CAVIN大阪屋×ダイナミックオーディオ×マックスオーディオによる貴重な対談
【特別対談】コロナ禍以降の専門店の役割。北海道・東京・福岡の老舗ショップに訊く新たな価値創造の取り組み
自宅への納品やセットアップまでトータルでサポート
島 森田さんや早見さんのところでは、扱う製品の価格帯というのはあるのですか?
森田 いや、きたお客さんにあわせて対応しますので、なんでもやりますよ。大きく分けて1Fはソフト、2Fはホームシアター、3Fと4Fがオーディオとなっていますが、3Fはプリメイン中心、4Fはセパレート中心といった棲み分けはあります。
島 ダイナミックオーディオは、フロアが価格帯ごとに分かれているんです。1Fから7Fまであって、上に上がるほど価格が上がっていく。私は4Fを担当しているので、だいたいこれくらいの価格帯、というのがあります。Bowers&Wilkinsの「801 D4」がひとつの目安でしょうか。それ以上上の価格になると、それは上階の担当に引き継ぐことになります。
ーーダイナさんは少し珍しいスタイルですよね。
島 私はここしか知らないので、これを特殊だと思っていないのですが(笑)。とはいえ、建前としてはいまも価格別に分かれていますが、昨今ではスタッフの個性に合わせて、それぞれ売りたいもの、注力したいものを売るスタイルにも変わってきています。
ーー早見さんのところも、お客さんの要望に合わせて、それこそ10万円から1000万円まで、という感じですよね。
早見 それこそお客さんの要望にはなんでも答えられるお店でありたいと思っています。
ーー基本的に、みなさんご自宅への納品までしっかりやっているんですよね
森田 きてくれと言われればどこまででも。稚内も行きますよ。9時間くらいかかるけど。もちろん取りにこられる方や、送って欲しい、という方もいらっしゃいます。また最近ECサイトもやっているのですが、ネットで購入された方でも、30万円以上でしたら北海道内の設置サービスが無料というのもやっています。それは設置することによってお客さんとの距離感を縮める、そして次の商談、提案ができるようにと考えてやっています。
まだまだ効果あるとは言えないのですが、継続的にやっていきたいと考えています。中古もOKです。やっぱり現場に行って設置してなんぼ、というのが専門店としての意義であり、生き残る道かなと思います。
早見 うちも九州全土行きますね。沖縄や、関門海峡を渡って中国地方や四国まで行くこともあります。
ーーお客様の環境も理解して、セットアップして一緒に音を聴くところまでが仕事、というのはありますね
早見 それを楽しんでいるわけですからね。冷蔵庫みたいに設置したら終わり、ではなくて、そこから先にオーディオの楽しみがありますので、それを楽しむパートナーになれるといいですね。
島 お客さんにはそれぞれ好きな音があり、追求したい世界が違います。だから私は、納品に行った時にお客さんとその音を共有したいんです。そして、お客さんから「もっとステージを広げたい」とか、「柔らかい音にしたい」とか、いろんな要望が出てきた時に、その対策を提案できるようにしたいと考えています。同じ食べ物でも、人によって甘いという人がいたりしょっぱいという人がいたりする。でも納品に行けば、その音をどう感じているのか、というのがとてもよくわかります。
早見 それ、すごくわかります。
島 おこがましいですが、製品を買っていただいた後から、どんどん「お客様と一緒に育てていきたい」感覚になるんです。その最初のきっかけが納品なんですよね。その後ケーブルを買っていただいたり、⾳がよくなったって⾔われると聴きに⾏きたくなるし。それが趣味の醍醐味ですよね。
ーー買うのはゴールじゃなくてスタートだ、というのがオーディオの楽しさでもあります。
島 特にスピーカーはセッティングまでしっかりサポートしたいですよね。セッティングで音が変わるってことはみなさんよくご存知です。私たちはある程度経験を持っていますので、環境に合わせてベストな状況にご提案できます。
ーーお客さんのセッティングをすることで、お店のスキルもまたひとつ上がる、というのもありますね。
森田 そうですねぇ。経験を重ねることで、次に活かせる学びは多くありますね