CAVIN大阪屋×ダイナミックオーディオ×マックスオーディオによる貴重な対談
【特別対談】コロナ禍以降の専門店の役割。北海道・東京・福岡の老舗ショップに訊く新たな価値創造の取り組み
地方都市でのイベントも強化
ーーマックスオーディオさんは、店舗のある小倉と福岡以外にも、長崎や鹿児島などでもイベントを積極的に展開されていますよね。
早見 最初長崎からスタートしたんです。長崎の老舗のオーディオショップさんが廃業されて、専門店がなくなってしまった。メーカーさんからも今までのお客さんをどうフォローしていくか、という相談もありまして、マックスオーディオとしてサポートできればと考えたのです。多くの場合、お店がなくなってしまうと、そこについていたお客さんも辞めてしまったり、休眠状態になってしまうことが多いです。
ーーですが、家の近くでオーディオショウがあると、改めて火がつくきっかけになりますよね。
早見 もちろんそうなのですが、1回2回ではダメで、続けていかないと難しいな、という感触もあります。
島 北海道も各地でイベントやっていますよね
森田 旭川や釧路でも開催しています。旭川は車で2時間くらいと比較的近いので良いのですが、釧路は大変でしたね…4時間半くらいかかりました。
早見 うちも鹿児島まで行くのは4時間くらいかかるよ。
森田 会場の設営はメーカーさんにも手伝っていただけるので良いですが、とにかく移動は大変ですね。
ーーイベントの手応えはありますか?
森田 それは間違いなくあります。旭川についても、専門店がなくなってしまったので、まずは試聴会をやることにしたんです。ホテルの一室を借りて、オルトフォンさんに協力いただいてアナログの試聴会をやりました。そうしたら思いの外反響がありまして。次は酒蔵を借りて、アキュフェーズさん、ヤマハさんと協力して2時間くらいの小さなイベントをやりました。こちらもお客さんがたくさんきてくれたので、これはしっかり「売り出し」もやらないといけないなと。そうして今の形になってきたのです。
ーー最初は体験イベントとしてスタートしたんですね。
森田 そこから旭川のお客さんも劇的に増えましたね。北海道の人にとっては2時間って、たいした距離じゃないので(笑)、やってよかったし、やっぱり体験してもらう場を作るというのは大事だなぁと思いました。その場ですぐ買わなくても耳に残ったものは次の商談に生きてきますし、イベントだといろんなメーカーの製品を一気に見ることができますから、1年に1回でも着実に続けていけたらなって思っています。
ーー色々聴ける、色々観れるというのがショウならではの楽しさですね。
森田 昔は何人お客さんが来た、というのを競っていたこともありますが、今は来てくれたお客さんを一人一人、どれだけ満足させられるかということが結果的に売りにつながっていくと感じています。札幌で年2回、旭川と釧路を継続して。今度苫小牧でもやろうかと考えています。ネットワークプレーヤーとはなんぞや、というようなテーマでね。
10月5日、6日に北海道オーディオフェアを開催しました。こちらは「売り出し」というより新製品をお見せする「ショウ」の位置づけになります。一方、春にやっているのは即売会で、こちらでは特価品コーナーを作っています。一応差別化はしているのですが、昨今はそんなに違いはなくなってきているかも…。
ーーマックスオーディオさんは基本即売会というスタイルですね。メーカーさんごとに部屋を分けて、時間割を組んで試聴会をやっています。
早見 もともとはフリータイムで、お客さんが聴きたいものを聴いてもらう、というスタイルだったのですが、集まったメーカーさん同士でお話し合いをして、時間割を作るということになったようです。でも、あくまで販売が目的ですから、聴きたい製品があるお客さんに聴いてもらえない、それでは売れない、という声もあります。正解がないのでなかなか難しいですね。次は11月15日から17日まで、小倉で開催します。
ショップスタッフのこだわりが光る「マラソン試聴会」
ーーダイナミックオーディオさんは、今年5年ぶりに「マラソン試聴会」が復活しました。
島 えぇ、10月12日と13日にKANDA SQUAREで開催しました。コロナの期間しばらくお休みしておりましたが、久しぶりの復活です。4Fでは「ハーフマラソン」としてもう少し小規模なものはやっていたのですが。
ーーマラソン試聴会はショップのスタッフが主導するスタイルの試聴会ですね。
島 マラソン試聴会はそれぞれのスタッフの「ライヴ」なんですよ、川又(7F担当)のライヴ。東(6F)、厚木(トレードセンター)、柴田(3F)、そして私のライヴ。即売会ではありません。メーカーさんには製品の移動などをお手伝いいただきますが、基本的にお話いただくことはあまりありません。製品についても何を取り上げるか、どう組み合わせるかもショップスタッフそれぞれが決めます。それはお店としてのプライドとしてやっていることです。
ーーメーカー、輸入商社の垣根を超えて組み合わせを楽しめるというのは非常に面白いですよね。
森田 島さんのところのように、ショップスタッフがしっかり説明できる、というのもいいなぁと思いますし、今後取り入れていきたいとも思います。でもうちのスタッフさん、僕が採用しているからか、みんな照れ屋なんですよね。なかなか前には出たがらないんです(笑)。
島 基本オーディオはインドアな趣味ですからね。