公開日 2012/04/19 16:18
奥田民生さんのライブで大反響 − 『お持ち帰りCD』の魅力とは?
音楽に新しい楽しみ方のカタチ
音楽に新しい楽しみ方のカタチ − 多彩な発想が膨らませる商機 |
1月に東京の3つの会場(4公演)で開催された奥田民生さんのライブで、当日の感動をその場でパッケージにして持ち帰れる「お持ち帰りCD」が販売され、大きな反響を集めた。既存のCDパッケージとはまったく違った音楽の楽しみ方を実現するもので、新たなビジネスチャンスの拡がりも期待されている。
そこで、高度な品質管理とスピードが求められる「お持ち帰りCD」の製作現場を支えるディーアンドエーミュージックの白川幸宏社長、そして、プロの目が選ぶ信頼と安心のCD-Rメディアを提供したスタート・ラボの揚伯裕社長にご登場いただき、大きなポテンシャルを秘めた「お持ち帰りCD」の魅力に迫った。
【「お持ち帰りCD」(ライブCD)とは】 レコーディングしたライブ音源をその場でCD-Rにコピーする。できたてホヤホヤの感動を、終演後、その日のうちに持ち帰ることができる。英国アビー・ロード・スタジオが「アビー・ロード・ライブ・ヒア・ナウ」というシステムとして実現し、海外ではすでにお馴染み。日本では2010年11月に「EMI ROCKS」というイベントで行われたのが最初となる。小規模なライブ等ではその後も行われていたが、単独アーティストがツアーの複数会場で行う例は、今回の奥田民生さんのツアーが初めてとなる。 |
予想を上回る大反響 − 「お持ち帰りCD」とは |
ーー 1月末に行われた奥田民生さんのライブで「お持ち帰りCD」の企画が大好評だったそうですね。
白川 ライブツアーの中の東京の3つの会場の4つの公演で行われ、販売された計2600セットが完売となりました。ライブのチケットを持っている人を対象に、一人一枚限定で発売されました。会場でライブに先立って整理券を販売する仕組みになっており、「15時から販売します」と前もってアナウンスされるのですが、早いところでは朝から、昼過ぎには100人を超える列になるなど大きな反響を集めました。
ーー 主催者もびっくりされていたのではないですか。
白川 発売枚数も、主催者サイドの当初の見積もりに対し、こちらからアドバイスをして上乗せされたのですが、「こんなに売れるのか!」と大変驚かれていました。最終日の渋谷公会堂のときには、他のアーティストの担当者などもたくさん見に来ていたようです。
「お持ち帰りCD」は海外ではすでにやられているものなのですが、国内では2010年11月に「EMI ROCKS」というイベントで行われたのが最初になります。
しかし、今回の奥田民生さんのように、単独アーティストのツアーで何会場にもわたってやるのは初めてになります。「お持ち帰りCD」の存在を知った奥田民生さんのレーベルとマネジメントのスタッフから「是非やってみたい」と発案され、チャレンジされたそうです。
楽しんだライブの空間が、そのままパッケージになり、その日のうちに持ち帰れるわけですから、この感動の輪をもっと拡げていきたいと思います。
「お持ち帰りCD」製作数 | ||
開催日 | 会場 | 制作数(品番) |
1月7日(土) | 府中の森芸術劇場 | 500セット限定(KSRL1-2) |
1月11日(水) | NHKホール | 750セットセット限定(KSRL3-4) |
1月12日(木) | NHKホール | 750セットセット限定(KSRL5-6) |
1月31日(火) | 渋谷公会堂 | 600セット限定(KSRL7-8) |
ーー お客様にとって大きな喜びであると同時に、製作されるディーアンドエーミュージックさんにとってはかなり高いハードルなのではないですか。
白川 当社は1989年に、レコーディング会社として創業しました。当初はクラシックをライブレコーディングして、1枚、2枚の少量からでもオリジナルCDをつくれますよ、というビジネスを行っていました。
ーー まるで「お持ち帰りCD」の源流のようですね。
白川 かなり近いですね。その後、レコーディングの技術力を背景にした音質評価なども手掛けており、現在は、レコードメーカーのプロモーションCDのコピーを事業の柱のひとつとしています。
“旬”の話題をいち早くお届けしなければならないものですから、とにかく短納期であることが絶対条件です。音質もよくなければプロモーションになりませんし、ラジオ局やレビューをいただく評論家のお宅へお持ちしても、再生できなければ話にならない。互換性もまた大切な条件になります。
「お持ち帰りCD」も同じく、マスターをただコピーしてつくればいいというのではありません。音質や互換性、また、その場で記念のCDとして持ち帰ってもらうためのスピーディーな作業が要求されますが、プロモーションCDで厳しい条件を毎日こなしているわれわれにとっては、日常の業務の集大成のようなもので、ノウハウや強みがもっとも活かせる場でもあるのです。
会社名にも“ミュージック”をつけているように、音楽畑でずっとやってきて、CD-Rの立ち上げ当初から積み上げてきたノウハウがあります。真似しようにも、そう簡単には追いつかれない自信もあります。
ーー ライブ会場もそれぞれ条件や環境が異なってきます。現場ではどのような点に注意されるのですか。
白川 現場は楽屋だったり、会議室だったり様々で、今回も、NHKホールでは広いリハーサル室を使用することができましたが、府中の森芸術劇場ではスペースが限られ、廊下を使っての作業となりました。
機材は大変デリケートですから、会場への輸送時の振動などにも気を払います。また、現場では良質な電源をいかに確保するか。専用にラインを引いてもらうこともあります。こうしたコーディネーションには気を使いますね。
ーー 当然、使用されるメディアにも厳しい条件が課される中で、スタート・ラボさんのメディアを採用されています。
白川 レコードメーカーのプロモーションCDのコピーにしても、この「お持ち帰りCD」にしても、音質や互換性は絶対に譲ることができない条件です。そこでコストを優先させてしまったら、我々の信頼を失ってしまう。まず、品質が一番のものを使用する。それに叶う製品が太陽誘電製のメディアだということです。
当社では使用するドライブは、太陽誘電製のメディアにあわせてファームウェアを専用につくりこんでいただいており、まさに、“これが最良”という状態で臨んでいます。
揚 渋谷公会堂での「お持ち帰りCD」の製作の現場に私も立ち会ったのですが、会場を訪ねた関係者とディーアンドエーさんの担当の方の間で「メディアは何を使っているのですか」「太陽誘電製のものを使っていますよ」「それなら安心できますね」という会話も耳にして、プロの中で品質の高さを認知いただいていること、同時に、強い責任を実感しました。
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