生じることは往々にしてあると思う。また、当事者の中で起きたその変化を、他者が止めることなどできやしない。そうして壊れゆく男たちの友情が行き着く果てに、只々胸を締め付けられてしまう。一体どうすれば良かったのか、どうしたら他の道を辿ることができたのか。
環境によって逃げ道を見出せない人間もいるのだと、広い世界に目を向けることで得られる救いもあるのかもしれないと、男たちの関係性を通してさまざまな想いを巡らせられる濃厚な114分。寓話と受け取るか否かは人それぞれですが、疎遠になってしまった友人がいる人には身につまされるものがあるかもしれません。
(C)2023 20th Century Studios.
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ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |