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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第275回】

実録! final「学習専用イヤホン」で英語のリスニングテストを受けたら点数は上がるのか?

公開日 2024/07/28 07:00 高橋敦
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■果たしてSTUDY1を使ったら英語リスニングテストの点数は上がるのか?



右がSTUDY 1で、左がほぼ同価格帯のE1000C

……という経緯を経て、早速だがテスト内容とその結果がこちら。

<テスト内容>

・TOEIC試験問題集から、会話やナレーションを聞いて設問に解答するリスニングセクションを使用。
・本来は100問を45分で解答するが、今回はその序盤の写真描写問題と応答問題、合計31問を15分で解答。
・そして普通のイヤホンE1000C→学習用イヤホンSTUDY 1でテストに挑戦。慣れが生まれる分だけ後攻の方が有利だが、それも考慮して結果を見ていく。


<テスト結果>

●筆者
 E1000C:17点/31点 → STUDY 1:18点/31点
●代表取締役・風間
 E1000C:16点/31点 → STUDY 1:20点/31点


正直、筆者の方は微妙な結果だ。いやリスニング能力は微妙とかではなく論外なのでそこではなく、後攻の有利もあるのに+1点のみって実質ほぼ変化なしでしょ……というところの微妙さだ。

対して代表取締役・風間さんの、16点から20点、100点満点換算にするとおおよそ52点から65点へという伸びは、STUDY 1の威力の片鱗を感じられる結果。後攻の有利分を少し差し引いても正答率+10%くらいはSTUDY 1によるバフかもしれない。

まとめると「人によってばらつきが出るが、普通のイヤホンと同程度〜正答率10%アップくらいのスコアは期待できそう」といったところか。サンプル数が2人だけなので統計として役に立つものではないが、悪くない結果だ。

加えて筆者としては、自身の「リスニングのスコアは同社同価格帯で一般的なチューニングのイヤホンと同程度にとどまった」という結果も、実はポジティブに受け止められる内容かと思う。ここからはその理由を述べていこう。

■「声を聴き取りやすい音質」が学習効率アップにつながる理由とは?



まずそもそもの話として、比較対象としたE1000Cはこの価格帯の定番ロングセラーであり、その実力は折り紙つき。音楽再生においては素直なバランス、リズムのキレ、歌声の明快な発声とさっぱりとした感触などが持ち味だ。

高コスパな有線イヤホンとして高い人気を誇るfinal「E1000/E1000C」

その明快な発声は話し声の聴き取りやすさにもつながり、テスト時にもそれを実感できた。基本ポテンシャルとしても音の傾向としても、英語リスニング用途への適性も十分過ぎるほど備えているイヤホンだ。であれば、そのE1000Cとほぼ同等のスコアをキープしたSTUDY 1の実力も評価に値するだろう。

それを踏まえた上でSTUDY 1の音調について考えてみよう。

そのサウンドはシルキーでソフトで聴き心地がよい。しかしこの音調、快活さや鋭さを活かした音作りと比べると、音の明瞭さ、聴き取りやすさを高めるのは少し難しいはずだ。

しかしその音調でありながら、実際に聴いての感触からもリスニングテストの結果からも、STUDY 1は優秀機E1000Cと同等以上の明瞭さ、聴き取りやすさを備えている。これが「話し声を聴き取りやすくする物理特性に基づいた音響設計」の威力か。

そしてシルキーでソフトで聴き心地のよい音調ということは、使用時間が長くなればなるほど、耳への優しさ、聴き疲れにくさという特長が発揮されてくるはず。例えば大学等のオンライン授業では、90分程度の授業が1日に4コマといったスケジュールもあり得るだろう。聴き疲れにくい本機ならその終盤の授業まで聴き取りやすさ、ひいては学習への集中力も維持できると期待できるわけだ。

考えてみれば本機の謳い文句は「リスニングテスト用イヤホン」ではなく「学習専用イヤホン」。テストの点数云々より「聴き取りやすいのに聴き疲れにくいから学習効率アップ!」こそがその真価なのではないだろうか。

実験によってSTUDY 1の「会話をどれだけ正しく聞き取れたかの正答率」の高さが実証されているという

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