公開日 2009/05/11 15:01
音質もファッション性も兼ね備えた自信作 − SHURE担当者が語る「SE115」の秘密(前編)
独占インタビュー
米SHUREからエントリークラスのカナル型イヤホン「SE115」が発表された(関連ニュース)。SEシリーズとして初めて4色のカラーバリエーションを揃え、さらに新開発のダイナミック型ドライバーを搭載するなど、デザイン面と音質面の両方に配慮した期待の新製品だ。Phile-webでは、本製品の発表にあわせてSHURE ASIAのマーケティング・ディレクター、ウィリアム・チャン氏の独占インタビューを実現。オーディオ評論家の高橋敦氏が新製品のくわしい内容を聞いた。前編と後編の2回に分けてお伝えする。(Phile-web編集部)
■純正イヤホンからのアップグレードを期待
ーーSHUREのイヤホンラインナップがさらに充実しますね。その中で新製品のSE115は、どのようなユーザーをターゲットにした製品なのでしょうか?
チャン氏:日本市場におけるターゲットとしては3つのグループを考えています。
最初のグループはミュージックプレーヤーに付属する純正のイヤホンを使っている方。彼らがそのクオリティに満足できなくなったときに、SE115はそこからのアップグレードの選択肢になります。
次のグループはイヤホンにファッション性も求める方です。年齢で言うと18〜32歳くらいの方でしょうか。イヤホンはいまや、音楽を聴く道具としてだけでなく、自分の個性を表現するファッションアイテムでもあります。4色を揃えたSE115なら、例えば洋服や小物、iPod nanoの色に合わせてイヤホンの色を選ぶことができますからね。
そして最後に、SE102をご購入いただいた方がアップグレードしてくれることも望んでいます。SHUREイヤホンをご購入いただいたユーザーは、2つめ3つめのイヤホンとして上のクラスのSHUREイヤホンもご購入していただけることが多いのです。SE102はおかげさまで好評でしたので、そこからのステップアップにも期待しています。
ーーSHUREのイヤホンを購入したユーザーは、次にさらに上のクラスのSHUREイヤホンを購入することが多いという話を伺ったことがあります。製品への満足度の高さを示す証左と言えますね。SE115もそのようなSHUREファンを獲得してくれる製品になると期待していますか?
チャン氏:コンシューマエレクトロニクス製品のライフサイクルというのはおおよそ2年という周期が一般的です。SE115をご購入いただいた方も、そのころにはアップグレードを考えていただけるのではないでしょうか。SE420やSE530を手にしてもらえればうれしいですね。
もっともSE102は去年の10月に発売された製品ですのでまだ半年ほどしか経っていませんが、SE102ユーザーには1年を待たずにSE115を試してみてほしいです。
■ダイナミック型を選んだのはコストダウンのためではない
ーードライバーユニットのタイプについてです。SE115には、SEシリーズの多くで採用しているバランスド・アーマチュア型ではなく、ダイナミック型のユニットを採用していますね。その選択理由は何でしょう?
チャン氏:一般的にはよく、バランスド・アーマチュア型ドライバーとダイナミック型ドライバーを比べると前者の方が小型で高性能だと言われます。しかし今回SE115に搭載するDynamic MicroSpeaker IIについては、それは単純には当てはまりません。Dynamic MicroSpeaker IIはダイナミック型でありながらも小型化を実現しています。ですので装着感も向上しています。
ーーもちろん音質なメリットも?
チャン氏:音質面では、ダイナミック型の長所である低域の深さを保ちつつ、中域とのバランスを良くしています。バランスド・アーマチュア型のシングルユニットだと中域が強調される傾向にあるのですが、Dynamic MicroSpeaker IIは音域のバランスが優れています。
ーーエントリークラスですので、ダイナミック型を採用することでコストダウンを図ったのかとも思ったのですが?
チャン氏:コスト削減はダイナミック型を採用した大きな理由ではありません。Dynamic MicroSpeaker IIは一般的なダイナミック型ドライバーよりもかなりコストがかかっていますからね。
ーー同じくダイナミック型ドライバーを採用するSE102と「ここが違う」というポイントは?
チャン氏:ハウジングから伸びるノズルの部分の太さがSE102よりも細くなりました。それによって上位モデルと共通のアクセサリー(イヤーパッド)を利用できるようになっています。
ーーということはソフト・フォーム・イヤパッドも使える?
チャン氏:そうです。標準で付属しています。
ーーそれはうれしいですね。ソフト・フォーム・イヤパッドは装着感も遮音性も抜群ですから。
チャン氏:でしょう?
■高音質だけでなく「Kawaii」も提供したかった
ーーいままでにない豊富なカラーバリエーションもSE115の大きな特長ですよね。ブラック、レッド、ブルー、ピンクという4色展開です。この4色を選んだ理由は?
チャン氏:カラーというのはとても個人的な趣向に基づくものです。今回は発売前にマーケットリサーチを行い、ブラック、レッド、ブルー、ピンクというこの4色を選びました。多くの方に受け入れていただけると思います。
ですが色の好みというのは地域やあるいは時代によっても変わってきますので、市場の反応を見て色を変更あるいは追加していく可能性もあります。
ーーカラーバリエーションについては本当に積極的なのですね。
チャン氏:SHUREはいままで高音質ということに注力してきましたが、今回はそれに加えて生活やファッションに合わせて選択できる「Kawaii(カワイイ)」ものを提供したかったのです。
さて実際の製品がここにありますが、みなさんはどの色がお好きですか?
ーー僕はいちばんインパクトの強いピンクですかね(同行の編集者は渋い色合いのレッドを選んだ)。
チャン氏:グッドチョイス!
ーーところで他のモデルにもカラーバリエーションを導入する可能性は?
チャン氏:将来の製品計画についてはっきりとは申し上げられませんが、可能性はあります。
ーーでは最後に、他に何かユーザーに伝えておきたい点があればお願いします。
チャン氏:そうですね。今回はファッション性にもフォーカスしていますが、SHURE製品の最大のポイントはやはり音質です。その点は我々としても意識していますし、市場にもアピールしていきたいです。そうそう、遮音性の高さも素晴らしいですよ!
ーーありがとうございました。
(インタビュー・構成:高橋敦)
ウィリアム・チャン氏インタビューはいかがだっただろうか。SE102-Kが大ヒットを記録していることもあり、新製品「SE115」の出来映えに強い自信を持っていることが言葉の端々から感じられた。インタビューの後編では、SE115のさらにくわしい内容に迫る予定だ。ぜひご期待いただきたい。(Phile-web編集部)
■純正イヤホンからのアップグレードを期待
ーーSHUREのイヤホンラインナップがさらに充実しますね。その中で新製品のSE115は、どのようなユーザーをターゲットにした製品なのでしょうか?
チャン氏:日本市場におけるターゲットとしては3つのグループを考えています。
最初のグループはミュージックプレーヤーに付属する純正のイヤホンを使っている方。彼らがそのクオリティに満足できなくなったときに、SE115はそこからのアップグレードの選択肢になります。
次のグループはイヤホンにファッション性も求める方です。年齢で言うと18〜32歳くらいの方でしょうか。イヤホンはいまや、音楽を聴く道具としてだけでなく、自分の個性を表現するファッションアイテムでもあります。4色を揃えたSE115なら、例えば洋服や小物、iPod nanoの色に合わせてイヤホンの色を選ぶことができますからね。
そして最後に、SE102をご購入いただいた方がアップグレードしてくれることも望んでいます。SHUREイヤホンをご購入いただいたユーザーは、2つめ3つめのイヤホンとして上のクラスのSHUREイヤホンもご購入していただけることが多いのです。SE102はおかげさまで好評でしたので、そこからのステップアップにも期待しています。
ーーSHUREのイヤホンを購入したユーザーは、次にさらに上のクラスのSHUREイヤホンを購入することが多いという話を伺ったことがあります。製品への満足度の高さを示す証左と言えますね。SE115もそのようなSHUREファンを獲得してくれる製品になると期待していますか?
チャン氏:コンシューマエレクトロニクス製品のライフサイクルというのはおおよそ2年という周期が一般的です。SE115をご購入いただいた方も、そのころにはアップグレードを考えていただけるのではないでしょうか。SE420やSE530を手にしてもらえればうれしいですね。
もっともSE102は去年の10月に発売された製品ですのでまだ半年ほどしか経っていませんが、SE102ユーザーには1年を待たずにSE115を試してみてほしいです。
■ダイナミック型を選んだのはコストダウンのためではない
ーードライバーユニットのタイプについてです。SE115には、SEシリーズの多くで採用しているバランスド・アーマチュア型ではなく、ダイナミック型のユニットを採用していますね。その選択理由は何でしょう?
チャン氏:一般的にはよく、バランスド・アーマチュア型ドライバーとダイナミック型ドライバーを比べると前者の方が小型で高性能だと言われます。しかし今回SE115に搭載するDynamic MicroSpeaker IIについては、それは単純には当てはまりません。Dynamic MicroSpeaker IIはダイナミック型でありながらも小型化を実現しています。ですので装着感も向上しています。
ーーもちろん音質なメリットも?
チャン氏:音質面では、ダイナミック型の長所である低域の深さを保ちつつ、中域とのバランスを良くしています。バランスド・アーマチュア型のシングルユニットだと中域が強調される傾向にあるのですが、Dynamic MicroSpeaker IIは音域のバランスが優れています。
ーーエントリークラスですので、ダイナミック型を採用することでコストダウンを図ったのかとも思ったのですが?
チャン氏:コスト削減はダイナミック型を採用した大きな理由ではありません。Dynamic MicroSpeaker IIは一般的なダイナミック型ドライバーよりもかなりコストがかかっていますからね。
ーー同じくダイナミック型ドライバーを採用するSE102と「ここが違う」というポイントは?
チャン氏:ハウジングから伸びるノズルの部分の太さがSE102よりも細くなりました。それによって上位モデルと共通のアクセサリー(イヤーパッド)を利用できるようになっています。
チャン氏:そうです。標準で付属しています。
ーーそれはうれしいですね。ソフト・フォーム・イヤパッドは装着感も遮音性も抜群ですから。
チャン氏:でしょう?
■高音質だけでなく「Kawaii」も提供したかった
ーーいままでにない豊富なカラーバリエーションもSE115の大きな特長ですよね。ブラック、レッド、ブルー、ピンクという4色展開です。この4色を選んだ理由は?
チャン氏:カラーというのはとても個人的な趣向に基づくものです。今回は発売前にマーケットリサーチを行い、ブラック、レッド、ブルー、ピンクというこの4色を選びました。多くの方に受け入れていただけると思います。
ですが色の好みというのは地域やあるいは時代によっても変わってきますので、市場の反応を見て色を変更あるいは追加していく可能性もあります。
ーーカラーバリエーションについては本当に積極的なのですね。
チャン氏:SHUREはいままで高音質ということに注力してきましたが、今回はそれに加えて生活やファッションに合わせて選択できる「Kawaii(カワイイ)」ものを提供したかったのです。
さて実際の製品がここにありますが、みなさんはどの色がお好きですか?
ーー僕はいちばんインパクトの強いピンクですかね(同行の編集者は渋い色合いのレッドを選んだ)。
チャン氏:グッドチョイス!
ーーところで他のモデルにもカラーバリエーションを導入する可能性は?
チャン氏:将来の製品計画についてはっきりとは申し上げられませんが、可能性はあります。
ーーでは最後に、他に何かユーザーに伝えておきたい点があればお願いします。
チャン氏:そうですね。今回はファッション性にもフォーカスしていますが、SHURE製品の最大のポイントはやはり音質です。その点は我々としても意識していますし、市場にもアピールしていきたいです。そうそう、遮音性の高さも素晴らしいですよ!
ーーありがとうございました。
(インタビュー・構成:高橋敦)
ウィリアム・チャン氏インタビューはいかがだっただろうか。SE102-Kが大ヒットを記録していることもあり、新製品「SE115」の出来映えに強い自信を持っていることが言葉の端々から感じられた。インタビューの後編では、SE115のさらにくわしい内容に迫る予定だ。ぜひご期待いただきたい。(Phile-web編集部)
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